ジョー&フォクシー
俺は、Y県にワゴンRを飛ばした。
飛ばすと言うほどスピードは出ないけど…
登坂車線は迷わず使う感じで…
出発前に銃を用意する俺に「そんなもの使わせないわよ」と言ったきり、フォクシーちゃんは無言だった。
なんとなく気まずい感じだったのでカーステレオをかけたら、オジーがかかった。
「月に吼える」だ…
これまた気まずい感じだったので、慌てて切った。
そうこうしている内にファクトリーに到着した。
少し離れた湖畔のパーキングに車を駐めた。
「ジョー、あなたはここで待ってて」
「なんで?俺も行く」
「足手まといなのよ」
「!?」
「二時間して帰って来なかったら、あなた独りで逃げなさい」
「…」
「事務所に帰っちゃ駄目よ、花園に連絡しなさい」
「チョット待ってフォクシーちゃん!フォクシーちゃんがもし怪物に成ってしまったら、誰が止めるの?俺にその役目託したんじゃないの!」
「それは・・・・・とにかく、危険なのよ!」
押し問答が続いた。
コンコン!
誰かが、ドアをノックした。
花園だった。
「ご苦労!」
花園が言った。
おれは、経緯を説明した。
「フォクシー独りで行かせる訳にはいかん、それこそ思う壺」
「でも、カレンが・・・・」
「なぁに大丈夫!直ぐに脱出してくるさ、くのいちだぜ」