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ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~   作者:
本編

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118/210

◇閑話◇なんで責められてんの、俺?

 

 それは、リオの性別が判明した日の夜の出来事。


 何気ない会話を装って、俺はソラへと問いかけた。


「そういえばソラは気づいてた?リオが女の子だってこと」


「……っ」


 飲み物を口に運ぼうとしたソラは、ちょっと噴き出しかけて慌てて手の甲で口を押さえた。

 ごめん、タイミング悪かったねー。


 唐突にも思えるその問いは、帰りの馬車の中から聞こうと決めていた問いだったりする。


 俺がリオに「女の子?」って確認した時、ソラは一緒じゃなかったからな。


 リオはお母さんが亡くなって、今はお兄さんと二人暮らし。お兄さんが仕事の日中は必然的にリオ一人でお留守番となる。いずれ恋人さんと結婚すれば一緒に暮らすことになるし、引っ越しもする予定もあるが、今住んでいる場所は治安もいいとは言い難いらしい。そこで女の子一人は危ないというお兄さんの心配から今だけ男の子っぽく振る舞っていたそうだ。

 本名も本当は「リオナ」で「リオ」は愛称だった。リオの方が男の子っぽいからリオで通してるんだって。


 それは別にいいのだ。

 リオが男の子だろうと女の子だろうと別にいい。


 良くないのは……実は、俺以外のみんなは普通にリオの性別気づいてたっぽいこと。


 リフ(いわ)く、「途中でなんとなく」で、ハンゾーたち曰く「男と女では身体の構造が異なりますから」ってさらっと言われた。


 気付いてたなら教えてよっ!!


 いや多分、普通に気づいてると思われてたんだろうけど……気づいてませんでしたよ!!

 しかも気付いたの、心の声っていうカンニングの結果だし。


 えっ??俺だけ鈍いのっ?!


 そう地味にショックを受けた。


 いやいや、気づかねーよ。

 リオだって気づかれたことに吃驚(びっくり)してたもん!!つまり街の人とかにも気付かれてなかったってことでしょ?!別に鈍チンなわけじゃないよ!

 気付いた面々が特殊なだけ……と言い訳しつつも、凹んだ俺は在る人物の存在を思い出した。


 ソラである。


 帰路の馬車で「帰ったら速攻確認しよう!」と心に決めた。そして実行した。


「女?マジで……?」


 はぁ?って顔をする彼に、マジでという意味を込めてこっくり頷く。


 やりぃ!これは確実に気づいてなかった反応だ。

 よし、お仲間GET!だよな、気づかないよな。普通だよな!


 非常に晴れやかな心持ちでお仲間の存在を歓迎していると、お膝の上でマオが身じろいだ。

 今日も今日とてマオの椅子。背もたれ(俺の胸)から背を離したマオがくるりとこちらを振り向く。


「……女の子?」


 むぅぅっと口を尖らせたマオたんは……。


「だめー、仲良くしないで!カイザー様のうわきものー!!」


 俺の胸をぽかすかと叩き始めた。


 いやいやいやいや、浮気者ってなにっ?!

 そもそも誰だ、そんな言葉マオに教えた奴は!


 俺をぽかすかしてたマオは、脇の下に手を入れられてリフにひょいっと回収された。


「カイザー様を殴ってはいけません」って叱ってくれてんだけどさ、リフ?出来れば行為じゃなくて発言内容を問い詰めてほしいなー。


 あんな可愛いぽかすかじゃ別に物理的ダメージはないんだけど……幼児に「うわきものー!!」って詰られるのは若干(じゃっかん)精神的ダメージなんで。


「あら、なんの騒ぎですの?」


「カイザー様がうわきものなのーー」


 賑やかな場に入ってきたベアトリクスに、マオが告げ口した。


 すぐにはマオの言葉を理解出来なかったのか、ぱちりと瞬きしたベアトリクスは……ついでなにかを悟ったかのように一瞬表情を消した。


 待って、なんで?!


 なにやら腕を組んでプンスカモードも可愛いベアトリクスは……、


「お兄様っ!また女の子を(たぶら)かしましたのっ?」


「またっってなにっ?!」


 プンプンしながら俺に詰め寄った。


 この時、ソラは腹を抱えて大爆笑していた。


 ぶん殴ってやろうかと思った。

 堪えた俺、偉い。大人ー。


「ぶっ……マジうけんだけどっ!!」


 笑い過ぎて呼吸困難なのかヒィヒィいってるソラがうぜぇ。

 呼吸止めたいなら手伝ってやろうか?とベアトリクスのお怒りを受けながらも横目で睨みつければ、どうにか笑いを収めたソラは「まぁ、でも納得した」と目尻の端の涙を拭った。


 だよね。それは思った。


 なんかリオがサスケに懐いてんなーとは思ってはいたんだ。女の子だって聞いて、友情とかじゃなくて甘酸っぱい感じのアレかぁ~って。納得。



「マオ、マオ」


 ちょいちょいと指で招くソラにマオがとっとこ近づいてく。

 まだむくれっ(つら)のマオに「いーこと教えてやるから拗ねんなよ」とほっぺをムニッと突いて、ニヤニヤしながら耳元で告げた。


「安心しろよ。リオはカイザー様狙いじゃないから。多分、サスケのこと好きだし」


「本当っ!?」


「その話、詳しくお願いしますっ!」


 マオはぱっと表情を明るくし、ベアトリクスは恋バナに食いついた。そして俺は女の子たちのお怒りから解放された。


 そもそも俺、怒られることしてないんですけど……理不尽。

 浮気もしてなきゃ、誑かしてもねぇ……。女の子だってことすら気付いてなかったっーの!



「ところでマオ。 “浮気者”なんて言葉、誰から教わったんだい?」


「アインー」


 あんっの、クソ親父っっ!!


 赤髪のイケオジを思い浮かべ、青筋を浮かべながら心の中で悪態を吐く。

 今度アインハードが訪れた時は是非とも手合わせしよう!と決めた。渾身の一撃をお見舞いしてやるぜ!



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