The story’s 0じ0分1秒の出会い[ 1 ](一日を何回かループしてるレイは明日の1日をループしてるある少年と0時0分1秒に、毎日1秒出会う物語)
長い、長い夢を見ていた。
どれほど長いのか、言葉にすることすらできないほど、気が遠くなるような夢。
泣いても、諦めても、何をしても繰り返される——。
カーテンの隙間から差し込む、柔らかく暖かい朝日。
それが自分の顔を照らしていることにも気づかず、私は眠りの中にいた。
『ピピピピ! ピピピピ!』
目覚まし時計が「起きろ! 起きろ!」と耳元で叫んでいる。
一方で、暖かい布団は「もう少しだけ寝ていようよ」と私の脳を誘惑する。
そこは快楽に満ちた眠りの天国だった。
けれど、無慈悲な目覚まし時計の音が、その天国を無理やり消し去ってしまう。
意識が現実へと引き戻された時、ようやく私は思い出した。
そうだ。私、レイには確認しなければならないことがある。
強くそう思った瞬間、私はパッと目を開けた。
そして、重い眠りの淵から、弾かれたように走り出した。
「母さん! 母さん……!!」
私は狂ったように叫びながら、母の姿を探していた。
母さんはいつも何かをしている。今も、すでに十分に綺麗な床を、なぜか熱心に拭き掃除していた。
その背中を見つけ、駆け寄って質問をぶつけようとした、その時。
母さんの手が、優しく、けれど勢いよく伸びてきた。
「きゅううううう……っ!」
私の両頬が、万力のような力で掴み上げられる。
「なによ、朝からうるさいわねぇ」
不意を突かれ、口の中を噛みそうになる。
「ふ、ふぬぬ……っ。あ、そうだ! 母さん、今日、何日!?」
「え? 今日?……十六日だけど。どうしたの、藪から棒に」
その答えを聞いた瞬間、全身の力が抜けた。
「……また、十六日か」
私の名前はレイ。なぜか私は、2025年12月16日を繰り返している。
今日で、5回目だ。
「もう七時十五分よ! 早く学校の準備をしなさい!」
母さんの怒鳴り声。げっ、また学校か……。
「なによその顔。……ふふっ、おかしな子ね」
登校してからも、嫌でもクラスメイトの行動パターンが目に付く。
九時四十六分十秒。私は心の中でカウントダウンを始めた。
「十、九、八……三、二、一」
「ぎゃあああああああ!!」
背後から、鼓膜を突き破るような叫び声。いつもちょっかいを出してくるメガネ男子のミサキだ。
最初の頃は腰を抜かして泣いたけれど、今はもう、あくびが出る。
「ちっちっち。甘いなミサキ。私はそんなことじゃ驚かないわよ」
「えっ、えぇ!? おかしいな……絶対ビビって泣くと思ってたのに」
(失礼な奴……!)
私は心の中で鋭くツッコミを入れた。
そこへ、真面目すぎて融通の利かない担任の先生が入ってくる。
「静かに! 今から抜き打ちテストを行う!」
「えええええええっ!!」
クラス中が絶望の悲鳴に包まれる中、一人だけニヤニヤと笑いを隠せない奴がいた。ミサキだ。
成績トップの彼にとってテストは簡単すぎて、もはや目的は「テストで青ざめる私の顔」を見ることだけ。
けれど、今の私は自信満々だった。
だって、このテストを受けるのは五回目なのだから。
期待の真逆を行く私の余裕な表情に、ミサキはショックで石のように固まっていた。
放課後。テストの結果発表でクラスが緊張に包まれる。
「ミサキ、九十八点! さすがだな」
「うわあ、やっぱりミサキはすごいな」
称賛を浴びるミサキは、私の横を通る際、指で自分の点数をこれ見よがしに指さした。「大事なのは結果だよ」と言わんばかりの嫌味な笑顔。
だが、今の私は、彼が次に何を言うかも、バカにする計画を立てていることも全部知っている。
「次、レイ!」
先生が私の点数を読み上げた。
「21点だ !」
「はい。ありがとうございます、先生」
私はごく普通に返事をして、答案用紙を受け取った。
その瞬間、クラス中が凍りついた。
「えええええええええっ!?!?!?」
クラスメイトたちが、目玉が飛び出しそうな顔で震えている。
「あ、あの『万年零点』のレイが……21点取っただと!?」
あまりの衝撃にガタガタと震える皆の顔は私に一言言って欲しい見たいだった
私は、わざとらしく小首を傾げて、どこかの主人公のようなセリフを吐いてやった。
「……ん? あれ。私、何かやっちゃいましたか?」




