青龍伝 悪く思うなよ
オリジナル展開の時は乙女武将たちは空気です。多分。
意図的にっていうわけではないんですけども。マコトとユージをメインに持ってくると、どうしても武将達とのからみがやりにくいんですよねぇ。実力不足です。すいません。
「で?作戦はどうなんだよ。相棒」
オレらは町の料理屋で作戦を練っている。
ユージがタンカを切った後、オレらは町長と会って、合意を得た。何の合意かっつーと、『賊をぶっ飛ばすから、タダメシと上等な寝床よろしくな』っていうヤツ。
オレらが頼むどころか、頼まれ返されちまった。
二十年生きてきたが、あそこまでキレイな土下座は初だったな。
そして、三人娘を町に残し、オレらは十分ほど前に偵察に向かった。
ヤツラは三十~三十五人程度で、頭らしきヤツはヒゲ面の男だった。
荒野のド真ん中で、景気付けのつもりか、どっかから奪ってきたであろう大量の酒を全員で浴びるように飲んでいた。
そして、今。
「プランBだ」
「あ?ねぇよ、そんなモン」
コイツはいつも妙なタイミングで洒落てないボケをかますクセがある。まったく、困ったモンだ。
まぁ、それにいちいち応じるオレもどうかと思うけどもな。
プランBなんてこの時代に無い言葉を使っちまったモンだから、三人娘は目を丸くしている。
まぁ、フォローはいらないか。
「まぁ、冗談はさておき、肝心の作戦だが。偵察に行く前に、ここの仕立て屋に注文しておいた物がある」
そう言ってユージは足元の箱を机の上に置いた。
「何?それ」
と、劉備。
「まぁ、焦りなさんな。これは賊の物に極力似せてある服だ。これを使う」
箱から出てきたのは、茶色のごくごく普通の服。多分、新品なんだろうが、いい具合に汚してあるから、賊供の薄汚い服に確かに似ている。
箱の中には、ヤツらのシンボルである、黄色の頭巾も入っている。
「まさか、コイツでヤツらに紛れ込むのか?」
オレが言うと、ユージは指パッチンをして、オレを指さす。
「ご明察」
カッコつけすぎだろ。
「紛れ込んで、どうするのです?」
関羽がたずねる。
「簡単な話だ。紛れ込み、大将を討つ。奴らは頭を失えばとたんに統率を失い、ただの荒くれ者と化すだろう。そうなれば、少人数でも畳むのは簡単になる」
「なるほどね・・・。で?具体的には?」
ユージが深く頷く。
「先程、奴らは酒盛りを始めていた。既に大半が酔いつぶれているだろう。それなら、紛れ込むのはたやすい。頭を討った後、適当に奴らにハッパをかける。仲間割れをするようにな。酔っ払ってる奴らだ、あっという間に頭に血が上って、仲間割れを始めるだろう」
「そして、ズタボロになったヤツらを喰ってやる。と」
オレが、言葉をつないでやる。
「その通りだ。以上が、今回の作戦だ。何か質問は?」
「ず・・・ずいぶん無茶苦茶な作戦ですね・・・」
関羽が苦笑しながら言う。まぁ、普通そう思うわな。
「まぁ、五人で三十人と少しを相手しようってトコで無茶だけどな。さて、着替えてくるとするよ」
そう言って、オレは席を立った。冷静に考えると、かなり危険な冒険だが、もっとヤベェ修羅場を何度も潜ってきたんだ。今更、恐怖など感じるかよ。
数分後、オレは賊共の中に居た。全員、高いびきだ。
ヤツらの頭も、気持ちよさそうに眠っている。すぐに永遠の眠りについてもらうとするか。
オレは頭の口元を抑えて、呟いた。
「悪く思うなよ・・・・・・」
結構強めに抑えているのに、目を覚まさない頭の首にオレは、町の鍛冶屋からもらった短刀を突き立てた。
しばらくして、手に付いた血をふき取ったオレは近くに居たヤロウの腰に短刀を差した。
そして、少し離れたヤツを起こした。
「おい。おい。大将。起きろって」
「あぁ?んだよ。うっせぇなぁ・・・・・・」
「ヤベェよ。頭が殺されちまってるぞ」
オレがそういうと、賊の男は鼻で笑った。
「おっと。信じてねェのかよ?じゃ、自分で確かめてみろよ」
「ったく。冗談ならもっと笑えるやつを・・・か、かしr・・・ムググ・・・」
賊の男が頭の死体を見つけ、声を上げそうになった。寸でのところで口を塞いだ。
危ねェ、危ねェ。今、大声出したらみんな起きちまう。
「待て。今、皆を起こしちまったら混乱が起きる」
まぁ、それも悪くねぇが仲間割れが起きないかもしれないからな。
「そ、そうだな・・・。犯人、俺らだけでぶっ殺しちまうか?」
「アン?目星付いてンのかよ?」
「ああ。アイツ。見ろよ」
そういって、賊が指差したのは短刀を持たせた男。
「なんでアイツだと?」
「だってよ。あのヤロウ、普段から感じ悪いし、頭にもいろいろ不満あったみたいだしよ。最近じゃ、自分の言うこと聞くヤツ集めて、なんか企んでたみたいだしよ」
運が良いぞ!一番、頭を殺すっぽいヤロウに罪を着せることに成功したみてぇだ。
しかも派閥みてぇなモン組んでるってよ!
