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ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~   作者:
本編

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断じて俺ではない!!

 


 ついでだから“裏隠しキャラ”についても話をしよう。


『亡国のレガリアと王国の秘宝』に存在すると噂される裏隠しルート。

 そもそも何故(なぜ)そんな噂が拡散していたかというと、それは制作陣の呟きにある。


「美麗なイラストと豪華な声優陣、イケメンたちと是非、甘いひと時をお過ごしください!!二人のヒロインもすっごく可愛いし、七人の男性陣も宝石のように美しく魅力的ですよ!」


 制作陣の一人のそんな呟き。


 注目すべきは男性陣の人数だ、“七人”。

 ガーネスト、ダイア、サフィア、メラルド、アレクサンドラ、主要キャラが五人。そして隠しキャラのジスト。計、六人のはずである。


 ならば、あと一人とは誰なのか?


 単純な打ち間違えか、それともあえてか。

 ゲームユーザーたちは熱狂したが、それに対する回答などは特に出されず、ただ騒動の原因となったその呟きは後日削除されたらしい。



 さらにはオープニング映像。


 オープニングの最後の方に空の玉座が映るのだが、その玉座には王の代わりに一つの王冠が鎮座している。飛び交う光の筋が画面に煌めき、光は宝石となり王冠へと嵌っていく。

 一瞬の映像だし、キャラでなく無機物の映像だから最初は気にもとめられていなかった。だが、熱狂的なファンというものは隅々まで食い入るように見ているらしい。


「光の筋は六色なのに、王冠に宝石が嵌る部分が七つある!!」


 しかもなんとその位置は中央。

 そしてもう一人隠しキャラが居る説は瞬く間に広がった。

 話題性が抜群だったためか運営側も相変わらず否定の意見は出さないままだったし、ゲーム上で完全には明かされなかった謎なんかもあったため、この説は有力視され半事実の扱いとなった。


 おかげで俺は姉さんたちにゲーム三昧の日々を送らされたわけだけど……。



 ユーザーたちの間で一番取り沙汰されてたのはシリウスだ。

 他の攻略対象者たちに比べれば宝石のごとくキラキラした美形ではないものの、充分男前寄りな美形だし、アレクサンドラの護衛兼ご学友的な立ち位置もあり学園にも通っている。

 必然、登場場面も多く、またヒロインとの関わりも生まれる。剣が強く見せ場のあることや単体ではないがスチルに登場することも大きい。

 候補としては妥当だろう。

 現に俺も当時シリウスが怪しいと睨んで、アレクサンドラルートを集中的にやりこんだ記憶がある。なにを試してもルートは開かんかったけど……。


 次点が我が親友、ティハルトだ。

 彼もスチルにちらっと登場してたし、なによりダイアの大人バージョン的な完璧な美貌。そしてゲームのダイアのコンプレックスの一因となっていたように優秀かつ有能だ。


 幼い頃から完全なる王子様っぷりを目にして、今世の俺の隠しキャラ候補No.1だった。


 同時にちょっと不安もあったのだ。

 ゲームでのティハルトは多分、アイリーンと結婚はしていなかった。

 詳しくは語られてないし、脇役のティハルトが誰かと結婚していたかは謎だ。でもジャウハラとのゴタゴタの最中、バッドエンドの戦争ルート直前に「ジャウハラとの戦争で国力が疲弊した隙にラトゥミナが侵攻でもしてきたら被害は甚大(じんだい)だ」っていうダイアの台詞がある。

 つまり他国と戦争になった場合、その機に乗じて攻め入られる可能性があるぐらいアイリーンの母国ラトゥミナとは関係が悪化していたということだ。


 元々友好国の一つだし、アイリーンとティハルトが結ばれた今は両国の関係は強固で国交も盛んだ。

 

 だが、本来ならアイリーンとティハルトが結ばれる可能性は極めて少なかったのもまた事実。

 何故(なぜ)なら、ジュエラルの王族・貴族は『異能』を誇る。

 そして『異能』を確実に引き継ぐためには、両親ともが『異能』を有する必要があるというのは前にも説明した通りだ。

 現に、それが原因で公爵家の嫡男である俺の立場が微妙なことがいい例。


 さすがにアイリーンは他国の王族ということがはっきりしているし、生まれた子供がもし『異能』を有して居なくとも、愛人との子と疑われることも貶められることもまずないだろう。

 だが『異能』を重要視する一部の古参の貴族から、結婚に根強い反対があったことも確かだ。


 以上のことから、ゲームでのティハルトはアイリーンと結ばれていない。


 学生時代からアイリーンとも親しくしていた友人としては、ティハルトの裏隠しキャラ説を疑う一方でヒロインの登場によりアイリーンが振られてしまうのかと危惧もしていた。二人のラブラブっぷりを見せつけられてたから余計にね。

 だがティハルトは周囲の反対を押し切ってアイリーンを選び、そしてヒロイン登場前に結婚。


 ここはやっぱりシリウスなのだろうか、と思いたいのだが……。


 ところがどっこい!


