幻想理論
ーープロローグーー
なにもつまらない世界。
普通に生活したってつまらなくて色褪せているのに俺の世界はもっと最悪だった。
玄関を出ようとした時、声をかけられた。
けど俺は振り返らなかった。
「学校に行くなら一声かけたらどうなんだ友埼?」
「黙れアル中野郎。」
そしてまた色褪せた1日が始まった。
俺はいつもと変わらない道を歩き片道10分の短い道をただひたすらに歩いている。
「よ!またそんな顔しやがって、朝から運気逃げるぞ。」
「どうでもいいだろ…」
コイツは俺の悪友の佐々木だ。
なぜか1年の頃からしつこく話しかけてくる変わった奴だ。
「お前がコワ〜イ顔するから怖がられるんだぜ?」
「こんなの今に始まった事じゃない…」
俺は人に避けられている。確か中学卒業辺りからだ。両親の離婚の話がその時から俺という人は壊れてしまった。
元々人を避けるような性格だったが、親のことからそれが加速したのだ。
今は別居していて離婚は終わったが親父が酒に溺れてアルコール中毒になって今ではどこか足りない人になってしまった。
そんなつまらない話をしているうちに教室に着いてしまった。
「今日はどうするんだ?また寝るのか?それとも屋上に行くか?」
「寝る。」
俺はHRが始まる前に寝ていつものように昼まで過ごすことにした。
「おい、起きろ〜!」
あのバカの声が頭に響く。
「もう昼か…さて行くか。」
そう俺の唯一の楽しみで一番俺が動いている時間、それが昼の最初の10分なのだ。
チャイムがスタートの合図だ。
「焼きそばパンとビフテキサンドを今日もいただく。」
「いいぜ。」
ゴール50mになった時ラスボス「通称、生徒指導」の横山だ。
「今日こそ止めるぞ…本多、佐々木!」
2mの長身が長い木刀を持ち道を塞いでいる。
こうなると方法は一つしかない。
「おい佐々木…札を渡せ。ここで時間を稼げ、そのうちに俺が行く。」
「わかった。任せたぞ!」
そして佐々木がラスボスのところへ走って行きうまく翻弄させる。
「よし、今だ!」
俺も走りだした、真っ直ぐラスボスのところに。
「横山には悪いが邪魔するぜ。」
1蹴り、ラスボスの腹目掛けて蹴るが木刀に止められる。
佐々木の合図とともに俺はスライディングを決めた。
「な、なんだと…!」
そして俺はゆっくりと購買に近づき目標をゲットした。
「いや〜流石本多だぜ!それじゃいつもの場所にな。」
そして俺たちはその場を離れた。
「おっ!我らの勇者様がやっと来ましたか。」
「勇者じゃない。ほら…」
この屋上は元々色々な人がいたのだが俺たちが来てから誰一人として来なくなったのだ。
「てか毎回思うんだがビフテキのサンドが500円って安いよなぁ…」
「そうだな、しっかりと入ってるのにな。」
そう、これが俺の日常なのだ。そしてこの日常が嫌なのだ。
「お前はこんな世界が嫌なんだろ?」
「あぁ…」
「まったく…贅沢な奴だな。」
もう俺は贅沢なのかもしれない。
毎日がこんなにも面白いのにこの世界を碇している。
そして学校も終わり俺はいつもの日課になっている河原に向かっている。
そこにはなにかがあるわけでもなくなぜかそこに足そこを目指してしまうのだ。
「またここに来たか…」
本当になにもない場所、ここに俺のなにかがあるのだろうか…。
辺りが真っ暗になるとさっきまで動かなかった足が動かせるのようになっていた。
携帯を見ると時刻は20時を過ぎていた。
「帰るか…ん?」
携帯を操作しながら帰路を歩いていると1件のメールがあった。
「メールか…」
メールを見ようとした時、道幅いっぱいの大型トラックがもの凄いスピードでこちらに向かって来ている。
運転手は寝ているようだ、こうなるとどこかの脇道にと考えたのだが今自分が歩いている道は一本道なのだ。
「どうする!残り50mもない、今から走っても…無理か!クソッ!」
そして俺の体は宙を舞った。物凄い衝撃と不思議な感覚の後に全てが闇に落ちた。
本作品は友人とのリレー小説との事で超電磁ボーイ様がプロローグを担当しました。
次回作は別の者が担当し1話から本格的に内容に入っていくので今後もよろしくお願いしますm(__)m