「おい、さっきから気になってンだけどよ。アイツの腰んトコ見てみろよ」
と、オレ。腰にはさっきの短刀が差してある。(っつーか、オレが差した)
血でベットリの短刀を見た賊は、歯軋りした。
「間違いない・・・・・・!あのヤロウ・・・!」
おー。怒ってる、怒ってる。
ここらで・・・
「おい。お前、ヤツの派閥以外のヤツラを味方につけられるか?」
数十分後。オレは堂々の凱旋をしていた。
三人娘とユージが出迎えてくれる。町人たちは誰もいない。万が一のため、ユージが出てこないようにと言っていたな。そういや。
「どうだった」
オレはビシッとサムズアップをして、応えてやった。
「楽勝!」
あの後。オレは賊の男に、部隊を組んで短刀を持たせた男の派閥のヤツラを皆殺しにしろ。と、言ってやった。そっからは簡単だった。今更ここで言うまでも無い。
「今頃、奴さん達お互いを殺しあってるだろうよ」
オレがそこまで言った瞬間、後ろから鬨のような声が上がった。
声の主は・・・言わなくても分かるよな?
「楽勝じゃなかったか?」
ユージが皮肉っぽく言った。
「あー。いや、仲間割れを起こさせたよ?そこは、楽勝だった」
「はいはい。んじゃあ、頑張れ」
ヲイ。赤城さんチの雄二君?いったい何をしているんだい?
僕の目には、劉備と一緒に梯子で屋根に上ってるように映ってるんだけども?
「おい!戦わないのか?」
「戦うのはお前らの役目だ。マコト。関羽。張飛」
言葉の最中で上りきったヤツは、預けておいたオレの大刀を投げた。
「やれやれだな・・・。ったくよ!」
地面にぶっ刺さった大刀を勢い良く引き抜いたオレは、覚悟を決めた。
「だいぶ減ってんな」
走ってきた賊は、遠目に見て十人前後。おまけに、ほぼ全員が傷を負っている。なんで来たんだか。
「あの程度なら、私一人で十分です。二人共下がって」
と、関羽が得物の青龍堰月刀を構え言う。
「鈴々がやっつけるのだ!愛紗こそ下がってるのだ!!」
張飛も負けじと、蛇矛を構えつつ言う。自分の身長を遥かに超える長さを持ち、決して軽くない得物を軽々と操るとは。おチビちゃんとはいえ、さすがは張飛だな。
「いや。オレがやる。取りこぼしをくれてやるよ」
譲る気は無い。当然の事ながら、二人は不満をもらす。
「まぁ、譲ってくれよ。オレにとっちゃあ、この世界での始めての戦いなんだからサ。練習、練習」
オレがそう言うと、しぶしぶながらも二人は一歩下がってくれた。
賊も、もう町の中に入ってきていた。ひとまず、オレらをぶっ殺そうとこちらに向かって突っ込んでくる。
「死にたくなかったら、引き返せ!!」
言ってはみたが、ヤツらはオレらを殺すことで頭がいっぱいらしい。退く気配は全く無い。
「うし。んじゃま、行きますか!!」
オレはヤツらに突っ込んだ。
まず、三人が横一列になってかかってきた。
短く息を吐き、大刀を右に薙ぐ。頭が悪いのか、負傷で出来ないのかは知らねェが、ヤツらは防御もせずにオレに切られた。
右と真ん中の二人の首はぶっ飛んだ。やや左下に向けて刃を振ったので、一番左のヤツは胸を切られ、地面に倒れた。即死ではないだろうが、多分、心臓まで刃は届いただろう。そのうち、この世とはオサラバだ。
お次は一人だった。今度はしっかりとした構えをとり、じりじりと迫ってくる。
後ろの賊共は止まって、いつでも割ってはいれるように全員が構えている。
良く見ると、コイツはあまり傷を負っていない。が、持っている戟には血がべっとりだ。
つまり、そこそこ腕が立つか、不意打ちヤローか。
まぁ、戦ってみりゃあ分かる事だ。
自分は、書きかけの話を「未完成」として、一旦投稿し、後々編集して完成させるという手法でいってます。ご了承を。