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49話 上位種


 ヘルキマイラ戦の翌日。


 俺たちは改めて、ヘルキマイラと激闘を繰り広げた部屋へとやってきていた。


 戦いの痕跡は、一切残っていない。


 アシッド・スライムのような掃除屋が綺麗にしただけではない。床や壁の傷すら消えているのだ。


 きっと、迷宮の不思議パワーが働いたんだろう。


 そして、その部屋にはヘルキマイラの姿もなかった。さすがに1日では復活しないのだろう。ちょっと安心したような、残念なような不思議な気持ちだ。


 今度こそはもっと上手く狩って見せるという想いがあったからね。


「じゃあ、ここから先は完全に未知の領域だ。ゆっくりと進んでいくぞ」

「はいです!」

「りょー」


 シュピッと手を上げて元気よく返事をするシロクロを引き連れ、俺は先へと進んだ。


 ヘルキマイラの部屋より先に伸びる通路は、明らかに雰囲気が違っているように思えた。緊張のせいで、そう見えているだけか? いや、肌に纏わり付く魔力の濃さが、明らかに違う。


 魔力が今まで以上に濃く、重い気がした。


 きっと、より奥へと来たってことなんだろう。


 通路は少し狭くなったか? ただ、相変わらず蛇行し続けており、先を見通せない作りになっている。


 魔獣は――。


「ちぃ!」

「にゃぅ!」

「闇盾!」


 天井から何かが落ちてきた。俺とシロは咄嗟に跳び退き、クロは闇魔法で壁を張る。


 その壁にぶつかって跳ね返った相手は、赤い色をした粘液状の存在だった。


「スライムです?」

「でも色違う。それにおっきー」


 フシャーッと威嚇するシロの言う通り、落ちてきたのはスライムだった。しかし、クロの言葉も間違っていない。


「あれは、メルト・スライムだ!」


 スライムの上位種だ。アシッド・スライムよりもさらに強い種類であるらしい。どんなものでも溶かし、吸収するというのはアシッド・スライムと同じだが、こいつの酸はより強力なのだ。


 核は他のスライムと同じように麺にできるみたいだし、含有魔力も上だからきっと美味しいだろう。


「クロはこのまま闇盾の維持を」

「わかったー」


 スライムは溶解液を飛ばして攻撃してくることがあるが、これは実は魔力で生み出しているらしい。


 そのため、魔法を防ぐための闇魔法の障壁で防ぐことが可能だった。さっきメルト・スライムが闇盾に弾かれたのも、あの体が魔力を豊富に含んでいるからだ。


 ただ、闇盾は物理的な防御力が低く、普通の矢や投石にはあまり意味をなさないから使いどころが難しい術ではあるが。


 クロは落ちてきたのがスライム系の敵だと判断して、咄嗟に闇盾を張ったんだろう。素晴らしい判断である。


「水針連弾!」

「敵を断て! 光刃!」


 水の針がメルト・スライムを縫い留め、光の刃が俺くらいなら呑み込めそうな粘液の体を大きく抉り取った。


 シロの光刃の術は、物理、魔力双方にダメージを与えることが可能な術で、スライム相手には有効な魔法だった。クロの闇刃に似ているが、こちらは物理のダメージの方がメインだ。


 少なくとも、アシッド・スライム相手なら確実に倒せる術である。


 だが、メルト・スライムは未だに動いていた。上位種はやはりしぶといな! 竜の力を使い過ぎずに勝ちたかったが、少々相手を侮り過ぎていたらしい。


「わう!」

「マジか!」


 メルト・スライムが放った攻撃が、闇盾を一撃で破壊していた。アシッド・スライムも似た攻撃をしてきたが、遥かに威力が高い。


 あっちが投擲くらいの威力だとすれば、こちらは弾丸だろう。


「シロ、おねがい」

「にゃ! 風壁です!」


 だが、クロもシロも冷静だ。


 相手がスライムなら、クロの闇魔法の方がよく効くはず。つまり、シロが防御でクロが攻撃をする方がいい。


 俺に言われるまでもなく2人は自然とそう判断し、動き出していた。シロが風壁を張り、クロは攻撃のために魔力を練り上げる。


 迷宮での様々な経験により、多少のことでは動じない冷静さが培われたんだろう。


 俺は2人の援護だな。


「熱湯作製!」


 やることは単純。やつの頭上に熱湯を生み出して、落とすだけだ。バスケットボールサイズの熱湯がメルト・スライムにぶつかり、白い湯気を上げた。


 スライムが熱に弱いとはいえ、ほぼダメージはないだろう。だが、メルト・スライムは動きを止めてその場で体を震わせて蠢き始めた。


 熱湯を弾いているのだ。この行動、アシッド・スライムとよく似ていた。多分だが、体を構成する酸が、熱湯で薄まることを嫌うんだろう。


 体を振動させて熱湯を払い落とそうとするメルト・スライムは、完全に無防備であった。


「わう。闇衝撃」


 詠唱を終えたクロが、闇魔法を使用する。まだ放つまでに時間がかかるが、その威力はかなりの物だ。中級の魔法だからな。


 黒い弾丸が放たれ、その勢いのままメルト・スライムの肉体を半分近く削り取った。しかも闇魔法の特性で、魔力もゴッソリと減っている。


 結局その一撃が決め手となり、メルト・スライムは溶けて消滅したのであった。


「ふぅぅ……。瞬殺とはいかなかったが、上位種相手でも怪我無く勝てたな。でも、上位種に勝つには、竜の力が必要か……」

「結構しぶとかったです」

「勝って兜の緒をしめしめー」


7/15に書泉様で開催のサイン会もよろしくお願いいたします。

締め切りは7/11までとなっております。


リンク

https://shosen.tokyo/?pid=181384350

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