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婚約者が前世の恋人(現在3歳児)と結婚したいと言ってます(笑)

作者: 雪ねこ柳
掲載日:2026/06/04

よろしくお願いします

 私には婚約者がいる。

 互いの両親が親友だったことから、子供の頃から顔を合わせていた。所謂、幼馴染ね。それがいつの間にか婚約者にアップグレードしていたわけ。

 

 彼の名前は、マックス・オルソン子爵令息。

 昔から一緒。遊ぶのも学ぶのも。貴族が通う学園も。

 そんな私は、クラーラ・アルテアン子爵令嬢。お互い18歳。

 

 今日は、婚約者同士の交流という名の、定期的なお茶会を私の家で催していた。だけどいつも明るく元気な婚約者が、今日はなぜか、どよんと暗い。

 

「ねえ、どうしたのよ。めっちゃ暗いけど」

「はああ、聞いてほしいことがあるんだ」

 

 彼は落ち込みを隠そうともせず、盛大に息を吐くと、ずっと俯いていた顔をあげた。

 

 髪は淡い茶色で瞳はグリーン。一応は中の上くらいの顔で、まあまあモテなくもない。

 でも、いわゆる普通の人ね。なので、ため息ついても、ちっとも麗しくない。

 まあ、私も髪は濃い茶色と淡い茶色の瞳、普通と言えば普通だけど。でも、彼よりはモテる。大事なことなので、もう一度。奴よりは、モテる。

 

「んで、どうしたのよ」

 

 まだ暖かい紅茶を口に含む。

 

「…俺、前世を思い出したんだ」

 

 吹いた。

 

 付き添っていたメイドのカトカが無言でテーブルを片付ける中、私は混乱した脳内を整理した。そんな私に追い打ちをかけるように、彼は前世を語りはじめた。

 

「昨夜、夢をみたんだ」

「ほう」

「夢の中で、俺は彼女といた。恋人だ」

「ほう」

「彼女と約束したんだ。生まれ変わってもまた会おうと。君を探して、一緒になろうって」

「ほほう」

「…適当に返事してね?」

 

 私は入れ直してもらった紅茶を飲む。

 

「だって、それ、夢なんでしょ?」

「ちがーう、それを見て、俺は思い出したんだ。あれは本当に、前世の記憶なんだ!」

「そ」

 

 マックスが、がるるる唸る。

 

「で、前世を思い出して、どうしてそんなに落ち込んでいるのよ?」

「あ、そーだ。それでだな」

 

 ポンと手を叩いて、またシリアス落ち込みモードに戻って、俯いた。

 

「前世の彼女っていうのが……君の妹なんだ」

「はあ?」

 

 もう一度、紅茶を飲む。ゆっくり落ち着いて、カップを戻した。

 いち、にい、さん、呼吸を整える。

 

「………私の妹って言ったわよね」

「おう」

「………私の妹のメミウは、3歳よ?」

「おおう」

 

 私は椅子を吹っ飛ばして立ち上がる。

 

「3歳児に惚れてるってことかああ?ふざけんなよおおお!」

「しょうがないだろっ!前世の恋人なんだからよおおお!」

 

 彼も椅子をぶん投げた。後ろで彼の護衛のハンスがキャッチする。

 ナイス。

 それ見たら、なんか冷静になれたわ。

 カトカも椅子を戻してくれたから、お互い何事もなかったかのように、すたっと座った。

 

「仕方ないわね。カトカ」

 

 私は自分のメイドを呼んだ。

 

「はい、お嬢様。なんでしょう」

「お父様をお呼びしてちょうだい」

「おい待て、どうして義父上を呼ぶ必要があるんだ?」

「決まっているでしょ?」

 

 私は優雅に扇子を開いて、口元を隠す。

 

「お父様に武器を持参するように伝えなさい」

「もちろんです、お嬢様」

「いやまて、何お前ら結託している?」

「お父様は、今、メミウ大好きっ子なのです。毎日毎日メミウを抱っこして頬擦りして、パパお髭がいたーい。おおう、かわい子ちゃんでしゅねええを、毎日繰り返すバカ親父なのです」

