ウォーライフとの出会い
車の運転を兄と代わる。
『全く……タイヤの山が大分減ったぞ?』
『廃タイヤならネットで安く買えるよ』
『ガソリン代だって』
『お巡りが来る前に帰ろうよ』
『えっ!? 警察来るの!?』
兄は急いで車を発進させる。
『どう? どこも壊れてないでしょ?』
『最初の約束を覚えてるか?』
『何だっけ?』
『1日、スカイラインを借りたら、1日、働くって』
『今日はほんの30分じゃん。サーキットで本格的にドリフトする時に1日借りるよ』
『それはダメ』
『じゃあ働かな〜い』
『バカ野郎……』
――アパートに着くと、『柔道が労働労働って言ってるけど、いずれ働く事になるぞ?』
『さて、何の事やら。じゃあお休み〜』
俺は自分の部屋に入り、フライドチキンを食べる。ちょっとヌルい。骨なしだけど6個も食べられないな。半分は明日に取っておこう。
俺はベッドで横になるが、なかなか寝付けない。円書きの興奮が止まらない。対戦ゲームとはまた違った快感だ。
疲れたから、対戦ゲームをする気力はない。じっと目を閉じる。眠ったのはおそらく4時頃だろう。目が覚めたのは11時だった。
朝イチ、一発目の対戦。ログインすると、画面に「来月をもって配信サービスを終了とさせていただきます」と書かれていた。
いつか来るとは思っていたが、来月で終わりか……。高校生の時からあるゲームだ、仕方ない。他に替わる物を見付けないとな。
その日はたくさんのユーザーと戦った。底辺のEランクから自分と同じSランクまで。100戦くらいした。
――次の日、原付バイクで近所の家電量販店へ行く。新しいネトゲを探しに。
何だか店内が騒がしい。
『何か珍しい物でもあるの?』
『お客様、VRゲームですよ。1台どうですか? 来月から配信予定のゲーム、“ウォーライフ”がセットですよ』
『それはどんなゲームなの?』
『戦争モノで対戦型シューティングアクションですよ』
面白そうだな、『すぐに配信終了にならないよね?』
『メーカーのサイバーブロッサム社はバージョンアップを含め、5年保証ですよ。どうです?』
『まずは体験してみないとな〜』
『では、お客様、こちらへどうぞ』
俺はマッサージチェアみたいな椅子に案内されて、ヘッドマウントディスプレイとオモチャの銃を渡される。
俺は椅子に座り、ヘッドマウントディスプレイを装着する。
『どうやって操作するの?』
『念じて下さい』
『念じてって!? あっ! 動いた』
鬱蒼としたジャングルのステージだ。チュパカブラみたいなモンスターが次々と襲い掛かって来る。俺はモンスターの攻撃を避けながら銃で撃つ。
『脳波を読み取り、フィードバックする仕組みなんですよ』
『ほう、面白いな』体験版が終わる。
『お客様は筋が良いですね。体験版をクリアしたのは、お客様が初めてですよ』
俺は装備を外す、『いくら?』
『筐体とソフト、税込40万円です』
『高いな』
『筐体のレンタルなら月に6800円からです』
『一括キャッシュで買うよ。その代わりに安くしてよ?』俺はこのウォーライフに懸けてみようと思う。




