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首謀者



第7話

ここはウェスパニア帝国から離れた地、反乱軍が根城とするダインヘルン城。帝国を倒すためにきた志願者や戦争で金を稼ぐためにきた傭兵、あらくれなどが集まっていた。


「ここに集まりし勇士達よ!我々は我々を裏切った帝国を許さない!!奴らは国民から金をまき上げ、それを自分達の欲望のために使っている!あの女王は言った!『皆さまから頂いたこのお金は、この国を守るため、この国を豊かにするために使います』と!だが奴は何かしてくれたか?いいや何もしていない!!国民の為に使うための金を奴は邪術を行う為に使っている!だが奴の罪はそれだけにとどまらない!奴はその邪術を用いて我らが王を呪い殺したのだ!!その証拠に奴が王の死を預言した時から王のお身体は病に蝕まれ、衰弱していった…奴が王の座を手に入れんが為に、王を殺したのだ!!」


兵士達が集まる中、壇上で演説しているのは帝国への反乱を企てた首謀者リーマン・オンドール卿である。


「我々の国はあの女王…いや!あの魔女に支配されてしまった!我々は我々の国をあの邪悪なる魔女身体取り戻す!虐げられた国民を救うために!我々は戦おう!我ら反乱軍に正義あり!!」


ウォォォォォォォォ!!


「我々反乱軍への志願者の数も日に日に増えている…このまま行けば勝利は目前。私の宿願が果たされるのも近い…フフッ…」


演説が終わり、自室に戻ろうと、彼は廊下を歩いていた。

外はもう暗く、窓からは月の光がさしている。

時間の流れに思い耽っていると、いつの間にか自室の前まで来ていた。

自室に入ろうとドアノブに手をかけようとした時、奴はきた。


「よくもまぁ、いけしゃあしゃあとあんな事を言えるものだねぇ旦那も」


後ろを振り返ると、窓際に一人の男が立っていた。


「…無知な民衆は正義や都合のよい事を、語り聞かせてやれば何でも言う事を聞く。使える物を使ってるだけだ。…それと気配を消して近づくのは止めろと言っておいたはずだが?」


「別に気配を消して近づいたつもりはないんですけどねぇ…まあ仕事病だと思って勘弁して下さいな」


この者はウェスパニア大陸を荒らしている盗賊団の一つブラックキメラのリーダーで名をクロッカスと言う。

この者…最初は使えると思い雇ってみたものの、このふざけた態度といい、任務中に別行動をとるなどと、どうも扱いにくい奴だった。


「ところでウェスパニアの状況はどうなっている。奴らには深手を与えたはすだ。しばらくは動けまい」


「ええ、今回の戦いでかなり疲労しているようですね。あちらから攻めてくる事はないでしょう…まあこちらにも言えた事でしょうが…おっと、そんなに睨まんで下さいよ」


この者の喋り方はいつも気に障る…だがその通りだ。

今回の戦いは勝利したものの、こちらの砦を一つ落とされた。

戦場の軍隊は囮で、始めから砦をとりにかかってくるとは…しかも王室の親衛隊を使ってくるとは…砦への奇襲はわかるが、なぜ親衛隊まで使ってまであの砦をとりにきたのか…あの女王一体何を考えているのか…


「後気になる事が一つあるんですが、帝国が砦を制圧した後すぐに、親衛隊が珍しい異国の服をきた若者を連れウェスパニア本国に戻ったらしいのですよ」


異国の服を着た若者?


「ふむ…もしかしたら女王の預言に関係がある者かもしれん…念の為探っておけ」


「了解、あっ、そうそう最後に今回の報酬の件ですが…」


「…卑しい奴だ。今回の戦いの分は先に支払っていたはずだが?」


「いやいや〜砦の話は別ですよ〜むしろ感謝してもらいたいですね。うちのオーク衆が敵を引き付けていたおかげで、貴方の部下達が逃げられたのですよ?サービス料金ぐらい貰ったって可笑しくなくないですか?」


「ちっ…次の仕事が終わったらその分も支払ってやる。だからさっさと行け」


「いや〜有り難い!仕事に見合った対価を貰わないと、こちらのモチベーションも上がらんもんです。でわでわ、次の仕事に取り掛からせもらうんで、これにて…」


軽くおじぎをすると奴は窓から飛び降り、夜の闇へと消え去った。


「……盗賊風情が…」





ダインヘルン城から離れた森の中。


「いやはや、最初は金払いがよかったからついたものの…反乱軍が優勢になっていく度に、渋るんだものな〜このままだと帝国ごと潰しにかかってくるんじゃないかあの野郎…そろそろ‘あの方,の元に戻るべきか…お前達はどう思う?」


その瞬間、彼の周り五人の異形の姿が現れた。身体を鱗で覆われ、トカゲのような姿を持つ種族、リザードマン。

強靭な身体をもち、岩をも砕く腕力を持った種族、オーク。

小柄な身体を持ちその悪知恵を持って相手を翻弄する種族、ゴブリン。

猫のような耳と尻尾を生やし、妖艶な色気を放つ獣人、キャートル。

そして生まれながらにして、魔術を使う為の力を備える、ウェスパニア大陸では珍しい種族、ダークエルフ。


「あの方からは卿を監視しろとお申しつけられていやす。気持ちは分かりますが、今回の仕事はそこらの小金稼ぎの仕事じゃないんで私情は抜いていきやしょうや」


リザードマンがそう言うとオークが反発した。


「ふざけるな!たかが人間共を助けるが為に私の部下が何人も犠牲になったのたぞ!あの人間!あの方からの命がなければ身体を引き裂いてやるというに!」


「ギシシ、確かにあの卿はムカつくよな…ワシのペットを使って少し痛めつけるか?」


「まあまあ落ち着くニャン。あの卿も役目を終えたら用済みニャ、それまでは我慢我慢ニャン」


「そうその通り、人間風情に従うのは癪だが、それまでの辛抱だ。これが終わればどうにでもしてくれよう」


キャートルとダークエルフは怒れるオークとゴブリンをたしなめる。


「あの方の命令なら仕方ないか…じゃあさっさと任務に励んで、反乱軍勝たせて、あのムカつく卿をぬっ殺すとしますか」


最後に笑うのは俺達だ。



第7話「首謀者」を読んで下さってありがとうございます。

今回は反乱を企てた者たちの話しになりましたが次回は主人公達の話へと戻るはずです。


今回の担当者はロリコン大魔王です


次回もよろしくお願いします

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