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ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~   作者:
本編

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41/210

心臓が限界寸前です

(リリー視点)



 一体、全体なにがどうなってるのよっ?!


 瀕死(ひんし)の状態で昼休みを乗り越えた私は、フラフラしながらもなんとか教室へと辿り着いた。

 チャイムが鳴るまでの間、心配してずっとついててくれたベアトリクスちゃんたちマジ天使!そして悪役令嬢要素どこ行ったっ??


 それどころか、食事を一緒に取った女の子三人だけでなく、具合が悪そうな私に他の女の子やサフィア様たちまで声を掛けてくれて……。

 この教室には天使しかいないの?


 授業が始まっても教師の声なんて一向に頭に入ってはこなくて、ひたすらに今までのことに頭をめぐらせた。



 転生に気づいたのはまだ幼い時。


 来るべき未来を知っていた私は、将来に向けて早めに礼儀作法などを勉強し始めた。

 本当に早めに気づいて良かったと思う。貴族の作法、超難しいもん。アンジェスの末裔であることが発覚して貴族に引き取られてからだったら、絶対入学までに身につかなかったわ。


 というか、ナディアちゃんはマスターしたの?

 天才なの?ヒロインパワー?


 貴族の屋敷で過ごした一年弱、他人との関わりをほとんどシャットアウトされていた状態でも耳に届いた噂があった。


 アンジェスの末裔が()()発見された_______。


 ここから(すで)に可笑しかった。

『亡国のレガリアと王国の秘宝』はダブルヒロインが存在するけど、選択制でストーリーに関わるヒロインはどちらか一人の筈だから。

 リリー()というヒロインが存在するにも関わらず、もう一人のヒロインが存在するなんて思ってもみなかった。


 そしていざ入学した学園。

 城を思わせるような立派な学園につい散策を始めたヒロインは、咲き誇る花に惹かれローズガーデンへと迷い込み、校舎への戻り方がわからなくなってしまう。そしてこの国の王子でもあるダイアと出会う。


 ………筈が。


 来ないし!!

 いつまで待ってもダイアが現れない。


 ダイアに案内されて入学式の会場へと向かう過程で俺様生徒会長のガーネストにも出会って、二人の間にちょっとしたバトル(口喧嘩だけど)が勃発したり、ヒロインが興味持たれたりする筈なのにっ……!


 いつまでもダイアが現れないから、危うく入学式に遅刻しそうになったうえにガーネストとも会えなかった。



 そして入学式。


「カイザー・フォン・ルクセンブルクです」


 気品があり落ち着いた、だけど艶のある声音。思わず耳を傾けてしまうような美声の持ち主は、ものすっごい美形だった。

 白い肌に色づく唇、性別を感じさせない美しい顔に、どこか妖しい輝きを宿す蠱惑的な満月のような瞳。流れる髪は艶やかな漆黒で、一目で瞳を奪われるような圧倒的な美しさの男性が視線の先に居た。


 思わずあんぐりと口が開いた。


 どうみてもモブではない存在感を放つその人を……私は知らない。


 凝視するように見つめていると、不意に瞳があった。

 美しい蠱惑的な瞳に一瞬、息すら止まる。

 白皙の美貌の中で眼を惹く色づいた唇が僅かに笑みの形を作って、微笑まれた……気がした。自意識過剰でなければ、私たち(ヒロイン)に向かって微笑みかけた。


 脳裏に焼き付いた美しい微笑みに改めて思う。

 あんな美形は出てこなかった……。


 混乱で埋め尽くされた頭によぎったのは、一つの噂だった。

 “公式隠しルートの“ジスト”とは別に、裏隠しルートが存在する”


 あれが、“カイザー”様が裏隠しルートの“隠しキャラ”?!

 えっ、いつルート開いたのっ??



 そして教室。


 ストーリー通り、悪役令嬢のベアトリクスと攻略対象者のサフィアとは同じクラスだった。


 それにしてもベアトリクス可愛いんだけど。

 他の女子もレベル高いしっ!!サフィアも超絶麗しいしっ!!