「痛いぞ義父上」

「そんなお父様の大切なむちゅめを、前世の恋人だからと奪おうとする輩を、お父様がどうするか。もうお分かりでしょう」

「一刀両断」

「やめてっ!泣いちゃう」

 

 マックスが自分の両手で自分を抱きしめている。可愛くないぞ。

 

「あのなあ、流石に前世の恋人でも、3歳児と結婚したいなんて言うわけないだろ?」

 

 おおう、珍しく常識が聞こえた。ですわよねえ。

 

「あと10年は待てる」

「やはり武器を」

「一刀両断」

「まてい、メイド」

 

 マックスが慌てて立ち上がる。もう椅子いらなくね?

 

「マックスの言いたいことはわかったわ。つまり婚約解消したいと言うことね」

 

 遠回しに言えばそう言うことなのか。

 うんうん、頷いていると、マックスが今度は自分で椅子を直して座った。

 

「婚約解消する気はないよ。君と結婚する」

「んでも、10年待つつもりなんでしょ?」

「そこで、君に提案がある」

 

 そう言うと、マックスは懐から手紙を出した。

 

「これ、俺のペンフレンドからなんだけど」

「「「ペンフレンド」」」

 

 3人で繰り返した。

 

「みんなで言うなよ、照れるじゃないか」

「どこでそんな人と知り合ったのよ」

「学校の掲示板に貼ってあったぞ。ペンフレンド募集中って」

 

 マックスは、私に手紙をよこした。

 お相手は隣国の人だ。彼の友人が向こうで魔道具製作の仕事をしていると聞いたことはあったけど、そういう出会いか。

 

「え、あの有名なエンダー商会からのお誘いなの?一緒に仕事をしようって?」

「そう。クラーラ、以前から結婚より魔道具製作の仕事がしたいって言ってただろ?」

「え、私も一緒に?」

 

 私も勢いよく立ち上がった。

 

「いや、行くのは君だけ」

「「「え?」」」

 

 またハモった。全員首も傾げた。

 

「もう半年もしたら学園を卒業して、その後結婚式。それが終わったら、君は領地に行く予定になっていただろ?」

「まあねえ、お義母さまにいろいろ教わる予定でしたもの」

「俺の計画はこうだ。()()結婚式をして、君は隣国へ仕事に行く。俺はこっちで内定済みの仕事に着く。10年後にどうするかは君が決めていいけど、俺は前世の恋人と…」

「お嬢様、どうぞ」

 

 ハンスが自分用の剣を貸してくれた。うん、切れ味良さそう。

 

「そこに座れ」

「やめて、お願い、話を聞いて!」

「今聞いたでしょ。その結果がこれでしょ」

「いやいやいや、まだ終わってない!ハンスも剣を貸さないで!」

「それなら私が介錯しますか」

「カトカも待って、悪かった!」

 

 土下座するマックスを、3人で上から目線で冷たく見てやる。こいつ、アホだなー。昔からだけど。今更だけど。

 でもまあ、私が魔道具製作の仕事をしたいのは確かだし。

 このまま領地に引っ込んで、まああ、お義母さまああ、おっほっほ、なんてやってられっかって気持ちもある。

 

「確かに私の心を揺さぶるプレゼンではあったわね」

 

 マックスが半泣きで顔を上げた。

 

「でも、その前に一つ確認したいことがあるのよ」

「え、何?」

「前世の恋人(笑)は、マックスのこと、覚えているの?」

「もちろんだよ!この前聞いたんだ!」

「カトカ、メミウを連れてきてちょうだい」

 

*****

 

 メイドに連れられ、妹のメミウが入って来た。手には、最近お気に入りの絵本を持って。気に入りすぎて、手放さないらしい。

 

「おねえちゃま、お呼びでちょうか?…あ、おにいちゃま、いらっちゃいまちぇ」

 

