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第1話:裏「飯田茜という女について」

今日もまたやってしまった。

また先生のこと困らせてしまった。

恥ずかしくて、今さら顔なんてあげれない。

それでも、先生はいつでも声をかけてくれるから、構ってくれるから。

だから今日も、私は机に頭を押し付けるんだ。



授業が終わればなにも言われない。

通りすがる教師なんて睨んでおけば口も出さない。

高校生活なんて本当にくだらない。

唯一、この学校に入って正解だと思えたのは、あの先生が入ってきてくれたことだろうか。

最初は出来心で、ちょっとイタズラをしただけだった。

それは次第にエスカレートしていき、いつしか私は先生を困らせるためだけに学校に来るようになった。

出席日数が足りなくて留年した去年の二の舞にならずにすみそうだ。

なんて考えながら職員室の前を通り下駄箱に向かうと、教頭の声が扉越しに聞こえてくる。

あぁ、先生関係ないのに。

次の瞬間、私は職員室のドアを両手いっぱいに開いていた。



そこから先はあまり覚えていない。

教頭の顔をひっぱたいて生徒指導室から逃走、全力で追いかけてくる松本から飛んで来る言葉を振り払い無事逃げ切ることに成功。

気がつけば船着き場まできていて、私は久しぶりの全力疾走で熱くなった体を休ませるため、船着き場のベンチに半ば寝そべるような形で座り込む。


「あのハゲおやじも松本ゴリラも、言いたい放題言ってくれやがって……」


自分も言いたいことを言ってることを棚においていることはさて置いて、鞄もスマホも、なにもかも学校に置いてきたことに今気付く。


「家の鍵、どうすっかな……」


以前に窓から入ろうとしたら近所のガキ共に泥棒呼ばわりされたから気が引けるし。

かといって今から学校戻るのも体力的に無理な話だし。


「しょうがない。 ここで寝るか」


どうせ今日の運航は終わってるし、ここの船長が朝起こしてくれるっしょ。

あぁ、早く明日になんないかな。

早く、先生に会いたいな。

そんなことを思い、沈む夕日を横目に、私は目を閉じていく。

聞こえる波と風の音。

まだ5月の風は寒いけど、ジャージを着ていることもあり、まだ堪えきれないほどでもなかった。



そう思ってしばらく目を瞑っていたのだが、完全に夕日が沈み込んで気温が下がったこともあり、やはり耐えきれなくなった寒さに目を覚ます。


「やっぱし無理だ!! 寝れん!!!」

「ぴゃっ!?」


人の声?

こんな時間に、ってスマホないから何時かわかんないけど。


「あ、えっと、い、飯田さん?」


その声は先生の声だった。

もしかして、私を追いかけてきたのかな?


「なに?」


私はふてぶてしく先生に応える。

きっと先生は私に怖がっていつもみたいな反応を……。


「飯田さん! 女の子がこんな夜に1人で!! しかもこんなところにいちゃいけません!!!」


意外だった。

私はてっきり、いつもみたいおとなしく注意するんだと思ったけど、やっぱり先生なんだな。

怒られることはきちんと怒ってくれる。


「別に、あたしがどこにいても関係なくない?」

「関係あります! 手もこんなに冷やして! はやく来なさい!」

「いや、え? どこに?」


先生は私の手を握り、普段とは裏腹な力強さで私を引っ張っていく。

先生の手はとても温かくて、私は思わずぎゅっと握り返してしまう。


「私のお家にです!」


え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?

このように、二人の視点が行き来します

ついでに、1話ごとにちょっとずつ進みます

よろしくお願いします

読んでいただきありがとうございました!

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