73話 再出撃
「2人とも、聞いてくれ――」
シロとクロが食事を終えた後、俺は迷宮での顛末を覚えている限り話した。
そして、今後の展望を語ったのだが……。
「攻略するです!」
「りょー」
俺の提案にあっさりと頷く2人。まあ、中身は5歳だしなぁ。どうも獣人は肉体的にも精神的にも成長が早いようだが、幼いことに変わりはない。
2人にとって、保護者と認識している俺の提案を否定するなんて考えもしないようだった。群れをつくる獣人の習性的なこともあるのかもしれない。
カロリナが獣人というのは上位者に従う習性があると、話していた記憶がある。
それに、迷宮への怖さも感じてはいないようだった。迷宮の悪意に続いて再び死にかけたというのに、恐怖する様子が微塵もない。
アレスに対しても、憤っているがやはり恐怖はないらしい。むしろやる気満々で、敵愾心を燃やしている。
「トールをイジメるとは、あいつゆるさんです! やっぱ悪いやつだったのです! 次会ったらボコボコにしてやるです!」
「クロの剣のさびにしてやるー」
「いや、もうアイツとは絶対に戦わんぞ? 奇襲できるならともかく、普通に鉢合わせたら逃げ一択だ」
「むー、わかったです」
「ざんねんむねん」
あと、俺を虐めたって……。まあ、間違ってはいないが。
「羅針盤は保管庫に入ってるけど、武器は全部迷宮に置いてきちまった。とりあえず、新しい武器を選んでてくれ」
「わかったです」
「りょー」
まあ、その前に俺も服を着替えないとね。
「おー、トールかっくいーです!」
「うん。黒いのがとてもいい」
「いや、今までと変わらんだろう」
ボロ雑巾のようになってしまっていた俺の装備の代わりに、ほとんど同じ見た目の黒い服を着こむ。中に今まで以上に多くの鉄板が仕込まれているので、防御力は多少上がっただろう。
アレスが相手じゃ、大して意味はないと思うけど。
「俺は少し出てくる」
今の状態で町へと行くのは少々不安だが、カロリナには1度会っておきたい。もう次はいつ帰るか分からないし、聖魔法で最後の施術をして、できれば食料を受け取りたいのだ。
ただ、カロリナの家に行っても、彼女の姿はなかった。まあ、仕事もしているしな。仕方ない。
戻ってこれたら、改めて挨拶にこよう。
そのまま住処に戻ってくると、シロとクロはすでに武器を選び終えていた。
「シロはこれです!」
「クロはこれー」
シロはショートソードの二刀流だ。ただ、1つは反りの入った脇差風の武器である。かなり重いが、今のシロなら使えるだろう。
クロが持っているのは、巨大なハンマーである。こちらも使いこなせずに放置していたが、クロは今なら使えると判断したらしい。鉄製のハンマーを振って、感触を確かめていた。
あと、眼帯と包帯は予備の奴があるので、問題ない。
「よし、それじゃあ迷宮に突入するぞ」
「にゃう!」
「わう」
せっかく真剣な表情をしているのに、シロとクロは新しい武器をシャキーンと構えてこちらをチラチラ見ている。褒めて欲しいんだろう。
「か、かっこいいぞ」
「むふー、褒められたです!」
「いえーい」
全く、シリアスしてるのが馬鹿みたいじゃないか。でも、焦ってたって仕方がない。むしろ、楽しむような気持を忘れちゃダメなのかもしれない。
自然と力が抜けたことを自覚しつつ、俺は決意を新たにした。
絶対に迷宮を攻略して、生き延びるんだ。
体調不良でちょっと短めです。すみません。
改めてお願いです。
『ネタバレダメ絶対!』の精神でやらせてもらっているので、書籍などの情報を感想で書くのはやめてください。
軽い匂わせもできればお控えください。
私も他の作者さんの小説読んでいて、感想欄で今後の展開の匂わせがあったら「クンクン! こいつぁ匂うぜぇ。書籍勢からのネタバレじゃねぇか! ちくしょう!」ってなるので。