 天使がぺこりとお辞儀をする。

 かわええ、かわええ〜。

 本人以外全員が身悶える。なんなら、メミウについてきた別のメイドも悶えている。

その背後にこっそりついて来ているお父様も、悶えている。お父様、仕事してください。

 

「メミウ、上手に挨拶出来たわね。さあ、入ってちょうだい」

 

 さりげなくお父様を部屋から追い出し、メミウをソファに座らせた。扉の向こうでお母様の声と、何かを引きずる音が聞こえた。

 

「ねえ、メミウ、おねえさまに教えてほしいことかあるの」

「あい」

 

 メミウはまるまるの目をキラキラさせて、私を見つめた。

 

「メミウは、このおにいさまが好き?」

「あいっ!おにいちゃま、だいちゅき」

 

 マックスが一直線に倒れた。

 床、大丈夫かな。

 

「そう、それから、メミウはおにいさまに何か聞かれた?」

「あい」

「ちょっと待ったー!」

 

 いつの間にか回復していたマックスが私を止めた。

 

「なによ」

「俺に質問させてくれ」

 

 本当はかわゆい妹をお前の視界に入れたくもないが、面白そうだから仕方ないわね。

 私は一歩下がって、手でメミウの前を示した。シュタタとマックスがワープする。

 

「やあ、メミウ。昨日ぶりだね」

「こっそり昨日来てたんかい」

「不法侵入ですね」

 

 後でセキュリティ対策会議必須ね。

 マックスがしゃがみ込んで、メミウと視線を合わせる。

 

「昨日、僕が言ったこと、覚えている?」

「「「僕?」」」

 

 俺様のくせに。

 

「メミウは、生まれる前のこと、おぼえている?」

「あい。メミウは、ぜんちぇのきおくをもってまちゅ」

「メミウが生まれる前に、僕の恋人だったって言ってたよね」

「あい!メミウはぜんちぇ、こいびとでちた」

「そして、メミウは僕のおよめさんになってくれるって言ったよね?」

「あい、ぜんちぇのこいびとと、けっこんするんでちゅ!」

 

 マックスが鼻を押さえて倒れた。鼻血か。押さえすぎて、どうやら呼吸も止まったようね。

 護衛のハンスがマックスの顔を複数回叩いて起こしている。余計に鼻血出てね?

 

「はっ、ここはどこだ」

「蘇生完了」

 

 3秒ほど意識が明後日のほうに行ってたようだけど、我にかえったマックスが、私のほうを向いた。

 ドヤ顔である。

 

「な、俺達は、恋人同士だったのさ」


 ドヤ。

 もう片方の恋人は、ソファで足をフリフリして、メイドにおやつをねだっているが。

 

「あなたの言いたいことは、わかったわ」

「それなら…」

 

 私はにっこり笑顔を返した。

 

「安心してちょうだい。隣国へ行くわ」

 

*****

 

 それから。

 半年後、卒業式。

 その後、結婚式。

 それから、旅立ちの時。

 

「どうして俺が隣国へ行くんだ!クラーラが行くはずじゃなかったのか!」

「隣国に行くって言ったけど、誰が行くかなんて、話してないわよ」

「マジかー」

「そもそも隣国へ招待されたのは、あなたでしょ?」

「そんなあ」

「それにね」

 

 私は嫌がるマックスの襟元を、きゅっと掴んだ。

 

「うちのお父様は、むちゅめ大好きなのよ。うちには、メミウ以外にも、私という娘もいるでしょ?」

「あう」

「そのむちゅめ逹を、隣国に送るわけないでしょ」

「おおう」

 

 今更気がついて、マックスが両手で自分の顔を押さえた。

 

「で、でも、俺はこっちで魔道具製作の仕事が決まっているんだぞ」

「あ、大丈夫よ。そっちには、私が行くことになっているから」

「なにおう〜?」

「んじゃ、単身赴任、がんばってね」

「10年かけて前世の恋人と仲良くなる予定があああ〜!」

 

