The story's 迷い街の運び屋 11
掲示板の前に立つ。
紙は相変わらずたくさん貼られている。
C、B、A、S。
いろんなランクがある。
俺はしばらく見てから、一枚の紙を取った。
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ランク:C
配達場所:南地区アパート
内容:荷物を届けること
条件:明日10時に届けること
受取人と少し会話すること
報酬:やや高い
依頼人:――主人公の名前
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そこで少し止まった。
もう一度見る。
依頼人の名前。
確かに俺の名前だった。
見間違いかと思って、もう一度読む。
同じだった。
俺の名前。
先輩の方を見る。
先輩は椅子でぼんやりしている。
「先輩。」
「ん。」
「これ。」
紙を見せる。
先輩はちらっと見る。
「……名前?」
「俺の名前です。」
先輩は少し考えてから言う。
「たまにある。」
「そういうの。」
「自分に依頼?」
「うん。」
先輩は特に気にしていない。
「やるか?」
「……やります。」
「じゃあ持ってけ。」
それだけだった。
⸻
翌日。
10時前。
南地区の古いアパートに来る。
古い建物だった。
外階段。
壁は少し色が剥げている。
二階の廊下に出る。
風が少し吹いている。
遠くで車の音がする。
依頼票を見る。
部屋番号。
その前に立つ。
時計を見る。
9時59分。
10時になる。
俺はドアをノックする。
コン、コン。
中で少し音がした。
足音。
少しゆっくりした足音。
ドアが開く。
女性だった。
知らない人だった。
髪は少し長い。
整えていない感じだった。
部屋着みたいな服を着ている。
少し大きめのパーカー。
外に出ていない人の服装だった。
でも。
女性は俺を見る。
そして、言う。
「……来た。」
少し安心した顔だった。
俺は言う。
「配達です。」
箱を差し出す。
女性は箱を見る。
それから俺を見る。
「……覚えてないよね。」
俺は少し考える。
「初めて来ました。」
女性は少し笑う。
「うん。」
「そうなるよね。」
部屋の中は少し暗かった。
本が積まれている。
カーテンは半分閉まっている。
生活している部屋だった。
でも外に出ている感じはあまりなかった。
女性は箱を受け取る。
それから言う。
「ちょっと喋っていい?」
依頼票を思い出す。
受取人と少し会話すること。
「いいですよ。」
女性は少し考える。
言葉を選ぶみたいに。
「私ね。」
「同じ日を繰り返してる。」
少し沈黙。
「今日?」
「うん。」
「十日前から。」
女性は少し笑う。
でも疲れている笑いだった。
「何回も今日。」
「朝起きて。」
「夜になって。」
「また朝。」
女性は床を見る。
「最初は怖かった。」
「全部同じで」
少し沈黙。
「でも。」
女性は俺を見る。
「あなたは違った。」
「前の今日。」
「あなた、来た。」
「配達で。」
俺は何も言わない。
「そのとき喋った。」
「私、ループしてるって言った。」
「あなた、驚かなかった。」
女性は少し笑う。
「それで少し安心した。」
窓の外を見る。
昼の光。
「でも次の日。」
「また今日。」
「世界はリセット。」
「あなたも、私を知らない。」
女性は箱を見ながら言う。
「だから。」
「また会うために。」
「依頼出した。」
「配達で。」




