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異世界派遣シャイン㈱

「いいかシャイン……わが社の業績は最近右肩上がりである」

「光です」


 目の前のデスクに座るブロンドの美人は、ドスケベボディをぴっちりビジネススーツに包んでいる。だが俺の名前を変なふうに呼ぶ。俺はシャインじゃなくて光だっての。


「ではブリリアント……次の派遣先だがな」

「あの……私、輝子なんですけど……」


 横に立つ黒髪地味眼鏡巨乳タートルネックの輝子が、相変わらずおどおどとした態度で講義する。


 だが無駄。目の前の金髪女は栄養が全部胸に行ったせいか脳味噌はスカスカで俺たちの名前を絶対に覚えない。早く帰らせろよもう。


「君たち、たるんでいるぞ!」


 ヒステリー気味に顔をひきつらせながら、金髪は机を叩く。あー徹夜明けの頭に響く。


「はあ」

「すいません……」


 見に覚えがあるのか輝子は小さく謝罪して、たるんでいなかった時期など一秒も無かった俺は鼻くそをほじる。


「君たちは、どうして自分がここにいるのかわかっているのかね!?」

「えーっとお」

「まずはシャイン……君からだ」


 適当に天井を見上げて思い出そうとする俺を無視して、金髪は何度も言い聞かされた俺の最期を言い始める。


「いいかシャイン、君はアイドル声優の西島アリコちゃんが生きがいと自負しており、文字通り男性声優の東アキラとの出来婚がニュースになった直後に自殺。それで私の部下になったと」

「まじありえねぇわ……天使のアリコちゃんが生ハメだいしゅきホールドとか今でも信じられねぇわ……くそっ、東ぶっ殺す」


 なんで六時のニュースでやるんだよ畜生誕生日もクリスマスもブログチェックしてたのにそんな兆候どこにもなかったじゃねーか。


「つぎにブリリアント……君は男性声優の東アキラに人生の全てを尽くすと周囲に言いふらしておりアイドル声優の西島アリコとの出来婚をニュースで聞いて即自殺。それで私の部下になった」

「殺す……クソビッチ殺す……私のアキラくんが、悪い女にひっかけられて」

「悪いのはその東のチンコだろこの地味眼鏡!」

「はあああああ!? どう考えてもあのクソ尻軽ビッチが誘ったにきまってんでしょおお!? どうせあの女がコンドームに穴開けたんだからああっ!」

「き、み、た、ち! さっさと仕事に行かないか!」


 クソッ、今世界の命運より大事な話をしてるっていうのにこの金髪は。これで女神だって言うんだから世の中狂ってるぜ。


 だがもっと世の中ってやつは狂っていて、どうやら俺たちより余程ロクでもないクズどもが異世界で年収二十億並みのチートをもらって活躍しているらしい。そんな連中を手助けするのが俺たちの仕事だ。ストレスが溜まるってもんじゃない。どうして死んでまでクズの手助けをしなきゃならないのか。俺はうまれてくるならアリコたんの息子になっておっぱい吸いたかったのに。


「それでは諸君……いくぞ! レエエエエエエッツ!」




「「転生」」




 やる気のない俺と地味眼鏡の声が響く。俺達は眩しい光に包まれて、そのオフィスを後にした。





「ここが異世界カルパッチョか……」


 俺の目の前に広がる剣と魔法とチートの世界。なんかもうこの仕事をしてから空に何が浮かんでても驚かなくなった。天空の城も見飽きたし、鯨が飛んでても驚かないし、UFOでももう驚かない。


「あの、光さん……ここ、カルヴァーゼです……」

「どうでもいいわ。えーっと今日の仕事は」


 そうつぶやけば、目の前に幾つもの画面が開かれる。宙に浮くそれを指でなぞれば、今日の仕事が書かれてある。


『緊急指令! 異世界転生者のカマセ犬になれ!』


 また随分と直球だな。


「えっと……とりあえずとりあえずこの世界のふ、服もらってきましょうか……」


 地味眼鏡がそう言ったので、俺も仕方なく同意する。とりあえず通行人から別けてもらうか。


「すいませーん、なんか服わけてくださーい」

「ヒイッ、変な服の人だっ!」


 通行人は俺たちを見る度怯えたので、仕方ないからいっつも使う奥の手を使う。


「必殺……特殊な交渉術!」


 特殊な交渉術。かつてうどん県出身のマスクドハンターG3が色んな時代で取材するにあたり生み出された伝説の交渉術。ちなみにこの詳細は今でも極秘である。


「あっ……すいません服ですね。悪そうなやつでいいんですか」

「はい、男女用にお願いします」


 俺達は仕方なく頭を下げると、村人は快く家へと戻っていった。


 あーあ、早く終わんねぇかな今日の仕事。




 普段の服の上にこの世界の服で身を包み、俺達は異世界転生者を適当な原っぱで待っていた。予定通りだとここに女の子が逃げ込んでくるので、俺達は金目の物を置いてけと言ってふっ飛ばされればいいらしい。


