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The story’s (あるバスは決まりなく色んな街、色んな街に進いていて、 バスの窓から色んな場所色んな物語見て語る話)  作者: San


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Skeleton Flowerの透明な嘘 11 完結 

その瞬間だった。


空の色が、ゆっくりと変わった。


遠くで低く、

雷のような音が鳴る。


風が強くなる。


海の匂いが濃くなる。


そして——


ぽつり、と。


雨が落ちた。


最初は一滴。


砂に黒い点ができる。


もう一滴。


また一滴。


やがて雨は、

急に強くなった。


島を叩くように降り始める。


葉を打ち、

岩を打ち、

海を打つ。


音が一気に大きくなる。


あの人の声も、

雨の音に飲み込まれそうだった。


それでも。


あの人は叫ぶのをやめなかった。


顔を空に向けて、

びしょ濡れのまま。


「嫌いでもいいって言ったよね!!」


声がかき消されそうになる。


それでも。


もっと大きな声で。


「でも!!」


息を吸う。


雨が顔を流れる。


涙か雨か分からない。


「私はここに住むから!!」


胸を押さえながら。


「この島にいるから!!」


声が震える。


それでも叫ぶ。


「あなたが嫌いでも!!」


一瞬、言葉が止まる。


そして。


「私はずっと大好きだから!!」


雨が激しくなる。


波が荒くなる。


島が全部、

水の音で満たされる。


雨が葉を叩く。


あの人は、

浜辺で立ったまま

叫んでいる。


雨で声が崩れても。


息が切れても。



海風に声が流されても


雨が顔に叩きつけららても


それでも、

必死に叫んでいる。



胸が、

強く締めつけられ


私は一歩、前に出た。



浜辺へ。


砂の上へ。


おの人は見える


震えている。


私は、

少しだけ笑ってしまった。


本当に。


どうしてこの人は、

こんなことをするんだろう。


やっと島を出たのに。


わざわざ泳いで戻ってきて。


こんな雨の中で叫んで。


ばかみたいだ。


でも。


そのばかみたいなところが——


ずっと好きだった。


私は、

雨の中で声を出した。


「ばかだね。」


あの人の肩が止まる。


ゆっくりと振り向く。


雨が二人の間に降り続く。


目が合う。


その瞬間。


あの人の目が大きく開いた。


「……」


言葉が出ない。


私は笑った。


でも涙が出てくる。


雨と混ざる。


もう止められない。


だから私も叫んだ。


雨に負けないように。


「嫌いなんてあるわけないでしょ!!」


声が震える。


それでも止めない。


「ずっと見てたんだから!!」


胸を押さえる。


「崖の上からも!!」


「森の中からも!!」


雨が強くなる。


声が流される。


それでも叫ぶ。


「ずっと好きだった!!」


あの人の目から、

また涙が溢れる。


私は続けた。


止まったら、

もう言えない気がしたから。


「でも言えなかった!!」


笑いながら。


泣きながら。


「だって私はここから出られない!!」


空を指す。


海を指す。


「あなたは出ていく人だったから!!」


声が割れる。


それでも。


全部ぶつける。


「だから嫌われたほうがいいと思った!!」



涙が止まらない。


「それなのに!!」


思わず笑ってしまう。


雨の中で。


「なんで泳いで戻ってくるの!!」


あの人も、

ぐしゃぐしゃの顔で笑った。


そして叫ぶ。


「だって!!」


息を吸う。


雨を飲み込む。


それでも。


「あなたがいないなら意味ないからだよ!!」


私は、

声を上げて笑ってしまった。


泣きながら。


笑いながら。


雨の中で。


そして叫んだ。


「ばか!!」


「知ってるよ!!」


二人の声が、

雨にぶつかる。


それでも消えない。


島の空に響く。


雨はまだ降っている。


強く。


激しく。



雨に負けないように。


泣きながら。


笑いながら。


ずっと心の奥にしまっていた本音を

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