闇の眷属の末裔
花園は、壁に刺さっている手裏剣を見ると「なんだ、お前ら又喧嘩してたのか?」と言った。
「ジョー、アンマリ気にしなくていいぞ、昔から朝の恒例行事なんだ」。
「えっ昔から?」
「俺たち3人は、兄弟の様に育ったんだ」
「そうなんですか?へぇ」
「特にこいつら2人は同じ歳で、うちのお袋のオッパイを分け合った乳兄弟なのさ」
「どうりで、仲がいい訳だ」
「チョット!誰と誰が仲いいってぇ!」
と二人同時に言って、お互い一瞬顔を見合わせると「フン!」とこれまた合わせ鏡のように同じ行動を取った。
「クスッ」と俺が思わず笑うと「笑うな!」とこれまた同時に言った。
「本題に入るぞ」花園が、このやり取りを終わらせた。
「そうそうバッカクってなんですか?」
「主に穀類に発生する植物の病気さ、麦角菌に感染すると毒素を作る、それが麦角アルカロイド」
「はぁ・・・そうですか」
若干、難しそうな話に成りそう・・・・
「狼男の伝説知ってるか?」
「はい、伝説じゃない人も知ってます」
「その伝説は世界各地に有って、ヨーロッパなら狼男、南米ならワージャガー、中国なら野人、日本なら狐憑き」
「ああ、それならなんとなく知ってます」
「その殆んどが麦角中毒と狂犬病だったのではないかと言われている」
「なるほど」
「麦角中毒は、四肢の麻痺、思考力の低下、幻覚・興奮等の作用がある」
「えっそうなんですか?」
「あのLSDは麦角成分の研究過程で発見されたものだ」
「ええっ!じゃぁみんなジャンキーなの?」
「おそらく、毒性の低い幻覚や興奮の作用に特化した菌を作り出したのだろう」
「はぁなるほど・・・・でここにいらっしゃる、本物さんはヤッパリ麦角中毒なんですか?」
「それは、あたしから話すわ」
フォクシーが、話し始めた。
「私は、中世ヨーロッパを恐怖のどん底に落とした闇の眷族の末裔よ。」
「じゃぁ本当の話だったの?」
「私は、狂犬病を保菌しても死なない身体なの」
「えっ狂犬病って犬の病気じゃないの?」
「狂犬病は、あらゆる哺乳類に掛かる病気で致死率100%と言われている恐ろしい病気」
「ええ?ヒャクパー??」
「そう、ギネスに載ってるわ」
「うへー」
「脳にウイルスが達すると、発病して脳に障害が起こるのよ、発狂して性格が凶暴に成ったりするのそして死ぬ」
「怖い病気ですね」
「私達一族は、人間離れした身体能力を得る事が出来た。その代償が異常に濃い体毛、巨人症、それからあたしの場合は心が女の子なのよ」
そうなんだ・・・・