麦角アルカロイド
トントントントン、大根を切る音がする。
フォクシーは、朝食の準備をしていた。
フォクシーは、幸せだった。
ガスッ!
いきなり小突かれて目が覚めた。
「何時まで寝てやがる!」
「ふぁぁ・・・・オハヨウございますカレンさん・・・・ムニャムニャ・・・あれっ良い匂い」
身体を起こすと肩に激痛が走った。
肩は、丁寧に手当てが施されていた。
「あら、起きたのダーリン」
ダーリン?
はっ!俺は、反射的に肛門を押えた。
「やだ、何もしてないわよ~もう」
カレンは、なにやら気にくわない様子だった。
「おいっ!なんでオカマチューバッカが飯作ってるんだよ!」
「あっごめんなさい、あたしが勝手にしたことなの・・・殿方にご飯作りさせられないわ」
カレンは、カチンと来た様子だ。
「おい!ジョリー!これやるぞ食え」
ジョリーは、カレンがご飯に味噌汁をかけて差し出すと、匂いだけ嗅いでプイっとソッポを向いてしまった。
「見ろよ!てめぇの作った飯なんか、犬も喰わねぇ」
と言って、ゲラゲラ笑い出した。
「キー!!ジョリー!あんたって子は!あんたって子は!」
フォクシーは、ジョリーを追い回した。
ジョリーは、素早くカレンの後ろに隠れた。
「よせよ、怯えてるじゃねぇかジョリーがぁ」
犬はその場の主人を本能で見分けると言うが、利口な犬だ。
「キー!なによカレン!チョットばっかりキレイな顔してるからって、この男女!」
「何だと!このオカマ!」
カレンが手裏剣を投げた。
フォクシーは、軽く避けた。
「そんなの当らないわよ~べろべろべー」
やばい、この場で喧嘩が始まったらどうやって止めよう?
多分、無理。
そうだ!
「美味い!!最高だよフォクシーちゃん!この味噌汁!おふくろを思い出した」
「えっ本当?嬉しい、大好きダーリン」
「ああ?なんだお前らもうそんな仲良しになっちゃったんだ?」
カレンは、なにやら含みのある笑いをした。
「いや、昨日は・・・えっと」
「やぁねぇカレン。昨日はダーリン怪我しちゃって、事務所の前で気絶しちゃったのよ・・・もちろん、何にもないから安心して」
「バカ野郎!なんで俺が安心するんだよ」
カレンは赤くなった。
そこに花園が入ってきた。
「おう揃ってるな、昨日は災難だったなジョー」
よかった、やっとまともな人が来た。
「検死解剖の結果、郡山ハナ子の体液から麦角アルカロイドが、検出された」
バッカク?