 護衛のハンスに簀巻きにされて、カトカに蹴られて馬車に乗せられて、マックスは旅立った。

 当分帰ってくるなよ。

 

 

 一年ほどして、マックスが帰って来た。

 

「あら、どちら様?」

「マックスさんです…」

「随分痩せたわね」

「やつれたと言ってください…」

「よく無事に帰ってこれたわね」

「…もしかして、エンダー商会のこと、知ってた?」

「ええ、だから、()()有名なエンダー商会って言ったでしょ?」

 

 マックスが一直線に倒れた。

 床、無事か。


 エンダー商会は、確かに魔道具製作の第一人者で、素晴らしい魔道具をたくさん取り揃えている有名店だ。

 だけど、それ以上に有名なのは、ブラック企業として。ものすんごく忙しいと有名なのだ。だから、働く人がいなくて、あちこちに求人が出ているわけ。どこかの国の学校の掲示板に、ペンフレンド募集中と誤魔化して出るほどに。

 

「やっと、やっと休暇が取れたんだよう。会いたかったよう」

「はいはい」

 

 私もしゃがみ込んで、床に突っ伏して、シクシク泣いているマックスの頭を撫でてやった。

 

「相変わらず泣き虫さんねえ」

 

私の就職先は、めっちゃホワイト企業で、最高よ。マックス、ありがとう〜。

 

 

**********

 

 

 私の名前はカトカ。

 アルテアン子爵家のメイドである。大切なクラーラお嬢様のお世話を担っている。

 

 唐突ではあるが、私には前世の記憶がある。

 前世でも、私はクラーラお嬢様の召使であった。その頃からとてもお優しいお嬢様であった。

 

 当時お嬢様には婚約者がおられた。今の夫であるマックス様だ。

 だが、前世でお二人は、結ばれることはなかった。お嬢様が病弱であったからだ。

 お嬢様が天に召される時、2人は誓った。

 

「泣かないで」

「君が生きていてくれるなら、泣かないよ」

「もう、無理ばっかり言うんだから。本当に、泣き虫さんね」

 

 生まれ変わったら、今度こそ一緒になろうねと。

 その後、傷心のマックス様は、うっかり階段で滑って転んで昇天してしまわれたが。今も昔もそそっかしいのは変わらないお方だ。

 今回、前世の恋人の存在を思い出したのは誉めて差し上げるが、相手を間違えるとは。

 

 まあいい。

 十数年ほど前、アルテアン子爵家に就職後、前世を思い出した私は、自分がお使えするクラーラ様が前世のお嬢様だと気がつき、すぐにお嬢様のお体の心配をした。

 またご病気になってはいけない。

 毎日健康に良いとされるあらゆる食材、薬草をご用意した。そして、適度な運動。これ、大事。

 とにかくお嬢様を強化しまくった。

 その甲斐あって、お嬢様は、大変つよ…健康的になられた。

 よかった。

 

 前世の恋人のマックス様は、クラーラ様の幼馴染だ。出会いから仲良く、そのうちに婚約者にもなられた。

 これで万事安泰と思った矢先の「俺、前世の彼女と結婚してえ(3歳児と)」発言である。

 お嬢様、世の中には、もっといい男がいるんですよ。

 

 しかしお嬢様は、私がお世話し、強く賢く逞しくお育ちになったお陰で、マックスの野郎の陰謀など、あっさりとうっちゃりましたわ。

 そして、ご自身が本当に行きたかった職場も手に入れ、毎日楽しくお過ごしで、もう、私涙で前が見えませんわ。

 

 邪魔者は、他所へ飛ばす。最高ですわね。本当に強くおなりに。

 

 そもそも、強くお育てしたかった理由は、マックス様と結婚できるようにしたかったからのはずですが。

 

 …まあ、良いでしょう。

 

 マックス様といえば、あのお方は、隣国のブラック企業に就職いたしました。

 意外だったのは、すぐにやめて帰って来られるのかと思ったのに、なんと10年そこで頑張ったことです。

 しかも、ブラック企業をホワイトに変貌させたのです。地道に努力を重ね、上司を説得しました。商品の開発も行い、売り上げも伸ばしつつ、福利厚生や、人材の育成にも貢献したのです。