 この世界の転生者の中で有力視、というか半確信をもって裏隠しキャラと認識されているのがまさかの俺だ。


 もう一度言おう、まさかの俺だ。


 いやいやいやいや……なんでだよっ?!!

 まぁ、なんでだよっ?!!とか言いつつ、本当は理由もわかっている。


 顔。原因は(ひとえ)にこの顔だろう。


 まさか俺もガーネストやベアトリクスの兄、地の文で名前が一瞬出ただけの『無能』なキングオブ・ザ・モブこと“カイザー”の顔面偏差値がこれ程に高いとは思わなかった。確実にモブの無駄遣いが過ぎる。


 だってガチ攻略対象者レベルだよ?

 第三者なら俺も「コイツがそうじゃんっ!?」って絶対確信してたわー。

 むしろ、記憶思い出した当初、鏡見て「えっ?俺って裏隠しキャラ??」って呟いちゃったしね。自分の美貌にビビったわ。


 でもどうせなら男前系がよかったー。残念。

 中身が俺ってとこで美形の無駄遣いだけどね。はい、残念。


 そしてゲームの基盤となる学園の教師となったことも、疑惑を決定づける要素とされている。

 でも実際はゲーム設定でもなんでもなくて、ただただ単純にカイザーの中身が“俺”で極度のブラコン・シスコンだったから教師になっちゃっただけだけどね。きっと本来のカイザーならそんな展開はなかったし、ヒロインたちとの接点も皆無だったことだろう。

 だからカイザー説は全面否定させて頂こう。


 それに顔が良いとはいっても、なんだかんだいってこの世界の人間って基本みんな顔良いし。


 主に疑われてたシリウスとティハルト以外で怪しまれてたのはサポートキャラたち。スチルはなかったけど登場回数も多く、キャラ絵もあったしな。


 一人目はお馴染、図書室の妖精さん。

 何故(なぜ)かホワイトタイガーのカマルといつも図書館に居て、そして攻略対象者の居場所など聞けば色々答えてくれる彼。

 長い前髪に阻まれて顔立ちは不明。制服を着用しているが、その存在もなんで色々なことを知ってるのかも、名前も不明。

 幽霊説・妖精説など様々な説が飛び交う通称、図書室の妖精さん。


 二人目はヒロインたちのクラスメイト、ジュリアちゃん。

 タロットカードに良く似た占いが得意で、相談すると様々なヒントをくれる。

 性格は物静かで占い以外では口数が少ないミステリアスな感じ。紫紺のショートボブに紫に赤が混じった色の瞳でボーイッシュな感じの美少女だ。

 ユーザーたちからジュリアちゃん、ジュリたんなどと呼ばれており、そのボーイッシュな雰囲気からか実は男の娘で彼女が隠しキャラなんでは?という説も出ていた。


 三人目は道具屋兼情報屋のライ(偽名)。

 道具屋をしつつ秘密裏に情報屋を営んでおり、裏ルートの情報担当。

 ヒロインが偶然入った道具屋の兄ちゃんで、ジストルートの魔獣密売や共通ルートの裏情報などをくれる。

 レモン色の髪にカラフルなピンを挿し、中々のイケメンだが似非(エセ)関西弁な胡散臭(うさんくさ)い兄ちゃん。にんまりとした笑顔と親指と人差し指で円を作ったお金ポーズがデフォルトだ。

 胡散臭さが拭えないが、女性人気は高く、キツネ、ライ兄さんなどと呼ばれていた。


 三人合わせて“不思議三人衆”。


 「何故(なぜ)にサポートキャラを不思議属性で統一した??」という疑問がユーザー間では飛び交っていた。

 まぁ、不思議属性の方が色々な情報を提供するのに都合が良かったのかもしれないけど……。

 情報屋のライはともかく、なんで図書館から出ない妖精さんな彼が攻略対象者の居場所や学園の様子を知ってるか謎だし、ジュリアちゃんは占いでまだ起こってない未来の情報とかくれるしな。


 それ以外にもチラッとでもスチルに映り込んでるキャラは取りあえず疑われてた。背景に映ってるクラスメイト(しか)り、騎士団の一員(しか)り。神絵師といわれるだけあって、主要キャラ以外もそれなりに顔が良かったし。


 だが、そうしてあらゆる面々が疑われたにも関わらず本命は不明のまま。

 というか、そもそも本当に存在するのだろうか?


 でも制作陣の呟きは打ち間違えの可能性もあるとして、オープニングの王冠の件は確かに怪しいんだよなー。よりによって中央部分の宝石が欠けてるなんて凡ミスとは思えないし……。


 結論としては、

 なにもわからん!!っていうことですね……。



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