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魔獣少女たちは同窓会がしたい ~かつて最弱だった魔獣の王たちが再集結するようです。~  作者: カモミール
序章:再集結

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1話前編.再集結

とある古城の中。


暗く、ジメジメと湿った部屋に、

とある4匹の魔獣が集まっていた。


4匹は全員がボロボロで立つのもやっとの状態だ。

()()()()は座ったまま、お互いを見つめ合い、声を発さない。


そんな静かな中で初めに声を発したのは、

スライムと呼ばれる魔獣、セレーネだった。

「結局また勝てなかったね。私たち」

笑顔混じりのセレーネの表情には、自虐の意が籠っていることを誰もが感じていた。

全員が俯きつつも頷く。


「我たちは所詮最低レベルの魔獣や。どうやっても強くなるなんて無理なのかもしれんね」

そう言ってセレーネに同意を示したのらタランチュアと呼ばれる蜘蛛の魔獣、真蜘羅(マクラ)だった。


「らしくないんじゃない?」

マクラの言い分に反対する声が響く。


「そりゃあんだけボロ負けしたあとやしねぇ」

「嫌だよ。今回だけじゃない。私が捨てられたのも全部私が弱いせいだ。それでも皆んなが仲間に入れてくれてやっと居場所ができたのに、また。こんなの、もう嫌だ。私は、自分が許せない」

