内なる悪魔
「ジョー・・・起きてる?」
「うーん・・・なに?」
「ごめんね・・チョット一杯付き合って・・・」
フォクシーは、ウイスキーのビンを持っていた。
「いいですよ」
あんな事が有ったんだ、飲みたい気持ちよく分かる。
と言うか、俺も飲みたい気分だ。
フォクシーは、コップを2個持ってくると、ウイスキーを注いだ。
「あの子はね・・・赤ちゃんの時からアタシが育てたの」
「そうだったんですか・・・・」(涙)
「アタシ、身体は男だから赤ちゃん産めないでしょ・・・」
「うんうん・・・」
「だから、自分の赤ちゃんだと思って育てたの・・・ジョリーぃぃぃぃ!!!!」
フォクシーは、泣き上戸だった。
「そうですか・・・・うえーん」
俺ももらい泣きした。
「あのね、ジョーにお願いがあるの・・・・」
「?」
「アタシ、もう直ぐ自分の中の悪魔を抑えきれなく成りそうなの」
「?」
「私の本当の両親は大神会にヨーロッパで捕獲され、無理やりに日本に連れて来られたの」
フォクシーは、身の上話を始めた。
大神会は、戦時中から超人兵士の研究をしてた。
あなたの知っている熊尾の研究も、陰で大神会が糸を引いていたの。
30年前、両親は実験目的で日本に連れてこられた。
大神会は、日本を本気で我が物にしようとしている悪の秘密結社なの。
狼男の身体を研究して、超人兵を作ろうと企んでいた。
母はアタシを身篭っていて、日本でアタシを産んだ。
アタシは、大神会にとって恰好の研究材料だった。
大神会は、アタシを両親から奪おうとした。
その行為に父は怒り、閉じ込められていた檻を破り研究員を皆殺しにし逃げた。
父はすでに怒りに我を忘れ、内なる悪魔に乗っ取られてしまったの。
真の狼男として覚醒してしまった。
日本政府は、花園の父の十兵衛に退治するよう命じた。
アタシの本当の両親は、十兵衛に殺された。
そのとき、大神 貫も十兵衛に殺されたはずだったが、なぜか生きていた。
十兵衛が両親を殺した時、赤ん坊の泣き声が聞こえたの。
それは、アタシだった。
十兵衛は、丁度同じ歳のカレンに面影が重なり、どうしてもアタシを殺すことが出来なかった。
十兵衛は里にアタシを連れ帰り、長の反対を押し切り「この子が大人になり狼男に成り下がったならば、その時はこの手で殺します」と約束し、アタシを引き取った。
そう言えば、あなた花園っちの名前知ってる?
義郎って言うのよ。
十兵衛とお母さんのお春は、義郎とカレンとアタシを分け隔てなく育ててくれた。
そんな折り、十年前に大神会は、さらに狼男を日本に連れて来て又もや逃がした。
十兵衛は、すでに引退して一族の長の座についていた。
そして今度は、アタシ3人だけで退治しろと命じた。
そのとき、カレンは大怪我をしたの。
そこからは、あまり覚えていないの・・・気が付いたら、花園っちが倒れていて・・・・
聞いた話によると、カレンの怪我に逆上したアタシは、敵を倒したのだけど、前後の見境が無くなり辺り構わず暴れだした。
花園っちが決死の覚悟でアタシを気絶させたの。
そのとき花園っちも深手を負った。
十兵衛は、アタシとカレンを引き離した。
カレンが、アタシの引き金に成ると考えたから。
そのとき、アタシを一人で里から出すのは危険と判断しカレンを一人里から離れて暮らすように命じた。
そのとき、カレンがジョリーをアタシにくれたの。
アタシが寂しくないようにって・・・・
zzzzzz・・・・・
俺は、寝ていた。
「ジョー!お願いってのはね!」
「なに!?・・・フォクシーちゃん」
俺は、すでにヘベレケに成っていた。
「もし今度の戦いでアタシが又前と同じように怒りに我を忘れるように成ったら、貴方がこれでアタシを撃って」
フォクシーが出したのは古いコルトのリボルバーだった。
「銀の弾丸が6発込められているわ」
俺は、一気に酔いが覚めた。
「ジョリーの仇を討ちたい。でも感じるの、その時はアタシの中の悪魔が目覚める時だって」
「カレンや花園っちはアタシを撃つのを躊躇うわ。だけど、一瞬の迷いは、アタシが花園っちを殺すことに成る」
「だから、貴方に頼むの」
「アタシは、ジョリーの仇を討つわ!そうしたら、カレンや花園っちや貴方を傷つける前に撃って」
俺は、迷った。
でも、必ずそうなるとは限らないし・・・・
「お願い、アタシを人間のまま死なせて・・・・怪物に成りたくないの」
俺は、黙って頷くと銃を受け取った。