 今はこちらの国にも支店を出し、支店長として帰ってきているのです。

 その努力の源が、3歳児と結婚するためだったのかと思うと、気持ち悪くてたまらんですが。

 

 

 その後どうなったかと申しますと。

 

「ねえ、どうしたのよ。めっちゃ暗いけど」

「はああ、聞いてほしいことがあるんだ」

 

 お屋敷のリビングで、お二人がお茶を飲んでおられます。

 マックス様は、支店長として帰って来られてから、アルテアン子爵家のお屋敷で同居しております。

 結婚式はしたものの、別居婚でしたから、まだ生活基盤ができてないんですわ。

 まあ、例の野望の件もありましたから。

 

 マックス様は暗い顔を上げて、お嬢様を見つめます。

 

「メミウに婚約者が出来てた」

「そりゃそうです。あの子13歳ですよ。私達も同じくらいの歳に婚約したじゃありませんか」

「うそーん」

 

 マックス様が頭を抱えて嘆いております。

 

「俺、メミウに聞いたんだ。ぜ、前世の恋人のこと覚えているかって」

「またいつの間に会いましたの?」

「ナイショ」

「セキュリティ対策会議必須ですわ」

 

 了解です、お嬢様。

 

「それで、あの子はなんと言いましたの?」

 

 マックス様は、涙を浮かべたまま、お嬢様を見上げます。

 

「『何それ、お義兄さま、ウケるー』って言われたんだがああああ〜!」

「だろーな」

 

 嘆くマックス様を見て、お嬢様は扇子を広げて口元に当てます。横から見ておりますからバレバレですが、お口全開で笑っておられますな。

 

「メミウ、3歳の頃、絵本が大好きでね。その頃ハマっていた本は『わたしの前世の恋人はスパダリ』だったかしら」

「なんて本を与えている」

「うちは、お母様のマイブームで本が決まるのよ」

「それじゃあ、あの時も」

「あの子、主人公になりきっていただけと思うわよ」

「ああ…あれはそういう…」

 

 マックス様が遠い目になって、そのまま、倒れました。

 疲れているでしょうから、寝かせてあげますか。

 

*****

 

 結局、マックス様はお嬢様と本当に結婚しました。なんだかんだ言っても仲良しですから。

 そもそもお嬢様にはお兄様がおられるので、お嫁に行けますし、マックス様は次男ですから普通でしたら平民コースですが、ご実家が爵位を複数お持ちでしたので、その中から男爵位を貰って、新しく家をおこしました。

 爵位とは言っても領地なしでしたので、お嬢様のご実家近くに家を建て、そこで仲良く暮らしておられます。

 もちろん私もハンスも一緒です。

 

 お二人とも魔道具製作の第一人者となり、魔道具界の夫婦漫才と呼ばれ、毎日楽しく暮らしておられます。

 

 お子様もお生まれになり、毎日お嬢様のお父上が遊びに来られます。そのために近くに家を建てさせたともいいます。

 

「かわいいでちゅね〜、じいじですよ〜」

「パパでちゅよ〜」

 

 お嬢様のお父上様は、当時4歳のメミウ様に頬擦りしすぎて「パパきらい」と嫌われた前科があるので、注意しなくてはいけませんね。

 再犯しそうですが。

 

 そんなお2人を見て、お嬢様が呆れた顔をしております。

 

「本当に仲のいい2人よね。前世親子だったんじゃないの?」

 

 いえいえ、今と同じです。

 お父様はお父様のまま。マックス様は前世で結ばれなかった恋人ですよ。

 お二人とも、お嬢様を心から愛しておられました。

 そして、今も。

 

 そうそう、私もようやくハンスと結婚できました。

 彼は前世を覚えておりませんでしたが。ちなみに前世の()でしたが。

 

 お嬢様、お幸せに。



読んでいただき、ありがとうございました。


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