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逃亡(2)


うぅ、きつい。

 


「ギィィァァァァァァ!!」


 次に男達の視界に入ったのは鳥。しかし、大きさが異常だった。

  巨木のような幅の両翼に、人間の頭より高い位置から見下ろす鋭い目。

 そして誰が見ようとも怪鳥と言うだろうほどの存在感。


 男達は逃げない。逆にその容貌に魅入ってしまっていた。

 艶やかな紫紺の羽と気高さを内包した姿。

 金を求める亡者である彼らの目には、その怪鳥がとてつもなく大きな金のなる木として映っていた。


「ハハハハァ!!獣人が変化しやがった!こいつは相当レアだぁ!!絶対逃がすんじゃねぇぞお前らぁ!」


  お頭と呼ばれていた男が声をあげる。それに答えるように次々と破裂音を伴う銃弾が放たれた。


「ギァァァァァァァァア!!」


 怪鳥がその両翼をはためかせた。直後、巻き起こる暴風。石や木の葉を巻き上げ、枝や岩を破砕する。

 放たれた銃弾は岩の破片や風に遮られ届かない。


「オラオラオラ!もっと撃ち込みやがれぇ!!」


 再び銃が構えられる。


「ヴヴヴァァァア!!」


  怪鳥が右翼を振り上げ暴風に叩きつけた。風が形を変える。


「っ!!木の後ろに隠れろ!!ヤバイのが来るぞ!!」


  頭が叫ぶ。

  次の瞬間、



「あ"ッ」



 怪鳥の一番近くにいた男のからだが消し飛んだ。

 見えない刃が森を切り刻む。赤よりも濃い紅が宙を舞う。飛び散る血が木々を赤く染める。


 まるで地獄絵図ーーー



「か、頭ぁ!逃げましょう!これじゃ命がいくつあっても足りやせん!」


「馬鹿言え!こんなのがいつまでも続くわけねぇ。勢いが弱まったら突っ込むぞ!もう殺っても構わん!」



  男達で残ったのは十人といなかったが怪鳥も深手を負っている。

 頭は次の銃撃で殺せるという確信を持っていた。


  次第に風が弱まる。頭はほくそ笑んだ。他の仲間に合図を送り、ガチャ、という無機質な音と共に銃弾が装填される。


 頭が木々の間から顔を出すと、両翼を血につけて伏し、倒れ込みそうな怪鳥が見えた。その息は細く、弱々しい。


「ハハハ!!今だお前らぁ!撃て撃て撃て撃ちまくれぇぇぇ!!」


 怪鳥に向けられる銃口。向かってくる銃弾。

 満身創痍の鳥にはそれを防ぐ術はなかった。





 〇〇〇〇〇





「グガッ………ガフッ…」


  倒れ伏し、血に体全身をつける怪鳥。

 その周囲を銃を持った男たちが取り囲んでいた。



「ヘヘヘヘヘ…大金だ…大金が手に入る」


「これで当分は遊んで暮らせるぜぇ」



 既に金のことしか頭にない男たちは品定めのように足下の怪鳥を見た。



「いったいどれくらいになるんだろうなぁ…もう笑いが止まんねぇよ」


「山分けしても相当だな…生かして売るか?」



 口々にこのあとを口にする男達。そのなかで頭が声をあげる。



「途中で暴れられるのは邪魔だろう…ここで殺して素材を売ることにしようぜ。

 それだけでも一人一人遊べるくらいの金は入るだろ」



「それもそうだな」と納得したのか男達は頷く。

 そこで一人の男が喜びの表情を浮かべる。



「じゃあ!じゃあ早速殺しましょう!最近生け捕りばっかでうずうずしてたんですよ!」


「ああ、いいだろう。ただし首をやれよ?

 他の箇所をこれ以上傷つけたらお前に金はやらんからな」


「いつものことじゃないですかぁ~。分かってますって」



  解体の一手目を立候補した男は背中にかついだ斧を手に取る。


「これで首を両断するのがまた気持ちいいんすよね~」


「そんなこと考えんのお前だけだぞ」


「ひどっ!」



  そう言いつつも斧を持った男は怪鳥に近づいていき、ちょうど首の辺りそこで足を止めた。

 斧を握り直して、担ぐ。

 狂ったような笑み、口元を歪ませながら軽い口調で解体を宣言した。



「じゃあ、いっきまーす」



  鉄斧が降り下ろされる。




 スパンッという乾いた音と共に首は切断された。




























タイピング練習しなきゃ…

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