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一話 お貴族様

ゴミ溜めの中、あなたが私を助けてくれた。

 この方はレイス様。私のことを拾ってくれたお貴族様である。

 「あの、レイス様。私はこれからどうすればよろしいのでしょうか」

 昔にお貴族様のお家に行ってお手伝いをしていた時期があったが、お貴族様のような生活はしたことがなかったのでどうすればいいのか分からない。

 「イアはそこに座っているだけでいい」

 「そう言われましても」

 言葉通りに座っておくわけにはいかない。レイス様の役に立つことをしたい。と色々なことをしてみることにした。

 洗濯。

 「お嬢様!」

 びしょ濡れになってお風呂に入ることになってしまった。

 次は料理。

 「焼け焦げてしまったわ」

 食べても炭の味しかしない。

 次はお裁縫。

 指を切ってしまって侍従の手を煩わせてしまった。

 私、何も出来ない。このままじゃ捨てられるんじゃ。

 「もうあの生活には戻りたくない」

 ゴミ溜めでご飯を漁って町ゆく人にご飯を恵んでもらえる生活。そして、町ゆく人に与えられる暴力。

 「お嬢様?」

 震える私を心配した侍従が声をかけた。私は少し落ち着いて息を整えた。

 「大丈夫よ」

 「そうですか。では、次は旦那様とのお食事の時間です」

 もうそんな時間なのかと外を見ると夕焼けが窓から見えた。

 「ええ」

 正直レイス様とご飯を共にするのは空気が重くて息をするのもやっとです。

 レイス様は私のことをいつも睨んでいるので、私のことを嫌いなのかもしれないですが、嫌いなのに、なぜ私のことを拾ったのか謎です。

 「私のことお嫌いですか?」

 「いや、そんなことない。むしろ」

 レイス様は口を手で塞いで気まずそうにこちらを見ていました。

 「イアが猫のようにか弱いから」

 つまり、か弱い者を虐めるのがお好きだとそういうことですか!?

 お食事の時間が終わり、私は部屋に戻って侍従にレイス様のことについて聞いてみることにしました。

 「レイス様は優しい方です。私達のことも気遣ってくれています」

 と皆口をそろえてそう言うのだ。私と接している時とは似ても似つかぬ言葉だらけだ。

 「私と居る時はそんな風には見えないのですが」

 「緊張しているのでしょう」

 「緊張?」

 確かに、あの顔は緊張しているのかもしれません。

 ということで私は侍従に頼んで、メイドの恰好をすることにしました。これなら、皆が言うレイス様の優しいところが見れるはず。

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