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ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~   作者:
本編

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20/201

例の令嬢には自慢返しをしたらしい


 結果、大絶賛を頂きました!!いぇーい!!


 今日のお客様は全部で四人。

 我が家の顔馴染であるダイアと、ベアトリクスのお友達三人。話にもよく出てくる仲良しのカトリーナ嬢に、ダイアナ嬢にマリア嬢。


 出迎えた際に挨拶を交わしたのだが、頬を染めてきゃあきゃあしつつも礼儀正しく挨拶してくれる姿は好印象。いや、ベアトリクスと仲良くしてくれてる時点でかなりの好印象だけど。


『きゃあ!!物凄い美形でらっしゃるわ!!本当に人間?!』


『えっと、私変なとこないかしら?』


 昂ったテンションのままにモロに聴こえる心の声。


 セミロングの髪を高い位置で結ったちょっぴり気の強そうなダイアナ嬢が特に。感情の起伏が激しく素直そうだもんね。バッチリ人間ですよー!


 複雑な形に編み込んだ髪に手を遣りながらわたわたとしているマリア嬢は如何にも女子力に気合をいれてそう。ちゃんと可愛いから大丈夫だよ、そんなに触ったら髪、崩れちゃうぞ?


 もう一人、ベアトリクスの一番の仲良しらしいカトリーナ嬢は大人しい女の子らしく心の声はそこまで響かないがとても緊張気味だ。

 あと目敏い俺は彼女がチラチラっとガーネストに視線をやって一瞬頬を染めたのを見逃さなかったっ!


 他の二人も男性陣に向かって頬を染めたりしてるけど、あの一瞬の視線は違う。


 なんか、アレだ。憧れとかミーハーでなく恋する視線的な!!

 ベアトリクスがよくダイアに向けるやつ…。とか思って自分でダメージを喰らう。


 自分の思考でダメージを喰らった俺は、心の中で胸を押えつつも一先ずその場を離脱。


 本日の主役、シュークリームの準備です。


 その間ベアトリクス達はお茶会を開催。

 憧れの王子様と生徒会長様ともご一緒のお茶会に少女たちは色めきたっている。お昼を一緒してるカトリーナ嬢は兎も角、残りの二人は緊張も興奮もひとしおの様子だ。


 ワゴンにシュー菓子を華やかにセットして、いざお茶会へ。



「私も仲間に入れて貰ってもいいかな?」


「お兄様っ!!お待ちしておりましたわ」


「兄上、こちらへどうぞ」


 パチンと手を叩いて歓迎してくれるベアトリクスと自ら椅子を引いてくれるガーネスト。

 俺の弟妹が天使!


「有難う」と礼を述べて椅子へ座る。

 二人の視線はワゴンに釘付けで、そんな様子に客人たちもワゴンへと視線を向けた。途端。


「わぁ!凄い可愛いですわ」


「美味しそうです」


「始めて見るね。モン・シュクレの新作かい?」


 あがる歓声。


 女の子たちの華やいだ声と、「凄い」と呆然と眼を見張る可愛い弟妹。そんな弟妹はダイアの疑問に満面の笑みで胸を張った。何それ、可愛い!


「このお菓子はそんなありふれたものではありませんわ」


「何せカイザー兄上のお手製だからな!」



「「「「えっ?!」」」」



 お兄ちゃんのことでそんな得意げな顔しちゃうなんて可愛すぎる!と俺が滾ってる間に客人たちは驚きのあまり立ち上がる。ふふん顔の弟妹に、すまし顔で内心テンションマックスの俺、菓子と俺に視線を大往復させる少年少女。


 中々のカオスである。


「さぁ、折角だから出来たてを召し上がれ。リフ、頼む」


「畏まりました」



 既にトーマスの菓子が華やかに彩っていたテーブルに俺渾身のシュー菓子が並ぶ。


 パリブレストはリフが美しく切り分けてくれ、リアンが希望された菓子をとりわけ、リリアが配膳。普通メイドが率先するとか言ってはいけない。何故ならリリアは不器用。リスクの多い作業は率先して他の者が請け負うのがこの家のルールだ!

