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異世界からの迷い人



第1話



頭が痛い、俺はいったいどうなったのであろうか。

痛む頭をおさえながら起き上がって見るとそこは俺が先程いた場所とは全く異なる所だった。


「…どこだここは?」


あたりを見回すと、見慣れた道路も道に並ぶ鉄柱もなく、代わりに見慣れぬ土地と茂り立つ木々がそこにはあった。


「さっき俺はトラックに轢かれたんだよな…なんでこんな所に…」


取り合えずここにいても何も始まらん。

ここがどこか確認するためにこの森を出ることにした。

森を歩いている途中しきりに気づく事があった。

それは辺りに生えている植物やそこらにうごめいている生物がどれもこれも見た事がない物ばかりであった。


「ここ本当に日本なのか?こんな所日本にあるなんて聞いたことがないぞ…」


鮮やかな色をした羽を持つトカゲに、そのトカゲが近づいた瞬間素早い動作でそのトカゲを補食する鳥の頭のような不気味な花。

こんな物、日本だけじゃなく外国でも聞いたことがない。

それなりに森を進んで行ったが、行けども行けどもあるのは森のみ。

いっこうに出口は見えなかった。


「はぁ…この森はどこまで続くんだよ。携帯も使えなくなってるし、連絡しようにも手段がねぇしどうすれば良いんだよ…」


文句を言ったところで状況が変わるわけでもなく、ただひたすらにこの奇怪な生物達の住む森を進んでいった。

すると遠くから人の声と金属音が聞こえてきた。


「ん?もしかして人がいるのか?やっとこの森から出られるのか!」


見知らぬ土地でやっと人に会えると思うと疲れた足にも力がもどり、その声が聞こえる方へと走った。

そこは戦場だった。

剣と剣がぶつかり火花が散り、空はどんてん矢が降り注ぎ、人が次々に倒れ伏していく。


「…なんなんだアレは…人が死んでる…何が起きてるんだよ!ここはいったいどこなんだ!!」


すると俺の顔をかすめて何かが飛んでいった。


「うわぁ!なんだ今の!」


「隊長!あんな所に身なりのいいガキがいますがどうしますか?」


「こんな所に貴族のガキが迷い込んだ?いや…それはない、ここは帝国本国からかなりの距離がある。だが関係がないとも言えん…適当に痛めつけて捕獲だ!」


そのとたん4人の兵士達がこちらに向かってきた。


「こ…こっちに来やがった!クソッ!」


危険を感じた俺は来た道を戻ろうとする。

がしかし…


「ガゥルル…」


「お、狼!?」


逃げようとした矢先待ち構えていたのは鋭い牙と爪、そして背中にいくつものトゲを生やす異形の化物達だった。


「ハッ!!ハンティングヴォルフから逃げられるわけないだろ!」


「チッ…もう逃げ道がねぇ。」


「さぁおとなしく捕まってもらおうか。安心しろ殺しはしない“殺しは”な…」


次の瞬間兵士達が一斉に俺に殴りかかってきた。そして俺はまた痛みと共に闇に落ちるのであった。






「痛っ!身体中がいてぇ…ここどこだよ…」


気がついた所は暗く湿った所で周りには鉄格子と汚ない布がかけてある台しかない。


「最初の森といい、この牢屋といい、いったい何が起こってるんだ…」


やれる事もなくただ呆然としていると牢の向こうから人が歩みよって来た。


「目が覚めたみたいだな。では質問に答えてもらおうか。」


「そんな事よりここはどこだよ…一体お前らは何なんだよ。」


「質問をしているのは私だ。貴様はただ答えていればいい。ではまず…貴様は帝国の者か?」


「帝国?そんなものしらねぇよ。ここがどこだかだってわからないって言うのに…」


「口の聞き方が気に入らんが…貴様は帝国も知らんのか?それともただしらを切っているだけなのか?」


実際俺はトラックに跳ねられ気が付いたらどこだか知らない森の中で横たわっていたのだから何も知らない。

ここは事実を言うしかない。



「本当に知らねぇよ帝国なんて!こっちはわけもわからず気が付いたら奇怪な森にいて、出れたと思えばお前らに襲われるでもう何がなんだかわけがわからねぇよ!」


「ふむ…どうやら本当に知らんようだな。いったいどこの辺境の者だ…では反乱軍の事も知らんと言うのか?」


「帝国もここがどこだかも知らないのにその反乱軍ってのを俺が知ってると思うか?」


一体、この国では何が起きているのか知りたいっての…。


「知らないどころの話してはないな…辺境どころか別大陸の者か?まぁいい…教えてやろう。」


また面倒臭そうな話が始まるのかと思うと気が思い…

だが何も知らない俺にとってはいい情報収集になるかな?まぁ聞いてやるか。


「我々反乱軍は今の腐った帝国の軍事政権を崩壊させ民による民の為の新しい政権を建てる事を目標に戦っているのだ。そして私達は…!」


その時いきなりすぐ近くで大きな爆発音がした。

牢屋の外では「な、なんだ今の爆発音は!」「うわぁ!」等と言う声が聞こえてみんな慌てている様子だ。

すると兵士がやって来る。


「敵襲!敵襲です!数は不明!敵は火薬砲でこのサールザル砦後方から攻撃してきます!!」


「チッ!帝国軍共が!!先程の戦いは我々の注意を前方に向けるためか!打って出よ!迎撃するのだ!!」


「おい!置いていくなよ!ってもう行っちまいやがった…どうにかして脱出しないと。」


鉄格子に手をかけてみるとさっきの爆発のせいか扉の部分が開きかけていた。


「よし…これなら開けられそうだな!」


鉄格子の扉が強烈な蹴りの一撃によって崩れた。

俺は通路に沿って突っ走った。

この状況から脱出するための出口を探して。



その先に何が待ち構えるかも知らず…。



第1話「異世界からの迷い人」をお読み頂きありがとうございますm(__)m


ここから本編がスタートしますのでこれからもよろしくお願いします。


今回の担当者はロリコン大魔王様でした。

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