表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

急襲【前編】



第8話


この俺、本多友埼は奇妙な世界に来てからかれこれもう1週間は経っている。

こっちの生活にもだいぶ慣れてきた。

あの姫との生活も…


「おはようございます。姫様」


「ん…」


眠い目を擦りながら目覚める。

俺はこのフィーネの雑用係りこの世界ではナイトと呼ばれるらしいが元の世界で暮らしているよりこっちの生活の方が楽しく感じる。


「ほら、今日も色々とやらなくてはいけない事があるでしょ?」


「犬のくせに何よ…」


「お前が起こしに来いって言ったんだからな!?」


「お前?」


フィーネに殺気に包まれたオーラで睨まれその怖さにやはりこういう女はどこの世界でも怖い人種なのだと確信した瞬間であった。


「も、申し訳…ぐわぁ!」


「主人にお前って何を考えているのかしらこのクズは。」


「いてて…いきなり蹴るなよ…」


「自業自得よ犬」


どうしたら犬から人として認めてくれるんだかわからんが…

フィーネはなぜかずっとこっちを見ている。

また蹴られるか殴られるかのどちらかだろうか?


「どうした?さっきから。」


「にゃ!?な何でもないわよ!早く朝食の用意しなさいよ!」


噛んだのか今…

明らかに噛んだよな??

あえてこの姫には突っ込まないでやろう。

それが俺の身を守る最善の手段。

朝食の用意をするために俺は調理場へと向かった。




一方フィーネは…


「まったくあの犬は…」


なぜだかアイツと一緒に居るとイライラしてきてどうしても当たっちゃうのよね。


「はぁ…」


深い溜め息をして気分転換にバルコニーへ出ると朝日が山脈を照らしその反射がとても綺麗に見える。

だが、一番手前の山の奥で黒煙が上がっていて爆発音のようなのも聞こえてくる。


「何事?あんたわかる?」


不思議に思い朝食を取りに行って私の部屋に戻ってきた「犬」に聞いてみる。


「なにがだよ。」


「あれよ。見てみなさい?」


犬をバルコニーに呼び私の指を差す方向を見させる。

どうやらこのバカ犬も知らないみたいね…


「今、俺の事バカ犬って言っただろ!」


「えぇ…そうよ。」


「あっさり認めるのか!?」


すると下にある広場に武装した騎士、兵士が整列をして黒煙のたちのぼってる方向へと行軍して行く。


「帝都近郊でどこのバカが暴れてるのよ。」


「多分あれだ。…反乱軍とか言う奴らだろ?」


「どちらにしろうちの軍隊なんかに勝てっこないわ。本当欲に満ちた生ゴミ以下のゴミは困るわね…」


一国のお姫様が仮にも反乱軍といえども自国の国民を生ゴミ以下のゴミ扱いとは俺、本多友埼はびっくりした。

そんなフィーネは「まぁいいわ。」と言って俺が持ってきた朝食を食べる為にテーブルの席に座り食べ始めるとはいかなかった。

フィーネが朝食を食べようとした時にドアが大きな音をたてて開き見慣れた美少女ではなくリリィが急いで入ってくる。


「食事中申し訳ありません姫様。反乱軍が帝都近郊のローゼリア城にかなりの大部隊で侵攻し、こちらから増援を送った後に手薄になった隙を突かれ何者かが侵入した痕跡を発見しました。今すぐ広間への避難を!」


フィーネは俺に向かって「なにぼさっとしてるのよ!」と罵声を浴びせ、慌てて新しく作って貰ったバトルアックスを手にして3人は部屋を後にする。

廊下を歩いて城の使用人達が避難している広間を目指して俺達が歩いていると明らかに政府の者でもなく、帝国軍人でもない不審な男を発見しリリィは俺に命令する。


「貴様は姫様を連れていけ。ここにいられても邪魔だ。」


「俺だって戦える!戦闘訓練だって…!」


「だが貴様はまだまだあまちゃんだ。」


「っ!?」


「聞こえなかったか?コイツは私が押さえるから先に行け!」


「わかったよ…行くぞフィーネ。」


俺の力はまだまだ未熟って事かよ…

納得出来ねぇがまだ実戦も経験していないヒヨッコだ。

反論しても無駄だと思いフィーネと一緒に広間へと向かった。




「そこの侵入者、大人しく投降しろ命だけは助けてやる。」


「ほぉ…この俺によくそんな事が言えるな。」


リリィは侵入者と1対1になり降伏勧告を促すが当然スルーだ。


「帝国も落ちたものだ…女まで騎士にするほど兵力が衰えていたとは…」


「貴様が私の事をどう思おうが勝手だが…生かしておくわけにはいかなくなった。」


「この俺、クロッカス・スパァーキィーを殺れるかな?」


その名は反乱軍の首謀者の1人であり指名手配されていた男の名であった。


「あぁ当然だ。」


「威勢だけは良い女だな…!」


クロッカスは腰から剣を抜きリリィへと飛びかかりそれをリリィは可憐に交わしていく。


「口だけではないようだな。」


「でなきゃ騎士など務まらない。」


リリィもクロッカスへと剣を抜き低い体制からわき腹目掛けて斬りつけるが剣で防がれ金属音が鳴り響いた。


「筋は良い…だが力が弱いな。よし相手でもしてやろう小娘。」


「最初からそのつもりで来い。」

クロッカスとリリィは1対1の命を掛けた怠慢勝負を始めた。



第8話「急襲【前編】」を読んで頂いてありがとうございます。

今回は少々長くなってしまうと思ったので前後編に分けて話を進めようと思いました。


今回の担当者は私、トムキャットです。


次回もよろしくお願いいたしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