途中から声は涙声に変わる。

ポタリ、ポタリと静かな空間に涙の音が小さく反響する。

その声の主は、ドラゴンという種族の魔獣オルゴラズベリー、通称オルだ。


「オル…」

「そんなのみんなそうよ。弱いのはみんな一緒なんだから。強くなるためならなんだってやってやるわよ。なんだって」

グリフォンという鳥の種族の魔獣、フェルミナはオルに寄り添い、その羽で彼女の目から流れる涙をそっと脱ぐった。


「オルとフェルミナの言うとおりだね。私たちは強くならないといけない。どこまでも、誰よりも。

だから、私はスライムの王になる!」

セレーネが力強く宣言をする。

それは、誓いだった。

彼女の大事な人の隣にもう一度行くための。

そして、今度こそ彼女の力になるための。


セレーネの言葉に全員が口角を上げた。

彼女の言葉はいつだってそこにいる全員に勇気をくれるのだ。


「我は蜘蛛の王に!」

「私は鳥の王に!」

「私はドラゴンの王に!」


マクラ、フェルミナ、オルもその宣言に続く。

皆それぞれ違う想いを抱えながらも、同じ目標を見据えていた。


未だかつてない前代未聞の挑戦。

最弱から最強への道を。


そう、私たちは強くなる。

そのために、ここで別れて旅に出よう。それぞれが思う修羅の道を歩むために。


強くなるための冒険の旅に。

そして。


「みんな!最強になったらまた会おう」

セレーネが口角を大きく上げて言う。

彼女の目には涙があった。


言葉にみんなが覚悟を決めた顔でうなずいた。

私たちはかつて最弱の魔獣だった者達だ……


そして、13年後の月日が過ぎた。




◇◇


その日、世界に激震が走った。


この世の頂点に立つ魔獣達、

それぞれが魔王をも凌ぐ伝説級の力を持つとされる魔獣四王が、

ある日何の前触れもなく接触の動きを見せたのだ。


この4匹は魔王かそれ以上に危険度が高いとされる魔獣だ。


だからこそ誰もがこの事態に驚き、これから何が起こるのか、世界中に不安が広がった。


中には世界の終わりを危惧するものや逃亡するものまでいた。


街中はまさに大混乱だ。


「逃げようよ。どこか遠くへ」

「逃げようっていってもどこにさ!?」

「別に何も起こらないんじゃないか?」

「馬鹿っ!何もないわけがない。奴ら戦争を起こす気かも」

「魔獣たちの衝突だけで終わってくれたらいいんだけど」


人々はみな魔獣四王を恐れ、先の見えない未来に怯えていた。


一方

とある街の酒場では、盗賊や山賊といった荒野で暮らす放浪者たちが避難してきていた。


「くっくっく。奴らはただの魔獣じゃねぇ。災害だ。俺たち人間が騒ぎ立てたところで結果は変わらねぇ。大人しく天運に全てを預けようじゃねぇか」

「違いない。店主。酒をくれぇ」


このように成り行きを見守る者たちもいた。


そして、国を統治する王がいるこの王宮内ではこの未曾有の事態の対策を講じるべく皆が必死で働いていた。


「国王様!我々はどうすれば」

王宮で兵士たちが見つめる先には王がいた。

王は齢60を超える高齢ながらも、王に相応しい威厳を示す傑物だ。


胸を張り、鋭い眼光で指示を下していく。

だが王は決して厳格なだけではなく、仕草ひとつひとつに気品があふれる聡明な人物でもあった。

そのカリスマ性によって多くの兵や国民は王を慕っている。


「みな!不確かな情報で動くでない。現地の情報はもうじき入ることになっておる。今は腰を据えて待つのみよ。皆にも伝えよ。決してパニックになるなと」


部屋の中に、王の声が響く。

その芯の籠った声は、聴くものたちの心を射抜く様に伝わり、みなに勇気を与えた。

誰もが恐れ、慌てふためく中、王は誰よりも冷静に素早く判断を下した。


流石は長年この王都を支え続けてきた王と言ったところですね、と私は心の中で感心していた。


トップである王のあり方はこの未曾有の事態にも兵に安心感を与えていた。

これができるリーダーだからこそ、この国は成り立ってきたのだ。


「国王様。密偵につかわしたテイマーより報告が入りました」

別の兵士が慌ただしくドアを開けて入ってくる。

王は魔獣四王の一角の軍勢の中に、スパイとしてテイムした魔獣を送り込んでいた。

そして、情報を収集させていたのだ。


王国は今回の問題に対処すべく、王の臣下を集めて会議を開いていた。しかし、結論は出ず、議論は停滞していた。

できることはなく、テイマーの報告をずっと待っていたのだ。

そしてそのついに報告がきて、臣下たちはオオッと期待のこもった声をあげる。


「ついにきたか。して、内情はどうだったのだ?やはり戦争か?」

「いえ、それがまだ奴らの目的は定かではないようです。ですが少なくとも戦争ではない、と。引き続き調査を続行する、とのことです」

「ふぅむ。戦争ではない、か」


部屋に重苦しい雰囲気が漂う。


四王同士が激突しないならそれでいいと思うものもいるかもしれない。

しかし、そういうわけにはいかないのだ。


今回の四王の接触が魔獣同士の抗争でないとすれば、その目的は得体が知れないからである。


もしかしたら、王国に無関係の小競り合いである方が

数倍マシだったのかもしれない。


なぜなら魔獣四王が手を組みこの国を、いや世界を滅ぼそうとする可能性も否定できないからだ。



「報告は以上です。失礼致します」


そう言って兵士たちは王の部屋からそそくさと退出していった。

彼らが慌てるのはこの部屋の雰囲気に耐えきれなかったからだろう。


この重い空気は、臣下たちの不安からきているのでしょうね、と私は思う。

いくら王が(なだ)めても、みな怖いのだろう。

いえ、彼らだけでなくこの城に勤める兵士の皆が。


それに、王ですら本音は()()ですから。

私はそう考えてため息をつく。


議論が終わった後、

王は私を連れて誰もいない自室に戻る。


当然だが、部屋には私たち以外誰もいない。

それでも王はキョロキョロと部屋を見回し、ついでに部屋の外の扉を開けて誰もいないことを再確認する。


確認が終わった途端、王の顔が突然ぐにゃりと歪んだ。

この急変ぶりは何度見ても少々驚く。

本当に仕様のない人だ。


「あぁ、ルナちゃん!聞いたか!?戦争じゃないって。もし同盟でも組まれたら手に負えんではないか。いや、それ以外ない!奴ら攻めてくるつもりだ。国は終わりだ…」


王は膝をつき、がっくりと項垂れる。

そして大粒の涙を流して泣き喚いた。

まるで子供の癇癪だ。


私はやれやれとため息をつく。

この姿を見れば、みんなさぞかし驚くでしょうね、と思う。



「うおーーーーん」

王の涙は止まらない。

もはや先ほどまでの厳格な王はどこにもいない。


ああ、こうなったら長いんですよね。

王、いえ、父の発作には本当に困ります。


他の誰かがいたらきっと驚き、さらに不安を深くしてしまうとことでしょう。

故にこうして私と二人きりの時だけ弱みを見せるのです。そこは偉いと思いますけれど、実の父がこんな姿だと私は別の意味で不安になります。


「どうしたら、どうしたらいいだー。ルナちゃん!私は、このままでは王失格になってしまうぞ!助けてくれぇ」


そう言って、おいおいと父は私の膝の上で泣き続ける。


はぁ、この娘にだけ甘えんぼな性格さえなければ完璧な父なんですけどね、

と心の中で呆れつつ、よしよしと王の王冠を床に置き優しく頭を撫でた。



とはいえ、国民も王ですらこんな大パニックの状態だけれども、じつは今回「魔獣四王」が集まったことは、本当に大した事態ではないのだ。


それを、恐らくこの世界で私だけが知っている。


「お父様。そんなに深刻にならなくても大丈夫だと思いますよ」

ニコリと笑って私は言った。

「ルナちゃん軽すぎない!?」

王が驚いてツッコむ。


はぁ、と本日何度目になるかもわからないため息をつく。

まぁ、深刻になるのもわかりますけれど、皆大袈裟すぎますよ。


私はそう心の中で呟きました。






読んでくださりありがとうございます。

連載始めました。


できるだけ週一ペースで更新していくのでよろしくお願いします。


あとがきには毎回星の評価やブックマークのお願いを書きますが、気になる方はスルーでお願いします。

もちろん強制するものでは全くありません。


ただ、やってもらえたら私が喜ぶというだけです(笑)


また、読者さんの感想を知りたいため、気が向いたらコメント投稿してくれると嬉しいです。一言だけでも構いませんし、何話のものでもかまいません。50話まで連載してたとしても2話の感想を書くなどしてもらっててOKです。というかしてもらいたいです。


こんなふうに作者であるカモミールは承認欲求強めなので、何か思ったことがあれば是非

コメントください。


もちろんレビューも大歓迎です。

読書が増えてくれると嬉しい(笑)


長々と書いてしまい申し訳ありません。


1話目なので私のスタンスを書かせていただきました。

今後こういうクレクレは書かないのでお許しください<(_ _)>

(前述したとおりあとがきに定型文は載せますが)


よろしくお願いします。



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