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魔獣少女たちの同窓会 ~かつて最弱だった魔獣たちは最強まで上り詰めたので再会するようです。~  作者: カモミール
2章:セントラルフィリアの冒険

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31話.フェルミナの冒険⑨&オルゴラズベリーの借金返済の冒険⑥:追いかけっこ、ゴールは地獄


※フェルミナ目線です。


海原に一筋の光がともる。

眩しいくらいに光る剣の軌跡。その光は海の怪物を貫き、海の底へと下って行った。


大きな水しぶきを昇る。

水しぶきが、海へと落ちていき、隠れていた光景が徐々に鮮明に私の前に姿を現す。


それは打ち倒された海の怪物。そして体躯の上に佇む勇敢な騎士の姿だ。


銀色に光る剣が揺らめき、彼女の闘志を灯すようだった。

海の伝説クラーケンの躍動を断ち切るその瞬間を私は確かにこの目に刻んだ。


英雄、リア・エリーゼ・ヴァイロンの誕生だ。


これだ。私が見たかった瞬間は。

この物語は間違いなく新たな英雄譚として語り継がれることになるだろう。



「あー、尊いわ」

思わず手を合わせる。


ふらりとリアがよろめいた。

「お疲れ様、大丈夫?」

私はリアに駆け寄り、倒れるリアを支えてあげた。


「……え、ええ、ありがとう」

遠慮がちにリアが言う。その間が少し引っかかったが、それよりも気にすることがある。


「勝ったのよ、私たち。そうだ。皆に勝利を伝えないと」


だが、リアは何故か深刻な顔をしていた。

「いえ、まだよ。多分、だけどまだ終わってない。フェルちゃん、急いでクラーケンにとどめを」

「え?」


その時、グラグラと足場が揺れる。

リアを両腕で横抱きし、急いで跳んでその場を離れる。


私が跳躍した瞬間、クラーケンが大きく膨らんだ。


「あぶな」


思わずつぶやく。

リアがクラーケンの生存に気づいてくれなかったら、私はともかくリアは危なかっただろう。

彼女を支えた瞬間、体のあちこちが傷つき、何か所か骨折している事が分かった。


クラーケンは膨らみ、そのまま大きな口で息を大きく吐き出す。

すると、その巨体から大きな空気が吐き出され、その勢いでクラーケンは宙を高く舞った。


「風船みたいだわ」

「フェルちゃん、言ってる場合じゃない!」


リアの言う通りだった。

クラーケンはそのまま海面に飛び込むと、一直線に陸へ向かって泳ぎ出したのだ。

このまま陸に逃げられて、街を進行でもされたら大惨事になる。


急いで追わないと!


だけど…


跳んだ着地先の小舟にリアを優しく横にならせる。

傷ついたリアを放っておくわけにもいかない。

「リア、あなたはここで休んでなさい、私が追うわ!ヒール部隊!リアのことをよろしくっ!」


人化の術を一部解除し、羽を展開する。

そのまま飛び立ち、クラーケンを追う。


クラーケン討伐に陸に近い場所を選んだことが仇になったわね。


もうクラーケンは陸に着こうとしている。

これじゃ私の飛行速度でも間に合わないわ。


クラーケンほどの魔獣が、街に突っ込んだら…

絶対に止めないと。


その時、クラーケンの前に騎士の集団が立ちはだかる。

ナイスだわ!少しでも足止めしてくれれば。


「我こそは、ゼイタクナ侯爵に仕える騎士、ナーザルである。いざ尋常に」


馬鹿!そんなことしてる場合じゃないでしょ。

少しでも攻撃してクラーケンの足を止めなさいな。

いくら私でも馬鹿正直に礼儀が良いだけの人間は好かんわよ。


だが、クラーケンは騎士を見て、進行方向を変える。


「どこへい…ぐわぁっ」

クラーケンの動きを阻止しようとして騎士たちを勢いで薙ぎ払い、クラーケンは都市のはずれにある洞窟へ向かった。

あそこは… 

よく知っている魔力を感じる。あそこはまずいのよ。


「やめなさいっ!!、そっちは」


クラーケンにとっては、少しでも時間を温存するため、騎士を避けるための進路変更なのだろう。

だが、それは悪手だ。


私の声は聞こえているはずだ。だが、クラーケンは無視して洞窟へ突っ込んでいく。


そこはまずい…かもしれないのよ。

クラーケンは勿論として人間にとっても。


今あの洞窟にはあの子がいる。

最悪この都市ごと吹き飛ばされるかもしれない。



それくらいあの子は何をするか全く読めない。



私たち魔獣四王の中でも最凶の怪物、龍王オルゴラズベリーは感情の赴くままに暴れまくる魔獣なのだから。




◇◇



※クラーケン視点です。


なんだってんだよぉ!

