The story’s インタビュー(読み切り)
「それじゃインタビュー初めましょうか」
「はい。」
「まず確認ですが、この物語、会話だけで進んでますよね?」
「え?」
「地の文ゼロですよね?」
「言われてみればそうですね。」
「読みやすさ重視です。」
「誰に向けて言ってるんですか。」
「読者です。」
「読者いるんですか?」
「いる前提で進めています。」
「強いですね。」
「では質問です。」
「急ですね。」
「あなたは今、座っていますか?」
「座ってます。」
「本当に?」
「え、疑われてる?」
「立ってる可能性もあるので。」
「ないです。」
「証明できますか?」
「どうやってですか。」
「椅子の感想を三語で。」
「固い、冷たい、普通。」
「リアルですね。」
「疑い晴れました?」
「70%。」
「まだあるんだ。」
「では恋愛について。」
「流れ雑ですね。」
「安心してください、恋愛の中身は聞きません。」
「じゃあ何を聞くんですか。」
「この物語に恋愛は必要だと思いますか?」
「急に制作会議。」
「読者層を意識して。」
「読者いる前提なんですね。」
「常にいます。」
「見えないのに強気。」
「あなたは今、自分がキャラクターだと自覚していますか?」
「ちょっとしてきました。」
「怖くないですか?」
「あなたのほうが怖いです。」
「よく言われます。」
「自覚あるんだ。」
「では次の質問です。」
「切り替えが早い。」
「あなたは今、ちゃんと本音で答えていますか?」
「たぶん。」
「“たぶん”は保険ですか?」
「ちょっとだけ。」
「では保険を外してください。」
「事故ったらどうするんですか。」
「物語なので大丈夫です。」
「便利ですね物語。」
「便利です。」
「今、何%くらい私を信用していますか?」
「30%。」
「低い。」
「だって椅子の証明させましたよね。」
「あれは必要でした。」
「何のために。」
「リアリティの確保です。」
「方向性が独特すぎる。」
「ではあなたからも質問どうぞ。」
「いいんですか。」
「双方向型インタビューです。」
「じゃあ。」
「はい。」
「あなた何者なんですか。」
「インタビュアーです。」
「それは見れば分かります。」
「では肩書きは“物語をかき乱す人”です。」
「自覚ありすぎる。」
「あなたは今、楽しいですか?」
「ちょっと楽しいです。」
「なぜでしょう。」
「あなたが変だからです。」
「褒め言葉として受け取ります。」
「便利ですね。」
「今この瞬間、読者が吹き出した可能性は何%だと思いますか?」
「20%くらい。」
「低めですね。」
「あなたのせいです。」
「責任重大。」
「ちなみにこのインタビュー、ゴールあります?」
「あります。」
「本当に?」
「たぶん。」
「あなたも“たぶん”使うんだ。」
「便利なので。」
「さっき外せって言いましたよね。」
「矛盾は物語のスパイスです。」
「都合いい。」
「では核心に迫ります。」
「急に怖い。」
「もし今、この会話が突然終わったらどう思いますか?」
「え、ちょっと寂しいかも。」
「なぜ?」
「なんかまだ続きそうだから。」
「ずるい終わり方しようとしてません?」
「少しだけ。」
「メタですね。」
「はい。」
「じゃあ私から最後。」
「どうぞ。」
「あなた、実は私のこと結構好きですよね?」
「インタビュアーとして?」
「人として。」
「……。」
「沈黙入りましたよ。」
「物語的にいい間です。」
「逃げた。」
「否定はしません。」
「それ肯定です。」
「終わりますか?」
「終わりましょうか。」
「ちゃんと区切れますか?」
「たぶん。」
「またそれ。」
「便利なので。」
「じゃあ。」
「はい。」




