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4話 いつも通り?

それではどうぞ

彼女がコーヒーを飲み終えるのを待っていると、突然、声をかけてきた。


「あ、そうだ。今日のあれ、だれにもばれないから気にしなくても大丈夫よ。あいつらには喋らないようきつく言っといたから。」


え?と彼女の方を見る。

ばらさなかったら嘘告の意味ないんじゃない?、そう思わなくもないが、まあ、陽な方々には色々あるんだろう。

そう思うことにした。


「もし誰か言い出したらあたしに言って、なんとかするし。それになんだったらそれを利用して……。」


くふふ、と不気味な含み笑いをした。

僕はとりあえず。


「う、うん、わかったら。まあ、大丈夫だと思うけど。」


そうとだけ返す。

それを聞いた彼女は、またまた少しムッとした顔で。


「ちょっと、反応薄いわね~。もう。」


そう言った後、特に深い意味はなかったのか、それ以上は続けずに、周りを見渡す彼女。


「相変わらずいい店ね~、今も一人で来てるの?」


「そうだね、相変わらず一人できてるよ。」


「そうなんだ~、だれかと一緒には来たことないの?」


彼女はこちらに顔を向けると、そのくりっとした目を少し細めて少し探るように見てくる。


「ないない。前に喜屋ぐらいだよ。」


集まって騒ぐような店ではないから、中々来にくい店だ。映えないしね。……まあ、そもそもいっしょに来るようなやつもいないか。


「そっか。2年ぐらい前だっけ、いっしょに来たの。あんたの行く店はどこも好きよ、センスいいしね。まあ、一人では入りづらいけど。」


指で毛先を摘まみ遊びながらそう言う。


「馴れれば一人でも来れるよ。ここのお客さんは一人の人も多いしね。」


そう言って、背側に少し目を向ける。

店内には一人でいる客も比較的多く、思い思いに過ごしていた。


喜屋は、なにか言いたげにジト目でこっちを見ると。


「あんたは来れるでしょうけど、あたしは無理なのー。……あ、そうだ今度来るときには私も誘いなさいよ。都合が合えば行くわ。久しぶりにケーキ食べたいし。」


「……はいはい、分かったよ。それより、そろそろ出よっか。コーヒー飲み終わったみたいだし。」


彼女の前のカップを見る。彼女も、そうね、と言って帰る準備をし始めた。


二人で会計を済まして外に出る。日が暮れかかっていた。

彼女はこっちを見ると、軽く手を上げて。


「じゃね、今日はごめん。でも、この店に来れたのは良かったかな。そうだ、あんた、たまにはあたしMINEしなさいよ。」


そう言いながら、帰っていった。僕も軽く手を上げて返して、彼女とは反対側へ歩き始めた。



次の日、学校に着いても、とくに視線は感じず、いつも通りだった。


自分の机に向かうと、その後ろの席では喜屋とその仲間たちが既に集まって喋っていた。


彼女と目が合うけれど、何事もないように二人目を逸らす。


その後、席に着いた僕はボーッと教室を見る。

教室の前の方、窓側の端では1人の男子生徒と、3人の女子が楽しそうに話しているのが目に入る。

あの4人はたしか幼馴染同士だったっけ。この世界が小説とかゲームだったら彼は間違いなく主人公だろう。

そして、僕はモブ。


……とすると、昨日の嘘告は彼に譲るべきではなかったのか?

あんなイベントは僕みたいなモブより彼の方が盛り上がるような気がする……。

それを見ていた幼馴染みが自分の気持ちに気づいて、みたいな。


その時、背中に刺さるような視線を感じる。


ヒェっ!


顔を少し背に向けると、喜屋が口元に笑みを浮かべてこちらをじっと見ていた。まあ、目はいっさい笑っていないのだけれど。


僕は慌てて前を向くと、とくに疚しいことがあったわけではなかったが、幼馴染4人組を見るのは止めて、先生が来るまで寝ることにしたのだった。

プロローグ終了

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