The story's バスの進みち (13)完結
五人目は、
いつも身体を動かしている人だった。
駅から少し離れた、
ガラス張りのジム。
夜でも中は明るく、
鏡に囲まれた空間に、
汗の匂いが漂っていた。
彼は、
その中でも目立っていた。
背が高く、
肩は広く、
腕は太い。
いわゆる“マッチョ”という言葉が、
そのまま形になったみたいな人だった
彼は、
毎日いた。
朝も、
夜も。
時間帯が違っても、
なぜか必ずそこにいる。
私は、
何日も外から見ていた。
同じ動きの繰り返し。
持ち上げて、
下ろして、
また持ち上げる。
顔は苦しそうで、
汗は床に落ちるほどなのに、
途中でやめる気配はなかった。
正直に言えば、
ばかみたいだと思った。
こんなに苦しんで、
何を得るのか分からなかった。
筋肉なんて、
あってもなくても、
生きること自体は変わらないはずなのに。
ある日、
私はジムの中に入った。
受付で会員証を作り、
機械の使い方もろくに知らないまま、
彼の近くに立った。
金属の匂いと、
汗の匂いが混ざって、
息が少しだけ重くなる。
彼が休憩に入ったとき、
私は声をかけた。
「なんで、
そんなくだらないことを、
毎日苦しみながらやってるんですか」
失礼だという自覚はあった。
でも、
本当に分からなかった。
彼は、
一瞬だけ私を見た。
答えは返さなかった。
代わりに、
空いている器具を指差した。
「やってみて」
それだけだった。
私は、
意味も分からないまま、
座らされた。
持ち方を教えられ、
回数を決められ、
重さを増やされた。
最初の数回で、
腕が震えた。
息が続かなくなった。
頭の中が白くなり、
自分の体が、
自分のものじゃないみたいに重くなった。
「まだだ」
彼の声は短く、
優しくもなかった。
私は、
途中でやめたくなった。
でも、
やめる理由を説明する言葉が、
出てこなかった。
次の日、
私は動けなかった。
布団から起き上がるのにも時間がかかり、
腕を上げると、
身体の中が軋むように痛んだ。
階段を下りるたび、
足が自分のものじゃないみたいだった。
それでも、
鏡の前に立ったとき、
私は自分の腕を見た。
何も変わっていないはずなのに、
昨日までと、
同じには見えなかった。
確かに、
私はやっていた。
あの重さを、
あの回数を、
あの苦しさを。
それだけで、
自分の中に、
小さな手応えみたいなものが残っていた。
理由は、
いらなかったのかもしれない。
あの男が、
毎日あそこに立っている理由も、
彼の口から聞かなくても、
なんとなく分かった気がした。
意味があるからやっているんじゃない。
続けてきたことが、
その人自身になってしまっただけだ。
私の思う答えは
間違っていて実際の答えは
なく、だった苦しんでる事やっていた、
だけかもしれない
だった
ゆきにはの腕を見下ろす癖が、
しばらく残ていた。。、。
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時は過ぎ
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ゆきは死んでバスにいる
時間は数えないぐらい過ぎ
あるの日
相変わらず進んでいるバス
今一本道を進んで
周りには霞で覆われていてぼやけているような
霞しか見えなく
その時
はるか空から
あるゆきの結晶は
降ってきて
あるバス停に
音もなく
ゆくりと地面にたどり着いた
ゆきは立ち去った
バス を見て
何を 思っているのだろうか…




