ウェルチン先生と悪口と報復
「さぁ、天使たち、自分の悪口を自分で言ってごらん」
ウェルチン先生は杖で黒板をたしたしと小突いた。
すると黒板には、
自分の悪口を言って、悪口を二度と言わない天使になろう
と、文字が浮かんだ。
「ウェルチン先生はね、思ったのさ。悲しいけど、
人間っていうの自分がひどい目にあわなきゃ、
『わからない』生物だって」
昔の私なら▲▲▲を☆☆☆して■■を■■と■■で####って○○○するんだけどね、随分丸くなったものさ。
(全年齢にふさわしくない表現でしたのでふせています)
ふぅ、とウェルチン先生はため息をついた。
それからウェルチン先生はセシルに自分の席につくよう指示した。
「先生、わ、私もやるんですか?」
「セシル、残念だけどね、
加害者と被害者というのは簡単に変わるものなのさ、
だからお前もやるんだよ」
ウェルチン先生は素晴らしい先生なので、
生徒を平等に指導します。
「さぁさ、サスケ!お前が一番だよ!自分の悪口をいうんだ」
「えっと、『いじわる』!」
ウェルチン先生の鼻の穴から火が吹いた。
髪の毛はゲドラ山脈のように尖り天を突く。
「私は悪口を言えといったんだよ!なんだいそれは!
悪口っていうのは、本人にはどうしようもないところをいうんだ!
セシルにノロマっていうのはあっているよ、セシルは確かにノロマだ!
自分がノロマなことに気がつかないどうしようもないノロマだ!
だけどね、それはあの子はどうすることもできないのさ!
一生ノロマなんだよ!」
ついにセシルが泣き出した。
「あぁ、セシル、かわいいかわいい、私の天使ちゃん。
ノロマな天使ちゃんは人より4倍早く始めればいいんだよ。
サスケ!お前のせいでセシルが泣いているよ!
いいかい、いじわるっいうのはお前の性根が腐っているだけの話だよ。
お前が少しでもまっとうになりゃ直ることさ!
悪口っていうのは本人には直しようがない、受け入れるしかないことだよ!」
そうだねぇ、言いながらウェルチン先生は右目の義眼をぐるぐると回した。
ウェルチン先生は偉大なる大魔女なので未来さえ見通せるのだ。
「サスケ、お前の悪口は『47歳童貞貴族』だ。
こりゃ、お前にはどうしようもない。
ウェルチン先生のありがたい予言さ」
童貞の意味がわかる、おしゃまなサスケは泣き出した。
「どうだい、天使サスケ、悪口はつらいだろう?悲しいだろう?」
けーっけっけ、とウェルチン先生は高笑いをした。
先が折れ曲がった鷲鼻が唇の上で上下に揺れている。
セシルとサスケが泣くなか、
他の生徒もすでに泣き出す数秒前の顔をしていた。
「おやおや、天使ちゃんたち、顔色が悪いねぇ。
悪口の怖さ、悲しさがもぅわかったのかい?」
「「はい、ウェルチン先生!」」
「でも、だぁめ!やめないさ!さぁさ、自分に悪口を言ってごらん」
ウェルチン先生はまた高笑いをして、ガツンと義足を鳴らす。
初志貫徹、素晴らしい先生である。
こうして、ウェルチン先生の授業は今日も生徒たちの胸に刻まれる。
ありがとう、ウェルチン先生。
きっと、生徒たちは二度と悪口をいわないでしょう。
素晴らしい、ウェルチン先生。
きっと、生徒たちは今日の日を忘れないでしょう。
エンディング曲『聖母のウェルチン先生』
歌 カサフフ島 チョベ学校 一同
南の楽園 カサフフ島 小さな学校にいる大魔女
その名は ウェルチン先生
生徒の悩みを千里眼で見つけだし
生徒に相談されるまえに悩みを粉砕
偉大なる 大魔女 ウェルチン先生
生徒の味方 大魔女 ウェルチン先生
どんなに遠くても 魔法の箒で 絶対逃がさない
どんなに遠くでも 悪い子 堕天使 逃がさない
ありがとうございます ウェルチン先生
ありがとうございます ウェルチン先生
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米注米
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~ウェルチン先生と天使たち~
第12回 悪口と報復 終わり