表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/150

27話 宝箱


「今日の宝箱はハズレだったな~」

「布いらないですー」

「はずれれー」


 部屋にいた変異個体のヴェノムラットを倒した俺たちは、久しぶりの宝箱を発見していた。


 ここは、迷宮を発見した時に変異ポイズンビーストと戦った、一番最初の部屋だ。


 あの時も宝箱を発見したが、それからも不定期に宝箱が出現することがあった。その際、部屋に出現するのは必ず変異個体で、こいつを倒すと確定で宝箱が出現した。


 出現は完全にランダムなようで、1ヶ月で再度現れることもあれば、4ヶ月近く音沙汰がないこともあるのだ。


 また、宝箱は必ず3つとは限らなかった。1個しか出ないこともある。というか、一番最初が一番豪華だった。


 それ以降は、俺たちの感覚では一段も二段も落ちるアイテムばかりなのである。今回も宝箱は1つだけで、中には白く綺麗な布が入っていた。折り畳まれているが、広げたら結構な大きさになるだろう。


 良い布なのだろうが、俺たちに縫製技能はない。切って体に巻き付けたり、シーツ代わりに使うくらいしかないのだ。


 これだったら、以前のような胡椒の小袋1つの方が遥かに嬉しい。というか、宝箱の番人として現れる変異個体の素材の方がありがたかった。


 今回倒した変異個体のヴェノムラットも、毒抜きをすればかなり美味しいと出ている。


「久しぶりにステーキにでもするか。分厚いやつな」

「にゃう! おっきいお肉です!」

「でも、塩だいじょぶー?」

「ああ、こないだ傭兵から拝借したやつが残ってるよ」

「ならいー」

「すてきなステーキです!」


 塩には、まだ少し余裕がある。その入手先は傭兵だ。


 とはいえ、交渉して手に入れたわけじゃない。お金と同じで、落とし穴にかかった傭兵の遺体から頂いたものだ。


 迷宮に吸収される前に拝借すると消えなくなるのだ。所持者が移るからなのだろうとは思うが、不思議な現象である。


 まあ、迷宮なんて存在そのものが不思議なんだから、そんなこともあるのだろうと納得しているが。


 グチャグチャの落下死体から拝借した塩や保存食でも、シロとクロは気にならないらしい。皮袋に入っていて血に濡れてるわけじゃないんだが、人によっては口にしたくないという人もいるだろう。たくましいね。


「おっしおーおっしおー!」

「お塩のステーキー」


 今から分厚いステーキに想いを馳せ、ご機嫌なのだ。


 あと、傭兵の遺体からは武具が得られることもあるが、あまり期待できない。


 罠にかかるような傭兵は腕が良い方ではないらしく、身に着けている武具の品質も良くはないのだ。


 それ故、落下時の衝撃で壊れてしまうことがほとんどだった。何とか使えそうな布類でも、傭兵の血や体液で汚れてしまっていてちょっと使いづらい。


 そもそも、クロとシロは1年前に発見した従者服を今でも着ている。防御力はそこそこでも、サイズ調整、自動修復、自動浄化の機能があって、メチャクチャ優秀だったのだ。


 俺の装備は以前から着ている黒い服だが、そこに宝箱から発見した肩掛けマントを羽織っている。これも2人の装備と同じで、サイズ調整、自動修復の機能があった。


 浄化はないが、その分防御力が高いらしい。スライムの酸くらいなら弾いてくれるのだ。そのおかげで、スライムの奇襲から命を救われたのである。


 一応、幾つかの防具は住処に持ち帰ったが、ほとんど放置状態だった。


 武器の中にも無事な物がたまにあるので、そっちも一応ストックしてある。ただ、傭兵は威力重視で大振りの鈍器を使うことが多いので、俺たちでは使いこなせない物ばかりだけどね。


 因みに、今まで宝箱からゲットしたアイテムはこんな感じだ。


初回、短杖、メイド服、見習い執事服


2回目、金属製の短剣、革の靴


3回目、砂糖の小袋、食器3セット、肩掛けマント


4回目、胡椒の小袋、高級葡萄酒1瓶


5回目、闇の魔導書


6回目、大きな布1枚


 最初と2回目は結構よかったんだが、3回目以降は少しショボイ。いや、有難いんだが、魔道具とかの方が嬉しいのだ。


 因みに、2回目に手に入れた短剣は、魔力を流すと切れ味があがり、革の靴はサイズ調整、消臭の効果があるっぽかった。


 短剣はシロ、靴は俺が使っている。その代わり、闇の魔導書に関してはクロにあげた。まあ、クロしか使えないってこともあるんだが。


 これは読み込んでいくと精霊との親和性が上昇し、特定の魔法を教えてもらえるというアイテムだ。俺たちが手に入れたのは暗眼、闇盾という魔法を覚えることができる書だった。


 完全な暗視に加えてゴーストなども視ることが可能となる術と、闇で魔力を弾く盾を生み出す術だな。どっちも下級の術だが、悪くない魔法だろう。


「次に出た魔獣はシロがやるです!」

「ずるい。クロもー」

「じゃあ、早いものがちです!」

「わふー」


 勝手に決めちまいやがったな。まあ、変異個体じゃなければそこまでの危険はないし、いいけどね。


「ふっふふーん! 今日はステーキー♪」

「にくにくー」

「美味しくってほっぺ落ちちゃうですー♪」

「それはたいへんー」


 2人の即興ソングが響く通路を、俺たちは先へと進んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 即興ソングかわいい(^^)
[一言] インビジブルクロース(姿隠しの布)とかだったりして。 大きさ的に3人まとめて被れそう。
[気になる点]  落とし穴に引っ掛かった傭兵の死体があるってことは、当然のことながら落とし穴を通じて正規の入口側の迷宮と繋がっている訳だけど、そんな場所で歌って、落とし穴から声が上層に伝わり、トール達…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