Skeleton Flowerの透明な嘘 6
あの日。
私は高熱で、意識が沈んだり浮いたりしていた。
冷たいはずなのに、体は熱い。
瞼の裏が赤い。
ぼんやりと、誰かの気配を感じた。
目を開けた。
視界が滲んでいる。
そこに——
彼女が、いた。
洞窟の入り口の向こうには、
青空が見えた。
雨は、降っていなかった。
彼女は、私を見下ろしていた。
触れようとした手が、止まる。
今。
崖の上。
晴れた空。
目の前の彼女。
「……あの時も、雨、降ってなかったよね」
彼女の指が、わずかに強くなる。
心臓の音がうるさい。
喉が乾く。
でも、言ってしまう。
「……試してよかった」
彼女の眉が動く。
「私が落ちたら、来るのかって」
空気が、止まる。
風だけが通り過ぎる。
「やっぱり、来た」
笑おうとする。
うまく笑えない。
「よかった」
[パチィッ________!]
頬が横に弾かれる。
遅れて、熱が走る。
ビンタ。
視界が揺れる。
彼女の顔が、歪んでいる。
涙
怒り。
それだけじゃない。
もっと深い何か。
「最低」
低い声。
震えている。
「命を賭けて試すこと?」
胸がぎゅっと縮む。
何か言おうとする。
言葉が出ない。
彼女の目が、まっすぐ刺さる。
「嫌い」
その一言は、
崖よりも深く落ちた。
さっきまで埋まっていた胸の奥が、
一瞬で空洞になる。
風が吹く。
私は立っているのに、
足元がないみたいだった。
言い訳は、全部遅い。
頬が熱い。
目の奥が痛い




