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未練と檸檬

作者: 田中らら

1年振りの夏。


またこの季節が来た。


この季節になると思い出す。


彼のことを・・・



あなたは元気ですか?


同じ空気を吸わなくなって5年だね。


私はあなたの元気を願っていません。


あなたがうさぎのぬいぐるみを見たら私を思い出し。

あなたが紅生姜を食べる時に私を思い出していたら嬉しい。


あなたに未練なんか無いわ、

ただ私を忘れないで欲しいだけ。


あなたは今、何をしていますか?


あなたが他の誰かと笑っていたら、

私の心はキュとなる。



私はあなたの幸福を願っていません。


あなたが檸檬のお菓子をみたら私を思い出し、

あなたがボサノバを聞いたら私を思い出していたら嬉しい。


あなたに恋はしていないわ、

ただ私の心からあなたが出て行かないだけ。


あなたは今、不幸ですか?


あなたが今、幸せだったら、

私の心はキュとなる。


今日もいつものカフェでボサノバを聞きながら、

檸檬のケーキを食べています。


6月限定のケーキ。

私はカフェの窓から、

行き交う人の中にあなたを探しています。


未練なんか無いわ、

檸檬のケーキが好きなだけ。


あれから色々な男と夜を共にしたけど、

あなたは私の中から出て行かない。




あなたの不幸を願っているけど、

あなたが本当に不幸だったら、

とても悲しい。




おわり




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