 というわけで待っていると、なんかケモミミの女の子がこっちに走ってきた。


「ナニイッ、五千だとおっ!?」


 モニター越しにステータスを確認する地味眼鏡が、そんな事を言ってわざとらしく驚いた。


「何が?」

「知らないんですか……? えっと、オ○ニーの回数です」

「まじかよ何だよその隠しステータス!」


 俺もモニターを確認するが、そんな数値は見えない。


「えっとですねえ、上上下下左右ABABで……」

「まじかやってみよう」


 言われたとおりに試してみると、色んなステータスが出てきた。経験人数とかも出てきた。すえげぇな非処女殺す時めっちゃ便利じゃねーか。


「すげぇな、まじで五千だ」


 どうみても汚れを知らないようなケモロリっ子。でもオナニーは五千。とんだドスケベちゃんだぜ。


 とりあえずステータスを眺めて遊んでいると、ケモロリっ子が俺達に衝突する。


「あ、あの! どいてください! 村が……わたしたちの村が!」

「五千か……」

「五千回も……」


 でも処女だから許す。


「あーっと……なんて言えばいいんだっけ」

「一日何回ペースなんですか?」


 思い出す前に、地味眼鏡が聞き出す。結構エロいんだなこいつ。


「えっ……あの、村が」

「ムラムラ?」


 まじかよこの子ムラムラしてんのかよ。今すぐ鎮めてやりたいわ本当。


「フッ……貴様ら、そこをどいてもらおう」

「あ、転生者きました」


 そこにいたのはなんかちょっと偉そうな小学生みたいなやつ。こいつにやられれば仕事は終わり。

 終わりなんだが、とりあえずオ○ニーの回数を確認する。


「オーゥ……五万です」

「五万か……」


 一年365日で一日3回だと仮定すると……電卓のアプリを開いて計算する。それでも一年1000程度。こいつ何歳で転生したんだ? 場合によってはギネス記録持ってんじゃね?


「お前っ、どんだけシコれば気が済むんだよ!」


 思わず俺は叫ぶ。どんだけ急ピッチで精○作ってんだ常にデスマーチかこいつのキンタマ。


「あっ……台詞違います!」

「なんだと!」


 慌ててステータスを確認する。確か馬鹿なっ、こいつのステータスは! みたいな台詞だったはず。


「馬鹿な……童貞だと!」


 経験人数0。そのステータスを思わず叫ぶ。よし合ってる!


「ど、どうていじゃないし……!」


 転生者は震えだす。やばい、間違えたらしい。


「おい地味眼鏡! 何か言え!」

「クッ……フフッ。キンタママジ無駄死なんですけど……」


 声を殺して下品な事を言う地味眼鏡。くそっなんでこんな使えない奴がパートナーなんだ。


「死ねえええええええええっ!」


 転生者は顔を真赤にして俺達になかすごい魔法を放つ。白い閃光は俺達を包む。まるでふたなり系エロ漫画の精○みたいに。


「うわっ! まずいぞ地味眼鏡、エクストリームスペルマアタックA10だ!」

「フフッ……ブフゥッ! 兆単位で○子無駄にしてる……!」


 すげぇなこの世界全部こいつのティッシュでできてんじゃねぇのかな。


「「んほおおおおおおおしゅごいいいいいいい!」」


 とりあえず俺達は走って逃げた。


 色んな人に、怒られないことを願いながら。





「ここまで逃げれば安心だな……!」


 息を切らして俺達は貰った服をその辺にぶん投げる。これで今日の仕事は終わりっと。


「いやあ、今日の仕事も大変だな……ってお前何してんだよ」


 何故か地味眼鏡は俺のステータスウィンドウを開いて確認していた。それからそいつをぱっと閉じて、ニッコリと俺に笑いかける。


「帰りましょう、童貞さん!」


 いい笑顔で笑う地味眼鏡のステータスを確認しようと思ったが、やめた。


 これで非処女だったら、それはそれで負けた気分になりそうだったから。

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