出会い、というか遭遇
……汝、理想の伴侶の姿を述べよ……
夜明けごろ、まだ薄暗い部屋の中。
男の脳内にどこからか声が響く。
「……ふむぅ? ふむ……理想の伴侶ですか……それはもちろんケモミミ……特に狐耳のもっふもふな少女ですなぁ……」
ベッドに横たわる男は寝ぼけ眼に呟いた。
……理想像の把握を開始……完了……実体の生成を開始……完了……転送を開始……完──
「──了なのじゃぁぁぁ!」
「ごふぅ!?」
部屋の隅のベッド、その上に突如光の塊が現れ、その中から裸の少女が落ちてきた。もちろん、寝ていた男の腹の上に。男はたまらずうめき声を上げる。
「ごほっ……うっ……何……が……」
「うーむ、これはまたずいぶんと幼いのぅ。おぬし、このような年の子が理想の伴侶なのか……これが俗に言うロリコンというやつなのじゃな」
そんな男にかまわず、腹の上で馬乗りのままぼやく少女。その頭の上にはぴょこぴょこ動く狐耳。
「ある程度は一般的な容姿になるじゃろうと理想の伴侶という条件にしたのじゃが……んん? おお、すまんすまん」
やっと自分の下にいる存在に気づいたのか、少女はするするとベッドの横に降りた。そしてしげしげと今まで下敷きにしていた人物を眺める。
「ふむふむ、顔は悪くないの。まあよかろう。これからよろしくの」
「……はい?」
まだはっきりしない頭で、そう言うしかない男であった。