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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
3章:動く世界とやりたいことをする魔獣四王

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55話.再開と

※セレーネ視点です。


「人族の使者の方が参りました」


1匹の配下の魔獣が報告してくれる。


古城の2階から確認すると、真ん中に1人。それに付人が2人。近衛兵と思われる10数人が、こちらへ歩いてきていた。


「え!?リア?」

フェルミナは驚き、窓のガラスから食い入るように見る。


「ロイもいるぞ!おーい」


オルは手を振るが当然ガラス越しでは聞こえない。


すると、中心のフードをした人物が何か言った後に、古城に入った。


私たちは、マナフ、紫苑、バーナード、ディアボロスの4人を同行させて応接間に向かう。

その4人には、部屋の外に待機してもらい、私たちは、部屋で使者の到着を待った。


使者は、配下の魔獣の案内に従って部屋に入った。


フードを被っているため、顔は見えない。



「顔も見せずか。そら少し無礼と違う?使者はん」


マクラが扇子で半分顔を隠し、クスクスと笑いながら言う。


すると、フードを被った人物は、懐から何かを取り出した。


それは…剣?


取り出したものが剣と認知した瞬間。視界からその人物の姿が消える。


と同時に私は防御体勢に入った。


ガキィンと鈍い音がして、私のスライム体にしまい込んでいた武器と、その人物の剣がぶつかる。


少し後ずさったが、追撃はなく、その人物は次にマクラの方に向かった。

マクラは硬化させた糸で剣を受け止める。

次にその人物はフェルミナの元に向かう。だが、フェルミナは素手でいなした。

最後に、オルは硬い鱗で防いだ。


そうして三回、刃物が防がれる鈍い音が鳴り響く。


全員に攻撃した後、高速で移動していたその人物は、着地の体勢をとった。

そして、再び剣を構えようとして…


その隙を見逃す私たちではない。


その人物に全員が首筋に、ナイフ、糸の剣、手刀、爪を突きつけ、制圧する。


「は~、負けですよ。負け」

その人物は、剣を放り投げて手を上げ、降参の姿勢を取った。


「本当に強くなったね。みんな」


その声には聞き覚えがあった。

懐かしくて、何度も聞きたいと思った声。


13年ぶりのものもいるだろう。


その人物は剣を置き、フードをとった。


「「「「ルナ!!??」」」」


その姿にその場にいた全員が驚く。

使者といっても、一国の女王である彼女がここに来るとは誰も思っていなかったのだ。


マクラ、フェルミナ、オルは全員こっちを見る。


私は首を振った。

私だってこのタイミングでルナがくるとは、まったく思っていなかった。


トレードマークのティアラに肩口まで伸びた白みの混ざった金の髪。王国1の美少女とも名高い整った顔。


13年前と比べて背は伸びていたし、顔も少し変わったように思える。



だが、どこか高貴さを感じる物静かな雰囲気、そして周りを包み込むようなあたたかな存在感は昔のままだ。



「サプライズ、驚いた?私がきちゃいました」


王女ルナはニッコリと微笑んだ。





◇◇




「ふむ」

暗い部屋。そこに佇む1人の男がいた。


「マクラ…いや、セレーネだろうな」


男は思考の海を彷徨っていたが、1人の入室者に気づく。

その者は、気配を消し、こっそりと男の背後に回った。


「なんのつもりだ。ミリーナ」

「…いやぁ、ちょっとしたイタズラ心ですよぉ。珍しくボーッとしてたみたいなんで」

気配を消し、その男、ネメシスの背後からナイフで襲おうとした女、ミリーナ・リリエンタールは飄々とした態度で答える。


「面白いイタズラだが、成功させたいのなら、気配を殺して近づくべきだな。丸わかりだったぞ」


「いやいや、十分殺したつもりなんですけどね。相変わらずやば…それで、何考えてたんです?」

ミリーナは驚きながら答える。本人からすれば、完璧に気配を消し、どんな達人だろうと気取られることなく殺せるつもりだったのだ。


