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一番隊団長ロンシャス

風邪引いた。

この世界に来て3日目。

仕事は楽だし皆は優しいしセクハラしようものなら締め上げていいし、衣食住の心配もないし収入も結構良いし最高の職場だ。


私はさっさと自分の仕事を終えて私の部屋の横の部屋で計算以外の書類をやっている団長と副団長に笑顔を向けた。


「終わったんで、自分の部屋に戻ります!何かあったら呼んでください。」

「おヒナは本当に仕事が早いな………」


団長は最近私を"おヒナ"と呼ぶ。


「誉めても団長のサインが無いとダメな書類は手伝えませんよ。」

「あ、やっぱり?」


私は自分の部屋に入ると、この間団長からもらった団服をリメイクし始めた。

上のジャケットはそのままでも良い。

ズボンは可愛くないからマーメイドラインのロングスカートに作り直していた。

動きやすさを考えるなら、スリットを入れたいところだがこの世界では足を出すのはかなりエロい事らしくて、そう言われると恥ずかしい気がするので諦めた。

動かなきゃいけない時はズボンをはけば良いんだしね。




その時、執務室の方にノックの音が響いた。


「失礼する。」

「おや、一番隊の団長殿。」


団長の声で一番隊の団長が執務室に入ってきたのがわかった。


「先日、うちのエリックがウルガルドに迷惑をかけたみたいで………ごめんな!」

「ロンシャスのせいじゃない。」

「そうなんだが………ウルガルドが女性とデートしていたのに邪魔するとかかなりヤバイと思って。」

「デートじゃない。」

「え?そうなの?………色気の無い酒場で女神のように美しい女性と食事をしていたって聞いたけど?」


団長の笑い声が執務室に響いている。


「おヒナと酒場に行ったのか?安上がりに済ませやがって!」

「ヒナが酒場が良いって言ったんだ。俺がケチッたみたいに言わないでくれませんか。」

「おヒナらしいっちゃらしいが、本当か~?」

「横に居るんだから本人に聞いたらどうですか?」


げっ!話を私にふるつもりか?


「おヒナ~出番だぞ~‼」


団長が私の部屋のドアを叩きまくる。

私は出来上がったスカートを見つめて言った。


「着替え中です!開けたら殺します。」

「………」

「開けたら殺す!」


鍵はかかっているが一応強く言っておき、私は出来上がった団服を着てから鏡の前で一回転するとダメな所がないか確認をして自分の部屋から出た。


「おお、良いじゃないか!自分でやったのか?そのスカート。」

「可愛いでしょ?もっと誉めて良いですよ。」

「可愛い可愛い!だから、俺と付き合おう?」

「団長はずぼらな性格直してから出直してくださいね!」


私は視線を一番隊の団長に向けた。

一番隊の団長は少し顔を赤らめながら私を見ていた。


「………女神だ。」

「違います。はじめまして、私はヒナと言います!二番隊でバイトさせていただいてます。」

「ハッ!僕は一番隊団長をしているロンシャスと言います。」


礼儀正しい。

私の印象はそんな感じだった。

オレンジがかった金髪にオレンジ色の瞳が何だかあめ玉みたいで美味しそうだ。


「ロンシャス様ですね。覚えました。」


ロンシャスは私から視線を外すと副団長に向かって言った。


「こんな美人を雇ったのか?」

「計算のスピードが神がかっているから採用した。ライガイヤ殿にヒナを頼むとも言われているから問題ない!」

「ライガイヤ殿に?」

「ヒナはライガイヤ殿の婚約者の姉だ。」


実際の姉ではないけど………まあ、良いか?

そこにノックの音がまた響いた。

許可もなくドアが開き、入ってきたのはエリックだった。


「!?その服………」


何かを呟いたエリックは口元をニヤリとつり上げて言った。


「君は実力主義の二番隊に所属していたのか………では、話が早い!二番隊員なのだから腕には自信があるのだろう?僕とひとつ手合わせしようじゃないか。」


エリックの言葉に団長達の顔色が悪くなる。


「エリック副団長、おヒナは女なんだし副団長自ら手合わせなんて………」

「実力主義が売りの二番隊が女だからっと逃げるのか?」


これ見よがしに見下した視線を向けるエリックに私は微笑みを浮かべた。


「こないだ、からかったのまだ根に持ってるの?器ちっちゃ!」

「何だと~‼」

「ヒナ、煽るな!」


うちの副団長が止めに入ると、それすらも腹が立つのかエリックが今度は副団長を睨み付けた。


「顔だけで気に入ったからと言って二番隊にこんな野蛮な女を入隊させるとは、二番隊の名が泣くな‼」


カッチーン

私は満面の笑顔を作ると言った。


「私の取り柄が顔だけだとか、よくもほざいたな。これだから傲慢な男は何も見やしない。やってやろうじゃない。あんたが相手になってくれるんでしょ?また、恥かかせてやるから泣くなよ!」


団長から魂が抜け出しそうに見えたが無視だ。


「ヒナ!」

「悪いけど、売られた喧嘩は買う‼それが私流なの。副団長はミッちゃんに気付かれないようにしてくれたらそれで良いから!」

「ストラに?」

「私が喧嘩するとミッちゃん怖いから!それだけお願いいたします。」

「保証は出来ん!」

「え~‼やる気なくす‼」


私が頬を膨らますと、副団長は呆れたように言った。


「今なら謝れば許してもらえる。」

「誰があんなのに謝るか?謝るぐらいなら死んだ方がましよ!」


私はエリックに向かって言った。


「動きやすい格好してくるからちょっと待っててね‼逃げんじゃ無いわよ‼」

「誰が逃げるか‼」


本当に嫌な男だ。

私はスカートを脱ぎズボンをはくと思った。

ミッちゃんに知られたらスッゴい怒られるだろうな~

それだけは本当に嫌だ。

それでも、ムカついたんだからどうしようもない。

ミッちゃんに怒られるの覚悟でやる。

私はそう、意気込んで部屋を後にしたのだった。



体調不良で休んでます。


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