あの化け物共はぁ!!


あの羽の魔獣女は当然として、あの人間の女もだ。

間違いなく、体中の骨をバキバキにしてやったはずだ。


にもかかわらず、関係なくどでかい一撃をかましてきやがった。

あれはやばかった。とっさに伸縮能力(スケールモール)で巨大化したから助かった。


あの女、俺の心臓を寸分違わず中心を狙ってきやがった。


だが、巨大化したことで、心臓の位置がずれた。

それでギリギリ絶命を免れたわけだが。


それでも致命傷だ。傷を癒さねば。


膨らんで飛んだ先が海側か陸側どちらになるかは賭けだった。


海側だったら最高だったのに、運悪く陸側にとんでしまった。

いや、あの騎士の女のことだ。海側に逃げられないよう罠を仕掛けている可能性もあるか。


陸になってしまったのはこの際仕方がない。人間を食って少しでも体力を回復しよう。


だが、陸に着いた時現れたのは騎士の集団だった。

何やらよくわからない口上を述べている。


大したことがない奴らに見えるが、さっきの人間の女の手先だろう。もしかしたら面倒なやつがいるかも。


狙うのはやはり一般人であるべきだ。

足止めなんてされたら、あの化け物どもに追いつかれて殺されてしまう。


だったら…



視界の端に洞窟が映る。


いいぞ。移動じゃ人間は俺に勝てない。

あの騎士の女が小舟でここに来るにはかなり時間がかかるだろう。


「やめなさいっ!!、そっちは」


後ろから羽の女が叫んでいるのが聞こえた。

チッ!!


あの羽の女、追っかけてきてるのかよ。飛んでくるとか反則だろ。

そっちに行くなだって?


俺がそんなんで止まるとでも思ってんのか?


そんな手に乗るかよ。

羽の女を無視してそのまま洞窟に突っ込む。ともかく逃げないと殺される。


そして、俺は洞窟に体当たりした。

岩が派手に崩れ落ち、俺は洞窟の内部に侵入した。


突っ込んだ時、何かを吹き飛ばした感触がする。


今のは人間か?


目を凝らすと、その場には複数人の人間がいた。

何人か男が倒れている。


そして、今俺が吹き飛ばしたのは…男の子のようだった。

偶然突っ込んだ場所にいて、吹き飛ばしてしまったらしい。


あれじゃ助からんな。

身体中粉々だろう。




そして、もう1人いるのが…

少女?


どういう組み合わせだ?

まぁ、関係ない。5人もの人間がいるんだ。こいつらを喰らえばかなり回復できる。そしたら、海に潜って逃げ切ってやろう。


クク、腹が鳴る腹が鳴る。思えばここに来てからあの化け物どもに邪魔されて何も食ってないんだ。


「おい、お前何やってんだ」

1人だけ立っていた少女が冷たく、怒りを噛み殺したような声で話しかけてきた。


「ククク、何かって食事だよ。おまえもさっき吹き飛ばしたガキも、み〜んな俺の腹の中になるのさ」


「だから?」

「だから?状況分かるだろ。俺に喰われるんだよ、大人しく餌になれ」



おっと、やばいな。

チラリとこちらに飛んでくる、羽の女を見る。

足は全部切られちまったが、先っぽが欠けただけの足も何本か残っている。


その蛸足を少女の方に伸ばす。

だが、その瞬間、ブチリと鈍い音がした。


「え?」

「もういい。喋んな」


片手間で伸ばした足が引きちぎられた音だった。

もしゃもしゃと少女はその足をかじっている。


「まっず」

少女は、俺の足を吐き出した。


見ると少女の手だけが、鋭い爪と黒い鱗でできた漆黒の手に変化している。


この手は、まさか人化の解除。

こいつも、怪物なのか!?あの羽の女と同じように。一体この街はどうなっているんだ!?


「蹂躙(ころ)してやる」

少女は無造作に引きちぎった俺の足を放り投げ、その小さな体からは信じられないほどの大きな咆哮を上げた。








読んでくださりありがとうございます。

セントラルフィリア編も終盤です。

思ったより長くなっちゃっいました(笑)


物語をうまくまとめるって難しいですね。


次章では、やりたいことリストをどんどん消化していく予定ですが、詳しいことは今後のお楽しみに。

世界の流れも変わってくるかもしれません。


気に入っていただけたら

下にある☆☆☆☆☆から、評価をくださると嬉しいです。


また、ブックマークや感想など気軽にしてくてくれると作者の励みになりますのでお願いします。



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