「ああ、今後のシナリオさ。修正が必要だろ?」

「ああ、ですね。あの子たちにぶち壊されちゃいましたし。で、なんかいい案は浮かんだんです?」

ミリーナの問いに男はすぐには答えなかった。ミリーナもその間黙っていた。やがて男はゆっくりと話し出す。

「なぁ、ミリーナ。この世界が今まで、俺の思い通りに動かなかったことがあったか?」

「あー、ないですね。私もあなたの手のひらで動く奴らを楽しく見ていましたから。…あっ、でも1回だけ」

「そうだな。知の勇者、武勇の勇者、沈勇の勇者、破滅の魔王、混沌の魔王、これまでもただの勇者魔王に当てはまらない奴はいろいろいた。そいつらも結局は俺の想定の枠を超えたことはなかった。だがそんな俺でも出し抜かれた。13年前に1度。そして、今回2度目だ。そのどちらもあの4匹が関わってる」

「…ですね。まぁでもあんな奴らネメシスさまがちょちょいとやっつけてやれば」


「ミリーナ」

ミリーナの軽快な口調とは暗く重々しい口調でつぶやく。

「…っ」

その声に内包された凄まじい威圧、殺気とさえいえる重さにミリーナは圧倒され黙り込んだ。


動けずにいたミリーナを一瞥した後、ゆっくりとネメシスは立ち上がった。


「正直あれらは実験のつもりでつくった言わば部品だ。だが、その役割を果たさないどころか、離反し、さらには俺に歯向かってきた。俺の想像をはるかに超えた強さになってな。そんなのは、この1000年で初めてのことだ」


「あなたが、そこまでいうほどなんですか」

まだ納得できないというようにミリーナは言う。

「当然だ。俺との契約さえ踏み倒して、今や勇者や魔王すら超えるほどの存在になっている。この世界は、勇者と魔王の称号を持つ者が最強になるように作ったのにだ。本来、魔獣が最強になれるはずもない。普通じゃない。あいつらは、完全にこの世界のイレギュラーなのさ」


ミリーナが返答をすることはなかった。

ただ、明らかに様子が変わっていた。

向き合って話しているのに、視点はまっすぐ前を見ていない。

その冷たい目を見てネメシスは微かに笑った。


「正直、かなり興味が湧いてきている。俺の手を離れたイレギュラーがどこまでの存在になったのか」


「それで…どうするんです?もともと蛮勇を育成する計画だったでしょうに」

ミリーナは、普段の明るい声のトーンとは違い、淡々とたずねる。


「そうだな。そうして魔族と人間を巻き込み、最終的には完成したルナと俺が世界を賭けた戦いをする。そういう手はずだった」

ネメシスはその為の工程を思い出していた。

クラーケンを使い、セントラルフィリアを潰す、貴族をあえて野放しにさせ、人族の発展を阻む、その他にも様々な人族を追い込む手段を用意していた。


不利な状態で魔王軍と戦わさせ、ルナの勇者の力を覚醒させるために。



だが、その計画は魔獣四王が集結してしまった事によって瓦解したと言っていいだろう。

なんせ、人族と魔族は互いに魔獣四王を警戒する形となり、戦争どころではなくなってしまったのだから。



はぁとミリーネは深くため息をつく。

それと同時にいつものへらへらとしたミリーナに戻った。


「もうこの状況で戦争まで持ってくのは無理だと思いますよ~。なんせ、王女ルナと魔王パンドラ手ぇくんじゃいましたからねぇ」

「かまわんさ。魔獣四王がノイズになっているのなら、それを組み込んで計画を立て直すだけだ。より盛大にな」

「にぃーはっは、13年越しの計画が崩れたというのに流石ですねぇ、でもぉそんなこと可能なんですかぁ?」

「誰にものを言っている?俺に不可能はない」


そう言ってネメシスは"千里眼の水晶"を覗き込んだ。

ミリーナも後ろからひょっこりと水晶を覗き込む。



そこには、ルナとセレーネ、マクラ、フェルミナ、オルが談笑をしている光景が映っていた。


「いくぞ」

そう言ってネメシスは扉を出ていった。


「え?行くってどこに…まさか」

「古城さ。奴らの大切な思い出の場所だ。俺との再会にもふさわしい」

「いやがりそうですねぇ。あの子ら」



そう言って2人は暗い部屋を後にした。






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