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フラワーバトル 01

フラワーバトル 01


 指令を受けてから3日。フラワーバトルの歴史と目的、参加者の資格などが分かった。歴史は深く、67年前から行われている。目的は、その年の怪盗のクイーンを決定するためのバトルとなっていた。クイーンと書かれていることから参加者は性別が女であることが最低条件だと考えられる。大体のことが分かったが、肝心のクイーン決定方法が分からない。途方にくれていると歴代クイーンのなかに、見慣れた名前があった。3年前のクイーン「北堀きたほり もみじ」と4年前のクイーン「滝田たきだ あかね」、そして5年前のクイーン「間宮 つつじ(まみや つつじ)」の名前まで見つけることが出来た。それらは現在の怪盗薔薇組幹部3人の名前だった。そこで私は、忘れていたロサ・ギガンティアからの手紙を思い出した。



「コンコン。」


「どうぞ。」


「失礼します。」


「ロサ・ギガンティア、フラワーバトルのクイーン決定方法を教えてください。」


「ということは、あなたフラワーバトルに参加するのね?」


「はい。」


「そう、では教えましょう。」


 そうして切り出したのは、こんな話だった。

 「あれは、3年前。私もあなたと同じように当時のロサ・ギガンティアから参加するようにと手紙をもらったの。私なりに調べたけど、どうしてもクイーン決定方法が分からなかった。 そこで当時のロサ・ギガンティアに聞いたわ。そうしたらこんな答えが返ってきたの。その方法は、毎年違うのだと。私のときは20個のお宝を制限時間1分間で本物か見分けること  だったわ。毎回どんな課題が出るのか分からないのよ。だけどこれだけはいえる。自分にとって一番苦手とする課題が出るわ。これ以上は私の口からはいえない。何か質問はある?」


 「いいえ、十分です。失礼します。」


 「パタン。」


 扉を後ろ手で閉める。自室に帰りながら分かったことを推理する。三年前の方法は、10個のお宝を10秒で見分けること。しかし毎年違う課題で、しかも自分の最も苦手とする課題がくる。つまり、今年の課題はまだ分からないっていってことになる。私の苦手って何なのだろうか。それはいくら考えても分からないものだった。考えるのをやめて、前を向くと真っ青な顔をしたホワイトローズがいた。声をかけようとすると、ぱっと駆け出し自室に入ってしまった。



ロサ・ギガンティアを訪問してから4日後。午後1時に指定された場所に到着。外見は大きな体育館のようだった。体育館と思われる建物の前にはたくさんの人があふれていた。突然、


「フラワーバトルに参加する人はこの中へお入りください。」



 と、放送が流れてきた。ざわめいていた空気がぴんと張り詰めた。大きな門と扉を通り抜けると外見とはまったく違う豪華なデサインの大広間になっていた。


 「パンッ。」


 ピストルが鳴り響き、くぐもったアルトの声で壁からこんな放送が流れた。


 『ごきげんよう、フラワーバトルに参加する淑女の皆さん。クイーンを決定する方法を発表します。ステップは4つ。ステップ1は怪盗をやる上での注意点などのペーパーテストを行い ます。ここでは、正解率が低い順に3割の方が脱落します。ステップ2はいくつかある宝物の中から本物を見つけていただきます。この競技は一人ひとり別の部屋で行い、見つけるのが 早かった順に10名のみ次のステップに進むことが出来ます。ステップ3は会場に設置されている家からお宝を持ってきていただきます。お宝は2つ。偽物も混ざっていますのでご注意 ください。ここには最新のセキュリティと警備員50人が配置されています。つかまればその時点で失格になります。本物のお宝をこの大広間に持ってきた2名がファイナルステップに 進むことが可能となります。ファイナルステップの説明は後ほど。ステップ1は1時間後にこの大広間にてスタートします。それまではご自由にお過ごしください。ご健闘を祈りま   す。』


 放送の余韻が消えると同時に会場にざわめきが戻ってきた。


「ふぅ。」


 一息ついてから改めて周りを観察してみる。近くの人左胸を見ると、薔薇組のライバルである百合組や、あまり見かけない牡丹組などのエンブレムが輝いていた。会場の様子をあらかた観察し終えると、頃合を計ったように隣から甘ったるい声がした。


 「ねぇ、あなた。薔薇組のホワイトベビーローズでしょう。本名日向ひむかい 來夢らいむ、だったわね。」


 「ご名答。そういうあなたは百合組の佐倉さくら 芽衣めい、ハンドルネームはカサブランカね。」


 「あらぁ。よくご存知ねぇ。」


 「あら、私は声だけで誰か当てられるように訓練しているの。同業者はほとんど覚えているわよ。ライバルの百合組だったらなおさらのこと。」


 「ふぅん、声のことはまあいいわ。今回のバトルでは絶対私がクイーンになるわ。せいぜいあなたは私がクイーンになるところを指をくわえてみているがいいわ。」


 カサブランカからの挨拶が終わった後も次々と挨拶をする者が続いた。次々と挨拶者が来る様は地獄だった。挨拶地獄から抜け出せないでいるうちに30分近くがたった。あと30分何をしようか。そこに、見慣れた後ろ姿がみえた。追いかけようとすると、見えない壁にさえぎられ、進めなくなってしまった。回り道をして追いかけようとしても壁にさえぎられて進めなかった。しばらく壁の向こうへ進もうとしたが進めないと諦めて反対方向に進むと今度はあっさり進むことが出来た。不思議に思っていたが、開始15分前となり会場にテーブルや椅子が並び始めた。ふたたび緊張した空気会場にが漂い始めた。


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