 折角の菓子グシャってされたくないし。


「この白鳥、すっごく可愛いです!素敵!!芸術品ですわ」


「食べてしまうのが勿体ないです」


「このフルーツが入ってるのもカラフルで凄く可愛い!!」


「フルーツの酸味とプラリネのアクセントが絶品ですわ」


「本当にカイザー殿が作られたのですよね。お店の商品みたいです」


「何を言う。兄上が作ったもののほうがモン・シュクレより上に決まってる!」


「私もこちらの方が好きです」


「私もですわ」


「美味しいーっ!流石はお兄様ですわ」


 倖せっ!!って表情をしてお菓子を楽しむ子供たち。可愛い、可愛い。


「この白鳥の形のお菓子とフルーツが挟まったのは初めて拝見しますがベアトリクス様のお兄様が考えられたのですか?」


「いや、アイデアをくれたのは彼女だよ。リリアは色々なお菓子に詳しくて。そこからアイデアを経て作ってみたんだ、お気に召したかい?」



 カトリーナ嬢の問い掛けにリリアを手で示せば淑やかに腰を折って見せるリリア。


 見掛けは清楚な美少女。お菓子作りとか得意そう。

 だが騙されるな、彼女は知識専門だ!


「リアンもお手伝いしてくれたのでしょう?」


 そうリアンに声を掛けるベアトリクスは流石にリリアが作成に関与していないことをよくわかっている。声を掛けられたリアンは注目に少々怯みながらも返事をする。


「はい、でも僕はほとんど何も。カイザー様がほとんどお一人で熟してしまわれたので」


「そんなことないよ。私一人では時間がかかってしまったからね」


「そういえば、何故リアンに手伝いを?」


「クリームを泡立てるのにはよく冷えていないと角が立たないんだよ。だからリアンの異能で手伝ってもらったんだ」


「「「角?」」」


 きょとんとする少年少女。


 ダイアナ嬢が指を二本頭にたてて首を傾げる。何だ、その動作あざと可愛い。

 ギャップ萌えか?!ベアトリクスもやって!


「ああ、角っていうのはね。クリームを泡立てて上に少し上げた時にへたらないでつんと立つぐらいっていう目安のことだよ」


「成程」


 まぁ、いいとこの令嬢たちが自分で料理はしないもんな。

 じゃあ何で公爵子息が菓子作りしてんだよって突っ込みは置いといて。


「では、お菓子を作るのにはリアンの手伝いが必要ですのね?」


「リアン、また頼んだ!」


 狙いを定めた瞳で見てくるベアトリクスとガーネストに戸惑いながら頷くリアン。


 また作ることは決定事項なんですね。


 可愛い子たちが喜んでくれるなら喜んで作ろうじゃないか!


 そんなこんなで我が家の自慢のシェフと公爵子息の手作り菓子という異色のコラボに舌鼓を打ちながらの和やかな茶会。


 女の子たちがきゃいきゃいしてる姿は可愛いし、妹だけの時とも俺の前ともまた少し違う男の子たちの姿を見るのも微笑ましい。


 若さが眩しい……。


 何気ない風を装いながらも学園での様子をこっそりリサーチ。

 ストーカーじゃないよ、お兄ちゃんは可愛い弟妹が大好きすぎるだけだよ。


 楽しく充実した学園生活を送れているようで何よりである。あとちょっぴり気になっていたサフィアとの仲も良好みたいだし。



 例の出店予定のお店の商品についてもしっかり意見を貰いました!


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― 新着の感想 ―
[一言] リリアさん...^^; まぁ、黙ってれば清楚な女性だろうなぁ 人は見かけによらぬものですねぇ...
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