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手、あっためて  作者: リボン
手を握られた
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ちょくちょく更新します。

今、僕は何をしているのか、分かるかな?


いや、分かりっこない。それもそうだ。


じゃあもう一回質問してみよう。




Q: 僕、丹生弦(にい ゆずる)は一体何をしているのでしょうか?


A: 彼女の浮気現場を覗き見しています。



あ、あれ?

なんだか凄く虚しくてかなり変質者っぽく思えてきたんだけど、気のせいかな。


一つ訂正させてほしいのは、偶々、この場面に立ち会っただけだということ!


僕は、わざわざ彼女の浮気現場を見たいなんていう自虐趣味も寝取られに興奮する趣向も持ち合わせてはいないから。


僕は遠い目をしながら彼女といちゃつく男の姿を視界にいれつつ、つい先日のことを思い返していた。



…僕には彼女がいる。


つい先日、僕に彼女ができるという奇跡がおこったわけだ。

高校に入学してから約一年間、僕はずっと彼女を想い続けていた。


明るい性格、溌剌とした声、くるくる変わる表情。彼女に似合う日によく透ける薄い栗色のセミロング。女の子らしい華奢な身体に細長い手足。鼻筋はすっと綺麗で、唇は思わず触ってしまいそうになるぐらい魅惑的なツヤがある。リスみたいにクリクリした愛らしい目。


全てが理想的だ。全てが完璧だ。



この完璧を具現化したような彼女に惚れる男がいないわけがないのだ。

学校中の男子がこぞって彼女を手に入れようと躍起になった。


そりゃあ、その中には僕よりも格段に見目のいい奴らがいて。僕なんてその争奪戦にすら混じることなど出来なくて。


結果、僕は彼女を陰から見つめるだけだった。


こういうと、ストーカーみたいに聞こえるが、なんてことはない、ただ見ていただけだ。


すれ違ったら彼女をちらりと見る。たまたま遠めに彼女がいれば見る。食堂に行くとつい彼女を探してしまう。


なんと女々しく、なんと奥ゆかしいのだろう。

草食系男子であり奥手な僕にはしょうがないことだが。



そんな僕に転機が訪れたのは、何日か前のこと。いつものように彼女の姿を一目見ようと視線を彷徨わせていると、肩に小さな衝撃が。慌てて視線を前に戻すと、なんと其処には絶賛片思い中の彼女の姿。


尻餅をついた彼女を起こそうと手を差し出して、いつも遠目からしか見ることができなかった彼女が、自分の目の前に、すぐ近くにいることにようやく気づいた。


夏らしさを感じさせる半袖のシャツ、胸元に縁取られた青色のリボン。少しめくれ上がった紺色のスカートから覗く白い、白い、彼女の脚ーーーー


そこまで考えて、いたた…と声を漏らす彼女の存在に見惚れていたことに気付き、再度慌てて彼女に手を差し出し、声をかけた。


『あの、大丈夫ですか?』、と。




結果として彼女は僕の手を取って、ありがとう、と天使のような微笑みをこの僕に下さったわけだが、そこからの展開は予想だにしなかった。


彼女は僕の手を放すことなく、きゅ、と握りしめ、可愛らしく上目遣いで、彼女よりもちょっと上に頭がある僕の顔を覗き込んで、彼女は衝撃の一言を放った。




『私と付き合ってください!』

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