表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーライフ  作者: ルク穴禁
4/31

労働の昇段試験



親は弱い者いじめは止せと言うが、なら強い者なら良いのか。下校中に高校生と思われる男とすれ違った時に、『バーカ』と言われたので、顔面を4〜5発殴って転ばせて、右手を十字固めで脱臼させる。痛みで気絶したか、雑魚が! アハハ。

 こういうヘタレオタが犯罪を犯すんだ。外れた右肩をグリグリして神経を傷付ける。

――土曜日、地獄の柔道タイム。やりたくない、つまらない、帰りたい。

『明日はいよいよ昇段試験だぞ。中学2年生で1級の者は松山、龍熊の2人だけだな?』

『うあ〜、日曜日も潰れるのかよ』

『やる気がないなら帰れー!』

『分かった、帰りま〜す』俺は更衣室に行こうとすると、『待て待て待て』と、先生が止めに入る。

『帰れって言ったじゃん』

『そういう事じゃなくて』

『意味不明』

『明日の9時に公民館で集合だ。初段を取ったら柔道を卒業していいよ』

『念書を書いて。大人は信用出来ないから』

先生は道場の事務室から紙とボールペンを持ってきて、“龍熊二谷が初段を取ったらクラブを辞めてもらう”と書いてくれた。

『これで良いかい?』

『俺の親にも話を通しといてね』

――昇段試験の日、俺は自転車で公民館へ行く。

『松山、おはよう。早いな』

『おはよう。龍熊だって早いじゃん。まだ8時半だよ?』

『労働が終わると思うと何かワクワクしちゃって』

『お前な〜、柔道をバカにするなよ? 昇段試験を軽く見てない?』

『楽勝だよ、アハハ』

『俺は自衛隊に入る為に真剣にやってるんだ』

『俺は労働の終わりと新作の格闘ゲームで頭がいっぱいだよ』

このチビ、身長155センチメートルなのに本気で自衛隊に入るつもりか、アハハ。

他の学校の生徒達が集まってきた。

――昇段試験が始まった。公民館の柔道場に20人くらいが集まる。礼で始まり礼で終わるとかどうでもいい。

俺の相手は妙に撫で肩でヒョロヒョロしてる。

『よろしくね』

『こっちこそ、よろしくね』

試験官が技名を言う。それに合わせて技を掛ける。支釣込足、体落、払い腰など。

次は乱取りだ。俺は一瞬の隙を突き、隅返を決める。一本だ。

相手からは小外刈で有効を取られただけだ。労働から解放される!?

――試験が終わり帰ろうとした時、『君が龍熊二谷君だね?』

『そうですが、何か?』さっさとゲーセンに行きたいのに邪魔くさいな。

『うちの高校に来ないかね? 隅返を決めるなんて! 君なら全日本が目指せるぞ』

『興味ないんで』俺は自転車に乗り、逃げるように去る。

これ以上の労働には耐えられない。それより新作の格闘ゲームだ。ワクワクするぜ。

戦績は6勝10敗。親にジュース代として渡された千円を遣いきってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