The story’s ABC物語 13
ある日、
教室の空気が、少しだけ変わった。
はっきりした出来事があったわけじゃない。
でも、
AとCの間の距離が、
前よりもずっと遠くなっていた。
同じ空間にいるのに、
視線が合わない。
話しかけない。
偶然並ぶこともない。
まるで、
最初から知り合いじゃなかったみたいな距離。
【メモ:
AとC、急に話さなくなった】
Bは、
それにすぐ気づいたわけじゃない。
三人で話すこと自体が減っていたから、
「今日はたまたま」
くらいに思っているように見えた。
でも、
何日か続いた。
Aは、
Cのほうを見ない。
Cも、
Aのほうを見ない。
避けている、
というより、
見ないようにしている感じ。
【メモ:
喧嘩っぽい
でも言い合った様子は見ていない】
見えないなら、
調べるしかない。
僕は、
いつも通り、
人づてに聞いた。
「AとC、なんかあったらしいよ」
「放課後、二人で話してたって」
「Aのほうが、先に教室出たって聞いた」
話は、
少しずつ形を変えながら、
集まってくる。
それを、
重ねる。
【メモ:
放課後に二人で話した
→ そのあと距離ができた】
別の人から、
もう少しはっきりした話を聞いた。
「A、Cに何か伝えたらしいよ」
「でも、次の日から、あの距離」
誰も、
はっきりとは言わない。
でも、
言葉の端が、同じ方向を向いている。
【メモ:
Aは“気持ち”を伝えた?
→ 受け取られなかった可能性】
確かめる手段は、ない。
本人たちは、
何も言わない。
ただ、
結果だけが見える。
Aは、
前よりも一人でいる時間が増えた。
Cは、
必要以上に静かになった。
二人が同じ場所にいても、
何も起きない。
それが、
いちばん不自然だった。
【メモ:
喧嘩というより、
“終わったあと”の距離】
Bは、
その変化に、
まだ追いついていない。
「最近、C静かじゃない?」
そんなふうに、
軽く言うだけで、
深く考えている様子はなかった。
AとCの間に、
何があったのか。
Bは、
まだ知らない。
知らないまま、
三人の関係は、
少し形を変え始めている。
僕の席から見えるのは、
話さなくなった二人と、
気づいていない一人。




