朱雀伝 神様ってヤツがいるとしたら
マコトの野郎。結構遠くに行ってしまった。待ってられないな。
「続けてくれ」
劉備が言う。
「へ?でも誠さんは・・・・・・」
「放っておけ。さ、続きだ」
関羽が言う。
「雄二殿は確かにそれなりの威厳があるが、誠殿には、英雄たる雰囲気は感じられぬな」
「そうかなぁ?そんな事ないとおもうけどなぁ?」
なるほど。劉備が人を見る目に優れていたというのは本当らしい。
「アイツは普通のものさしで測れるようなヤツではない。当然、俺もな」
と、言ったが三人は俺を値踏みするかのような目つきでじろじろ見てくる。居心地が悪い。
「で?その天の御使いとやらは何なんだ?」
「この乱世に平和を誘う天の使者。・・・・・・自称大陸一の占い師の言葉です」
「ふん。それが俺たちだと?面白い。で、アンタ達は何がしたい?」
劉備が答える。
「うん。今、この大陸を治めてる漢王朝は腐敗して、賄賂や汚職は当たり前。盗賊も勢いを増してみんなが困ってる。そんな弱い人たちを守ろうって立ち上がったんだけど・・・三人じゃ何もできなくて」
「ゲヘッ・・・そりゃまた・・・ゴホッゴホッ・・・見事な理想だな・・・ウヘッ・・・乱世には到底似つかわしくない・・・」
バカが戻ってきた。さっきコイツを評価した言葉をすごく撤回したい様だが、なんとか刀は取り戻せたらしい。
コイツが戻ってきて話が中断されたので、俺が促す。
「できなくて?」
関羽が続ける。
「方策を考えているところで管路と出会い・・・・・・」
張飛が後に続く。
「天の御使いさまの占いを信じてここまでやってきたってすんぽーなのだ!」
「ふーん。で、来てみたらオレらが居たと・・・・・・」
マコトもなんとか復活したようだ。
「その占いが真実だとすれば、やはり天の御使いは俺達ということになるな」
いきなり異世界に飛ばされ、乱世を鎮めろとは。神様ってヤツが居るとしたら、きっと俺達が嫌いなのだろう。
そんなことを考えていたら、ぐるぅぅぅぅぅという音が鳴った。まさか・・・・・・
マコトを見る。
「そういや、朝飯食ってなかったな」
空気を読めやコラ。
「「「・・・・・・」」」
三人もおもいきり目を開け驚いている。コイツの腹の虫は常人に比べてかなりの暴れん坊なのだ。
だが、まぁ確かに腹は空いている。
張飛が叫んだ。
「鈴々もおなか減ったのだー!!」
「私達も朝ごはんまだだもんねー」
「近くの町に移動しますか」
「じゃあ、行くか」
「ああ」
こうして俺達は近くの町に食事と話のために移動することにした。この時代の通貨は持っていないから、ごちそうになるしかないな。
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