 なぜか超可愛いもう一人のヒロインも居るけど……。


 そんでもって、待てど暮らせど悪役令嬢のベアトリクスが絡んでこないし、そうなると必然的にベアトリクスからサフィアが庇ってくれることもない。

 悶々としながら過ごしていると、不意に廊下が騒がしくなった。

 視線を向ければそこに居たのは“カイザー”様で、なんとか現状を打破しようと必死な私が思い切って声を掛けたら、


「えっと、その……お兄さ……お兄様は一体っ?」


「ちょっと貴女っ!!一体どういうおつもりですのっ?!」


 ビシィ!!と音がしそうな程に突き出された人差し指と怒りを露わにした華やかな金髪のお嬢様、もとい悪役令嬢のベアトリクスがそこに居て。

 やっと悪役令嬢フラグが立ったっ!と思ったのも束の間……。


 ……まさかの、ブラコンだった。


 っていうか、兄っっ!!?

 そういえば、“ルクセンブルク”ってなんか聞き覚えがあると思ってたけど、ベアトリクスとガーネストの家名と同じだと今になって思い出す。


 無意識に零した『無能』の言葉にベアトリクスは怒り心頭。

 だけどこれは彼女が悪いんじゃなくて、完璧に私の落ち度だった。周囲の(特に女子)冷たい視線に失態を悟って慌てて謝る。

 本人目の前にして『無能』で空気発言とか、どう考えても失礼すぎる……!


 そしたらまさかの謝罪を返された。

 だから悪役令嬢要素どこ行ったのっ?!

 これじゃ、普通に良い子な美少女じゃないっ!!


 状況を把握しなきゃ、となんとか一緒に食事をとることに成功したものの……あまりの美形率の高さに心臓と鼻の粘膜が限界だった。


 ガーネスト様は傲慢どころか普通に親切なイケメンだったし(お姫様抱っことか死にますよ?)、ダイア様はキラキラ王子様だし(あれ絶対ベアトリクスちゃんのこと好きでしょ?)、カイザー様はミステリアスで大人の魅力があってヤバいし(っていうか、本当何者なの?いつ新ルート開いたの?ミステリアスが過ぎて訳がわからない!)。


 ベアトリクスちゃんは恋する乙女で超絶可憐な美少女だし(もう絶対悪役令嬢なんかじゃない!)、カトリーナちゃんも可愛いうえに巨乳だし……(この子もモブの可愛さじゃないんですけど?)、ナディアちゃんは初々しい美少女だし(この子がカイザー様ルート開拓したのかと思いきや初対面っぽいし、どういうことなのっ?!)。


 もう、意味がわからない……。



「大丈夫ですか?本当に医務室へ行かなくてもいいのですか?」


 首を傾げる動作に、さらりと揺れる薄水色の長髪が一筋、机を撫ぜた。


「だ、大丈夫ですっ。ちょっと初日だから緊張で疲れが出ちゃったみたいで」


 濃いサファイアの瞳に心配そうに見つめられ、わたわたと両手を顔の前で振った。


 ドッキン、ドッキンと響く心臓。美形の至近距離とか本当に心臓に悪い……。

 絶対早死にする気がしてきた………。


「無理をなさらないでくださいね」


「辛くなったら授業中でもすぐ仰ってくださいね」


 机の周りに集まって心配してくれるサフィア様とベアトリクスちゃんたちに感動で胸がときめく。今日は心臓が過剰労働すぎるんですけど。



 実はサフィアは私の推しキャラの一人です。綺麗なのと可愛いのが大好きなので!!

 全員好きだけど攻略対象としてはサフィアとアレクサンドラが好き!!

 サフィアは女神か精霊か!ってぐらいの美貌だし、アレクサンドラはエキゾチックで魅惑的な美形だし。男性キャラは浮世離れした雰囲気の方が好きなのかも。


 なのでカイザー様もガッツリ好みど真ん中です。

 清廉とした雰囲気もありつつ、妖しい魅力も持ち合わせた美形とか……なんだそれご褒美かっ。


 そして可愛い女の子は基本好き!

 だからベアトリクスも愛でてたし、ヒロインは私も含め二人ともお気に入りだった。メラルドもワンコ枠で可愛いと思う。


 まぁ、アレクサンドラは入学式から少し遅れた途中入学だし、隠しキャラのジストは秋ごろに竜姿での邂逅(かいこう)があって、人型を露わにするのはルートが上手く進めば来年の初夏。

 メラルドに至っては来年の入学まで接触はないのだけれど。



 ……とか、思っていたこともありました。




敬称ありとなしが混ざっててややこしいですがワザとです。

一応……敬称ありが目の前の相手を認識してる時で、なしはゲームのキャラとして語ってる時になってます。

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