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38話 竜の腕、竜の瞳、竜の喉


「にしても、お前ら育ったな……。どっか痛いところとかないか?」

「うーん……? ない!」

「ないー」


 いきなり大きく育ったシロとクロに違和感や痛みはないか聞くが、問題はないようだ。いや、肉体の一部が竜になって、見た目年齢が急成長したことがもう大問題なんだけどさ。


 5歳くらいから12歳くらいに成長したが、立ち上がって歩く姿にぎくしゃくとした様子はない。


「シロの眼はどうだ? クロの腕も違和感は?」

「ない!」

「クロはあるー。なんか、魔力変ー」


 言われてみると、クロの腕からかなり強い魔力が発せられている。まるで魔法を使っているかのようだ。


 すると、シロも前言を翻して手を上げた。


「あー! シロも! 変です! なんか見えるです!」


 目覚めたばかりの時も言っていたが、魔力が見えるようになったらしい。クロに言われるまでそれが変だと気づかなかったってことは、余程馴染んでいるんだろう。


「竜の腕に、竜の眼だからな……。何か特殊な能力が備わっていてもおかしくはないか」

「特殊なのーりょくー?」

「超強いかもです!」


 とりあえず、魔法を使ってもらって何か違いがないか検証するか?


 今後のことを考えていたら、シロとクロが俺の胸元をじっと見ていた。いや、胸よりもちょっと上か? でも、顔じゃない?


「ど、どうした2人とも?」

「トールの首、なんかついてるです」

「なんかへんー」

「え?」


 俺の首?


 ダメだ。下を向いても首は見えん。ただ、顎に何かが触れたぞ? 硬いツルッとした感触のものだ。


 恐る恐る指を伸ばしてみると、何か硬い物が指先に触れた。え? なんだこれ?


「鍋に水を――はっ?」


 自分の姿を映そうと、魔法を使って鍋に水を張ろうとしたんだが、その発動が異様にスムーズだった。息をするようには言い過ぎかもしれないが、非常に少ない魔力で一瞬で発動できたのだ。


「トール?」

「どしたのー?」

「ああ、いや。なんでもない。ちょいと待ってくれ」


 魔法の使い易さは後で検証するとして、とりあえず自分の姿を確認することにした。


「これは……石? 宝石? それに、黒い印が……」


 俺の首には、親指くらいのサイズの楕円形の石みたいなものが埋め込まれていた。喉ぼとけが石化して、外に飛び出たようなイメージ?


 表面はつるりとしていて、色は赤い。宝石というには透明度が足りないが、普通の石よりも美しい。


 これも、2人の眼や腕のように、竜の肉体なのか? 竜の喉? 何となく引っ張ったりもしてみたが、取れるはずもない。


 結局、今はよく分らないという結論にしかならなかった。


 そして、黒い印だ。羽を広げたコウモリのような、不気味な模様である。


 迷宮の呪い……。親が言っていたことが本当なのかは分からない。あの両親だからな。傭兵の間に伝わる迷信でしかないのかもしれない。


 だが、眉唾だと思っていた迷宮の悪意が存在したんだ。その呪いについても、本当である可能性はある。


 考え込んでしまった俺の耳に、ギュルルルという魔獣の唸り声のような音が聞こえてきた。思わず身構えるが、その音の出所はシロとクロの可愛いお腹である。


「トール……」

「おなかへりへりー」


 鳴り響く爆音とともに、シロとクロが切ない顔でお腹をさすっていた。どうやら、腹が減ったらしい。2人に空腹を訴えられたことで、俺も自身が空腹であることに気が付いた。


 竜のスープを腹に入れたはずなんだが、肉体が作り変えられる段階で消化吸収されてしまったんだろう。


 腹が減っていることに気付いたら、どうにも我慢できなくなってきた。体が食事を求めているのかもしれない。


 今は今後のことを悩むよりも、生き延びたことを喜ぼう。そして、生きるためには、飯だ!


「ちょっと待ってろ。すぐ用意するから」

「はいです」

「わうー」


 大人しく座り込む2人だったが、妙にモゾモゾとお尻を動かしている。椅子が急に小さくなってしまったせいで、座りが悪いんだろう。


「土魔法で、椅子作り直してみろよ。魔法の練習になるし」

「わかったです!」

「りょー」


 さて、胃の調子が悪い感じもしないし、普通に肉入りのスープでいいかな? 目覚めた瞬間に感じた気持ち悪さはもうないし。


 まずは匂いや煙を抑えるための風魔法だ。すると、これも驚くほどスムーズに発動できた。一度魔法を切って、詠唱をせずにイメージだけで再発動してみる。


 すると、一瞬での魔法発動が可能になっていた。それに、体内魔力も増している。いや、増すというか、数倍増?


 これならもしかして――。


「黒き獄炎よ。亡者苛む煉獄の炎よ。現世に顕現し、生ある者を焼き尽くせ! 黒炎陣!」


 今までは使えなかった、黒い炎を生み出す中級魔法が難なく使用できていた。体内魔力の上昇と、魔力操作能力向上により、魔法を扱う力が大幅に強化されたらしい。


「まあ、今から作る料理に黒炎はいらんけど」


 むしろ黒炎を使うと、鍋に付与している耐火の術が一気に消耗するからな……。でも、黒炎を使った方が、魔法効果は上昇するか?


 まあ、色々検証しながらやってみよう。


 あと、カロリナに天竜料理を下手に食べさせるわけにもいかなくなった。竜の魔力は、体を竜化させるみたいだし……。微量なら問題ないかもしれんが、絶対とは言い切れんしな。


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― 新着の感想 ―
[一言] あー、外に出る時にスカーフ的なものがいるようになったねえ。
[一言] 竜の喉と言うより逆鱗だよね。
[一言] カロリナさん、ドラゴニュート計画潰える! …まぁ、体が作り直されるのは辛そうだし、体力ないと耐えられなさそうなのでしょうがないか…
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