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自己啓発セミナー アキバ系

河奈知明37才、独身、体重100kg、彼女無し。

と言うか、生まれて此の方女性にモテた試しが無かった。

引っ込み思案な性格もあるが、自分の体型にコンプレックスが有った。

趣味は、アニメとフィギュアと釣り。

マクロスFのシェリル・ノームが好みのタイプだった。

河奈は、詰まらない人生を送っていると思っていた。

神様は不公平で、自分に割の合わない事ばかり押し付けていると思っていた。

それもこれもみんな社会が悪くて、自分ではどうにもならないと思っていた。

河奈は、行きつけのメイド喫茶行く途中だった。

店の前まで来ると、マクロスのランカ・リーのコスプレをした女子がいた。

店の子だ、何度か見たことが有る。

「ねぇ、君この前も来たよね?」

俺の事を覚えてくれていた。

「あのさぁ、私バイト終わるからチョット付き合わない?」

「えっ」いきなりの誘いにドキドキした。

「この先で自己啓発セミナーが有るんだけど、ノルマで一人連れていかなくちゃならないんだ」

チョット、がっかりした。

「その後も予定無くて暇だから今度は私が付き合うから、人助けだと思って来てくれないかな・・・」

チョット怪しげだったけど、この子可愛いから行ってもいいかなと思った。

「いいけど・・・・」

「じゃ!決まり!ありがとう!チョット待っててね」

ランカ・リーは、一旦店に入り私服に着替えてきた。

「私、郡山ハナ子」

「・・・?」

「変な名前でしょ、よく田舎の銀行の記入例みたいって言われるわ」

と言って腕を組んできた。

少し、恥ずかしかったけど嬉しかった。

セミナーの会場についた。

そこは、公民館の貸し会議室だった。

入り口でライ麦パンを配っていた。

「私たちが作ったパンです、どうぞ試食してください」

これ又可愛い子がニッコリとして配っていた。

河奈が、パンを受け取ると「あっ今の子に見とれてたでしょ!プンプン!こんな可愛い子と一緒にいるのに!」とハナ子が言った。

パンを頬張ると席に付いた。

「大神 貫さんって人のセミナーなんだけど、すごくいい人なんだ」とハナ子が言った。

「ふーん」正直興味無かった。それよりチョットお腹が痛い気がしてきた。

「ほら、始まるよ」

出てきたのは、身長130cm位の子供かと思う位小さな男だった。

「こんにちは、沢山の人にお集まりして頂き大変嬉しく思っています」

だんだん、腹痛が痛くなってきた。

「ねぇハナ子ちゃん、何だかお腹痛いんだけどあのパン変じゃなかった?」

「えっ?大丈夫だけど?・・・・痛むの?」

「うん・・・・でも少し痛みが引いてきたみたい・・・大丈夫かも」

「そう・・・もしあれだったら、恥ずかしがらないでトイレに行ってきなよ」

それは、出来れば避けたかった。

せっかく女性の知り合いが出来たのに、きっと『ウ○コ』のイメージに成ってしまう。

「分かった、でも大丈夫」

少し我慢していたら、痛みは引いてきた。よかった。

今度は、手足がポカポカと暖かくなってきた。

少し、頭がポーっとしてきて、妙に気持ち良くなってきた。

演説は続いていた。

「君たちは、社会全体に虐げられていると思わないか?割の合わない事ばかりと思わないか?」

そうそう、そのとおり。

「僕は、君たちの事を『キモい』とか思わない、むしろ専門知識に長けているスペシャリストだと思っている」

おお、いい事言うね。

「私は、背が低くてずっとその事でイジメに有ってました」

体型の事でイジメなんて許せないな・・・

「私は、それをバネに一念発起し起業しました!Y県K村に私が作ったファクトリーが有ります、そこではコンピューターの組み立てやバイオテクノロジーの研究、アニメーションの製作などもしています。宿舎も完備してます」

ふーん・・・・社員募集か・・・・

「そこで、気の合う仲間と語り合いながら新しい人生をやり直してみませんか?」

「私は、あなたを必要としているのです」

あれ??なんか??すごくいい気持ち??何でだろう??

大神 貫さんか~・・・・なんか俺の事分かってくれそうな気がする・・・

「忘れないでください、必ず人生が一変します」

「詰まらない人生、終わりにしましょう!」


セミナーが終わった。

結局、人材募集だったのか???

よく分からないけど、貫さんはいい人だ。

「ねぇ?私、行ってみようと思うんだけど・・・よかったら一緒に行かない?」

「えっ・・・」

「Y県のファクトリーよ!一緒に生活しようよ」

「え・・・・いいけど・・・」

「じゃぁ決まり!メアド教えるね!赤外線使える??」

「うん・・・」

なんだか、夢を見ているみたいだ・・・とっても気持ちいい・・・・

「ねぇ・・・・これからどうする?」

「えっ」

「私・・・・何だかエッチな気分になっちゃった・・・・」

「えっ??」

「HOTEL行かない??私、大きいヒト好きなんだ・・・パンダさんみたいで・・・」

「・・・いいけど・・・」

河奈にとって忘れられない一夜になった。


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