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第1話:表「飯田茜という女について」

懲りもせず百合ものでごぜいます……

お久しゅうございますココアシュガーでございます

今回のお話は、ちょっぴり切なくてちょっぴり甘いような、そんなお話にしたいなと思います。

人の愛し方なんて知らなかった。

動物を愛でることは出来ても、恋愛なんていう不確かなものに心を揺さぶられるほど、私の心は柔らかくはなかったのだ。

あなたに出会うまでは。


飯田いいだあかねは不良だ。

髪は金色で根本のほうが黒色、スカートの下に学校指定のジャージ。

いつも遅刻をするし、いつでも顔に絆創膏を貼っている。

授業中も寝ていてノートも書かない。

もう何度注意したかわからない。

どうせ今日も注意したって変わらない。

それでも言わずにはいられなかった。


「飯田さん、今はまだ授業中ですよ。 起きなさい。 それに前も言ったはずですよ? 髪も身だしなみもきちんと校則に従いなさいって」


そこへ他の生徒からの声が飛んで来る。


「先生、飯田になにいったって無駄だ」

「んだ、こいづいっつもねでっから」

「こいづほっといではやぐ授業やるすぺ」


私は大きくため息をつく。


「それでは授業に戻ります。 教科書135ページを開いてください」


今日もまたやってしまった。



私が今年の春に転任した学校は、東北いなかのさらに離島いなか、全校生徒わずか30名余りの学校だった。

慣れない土地、慣れない環境、慣れない言葉遣い、そしてなによりも……。


「また飯田ですか!? どうなってるんですか! あなたのクラスでしょう!? 今日も数学の小山こやま先生、理科の阿部あべ先生から苦情がきています!! 飯田茜に!!!」


慣れない教頭からのお叱り。


「申し訳ございません!」


こればっかりはしかたがない。


「まったく、これだから都会育ちのお嬢様は」


わかっている、ここで言い返してはいけないって。

都会に生まれたのも育ったのも私が決めたわけじゃあーりーまーせーんー!

文句があるなら田舎で育てなかった私の両親に言ってください!

などと心の中で思っていると、職員室の扉が勢いよく開く。


「な、なんだ!?」


慌てて驚く教頭の前に、扉を開けた本人が歩み進めていく。


「教頭、文句あんのあたしだろ? せんせ巻き込んでんじゃねぇぞ?」

「い、飯田……!?」

「あん?」


教頭に堂々メンチきれるって、責任がない子って自由だわ~。


「自分から職員室に来るとはいい度胸だな飯田。 松本まつもと先生、生徒指導室に一緒に来ていただけませんか? 生徒指導としてキツいお叱りをお願いします」

「わかりました。 飯田、生徒指導室いくぞ」

「……ぁーい」


そして教頭、生徒指導の松本先生、飯田さんが職員室からいなくなるまで放心状態の私に声が飛び込む。


「今の飯田さん、かっこえがったなや! あんだ、大丈夫?」

「あ、阿部先生」


話しかけてくれたのは理科の阿部先生だった。

やや小太り気味で背が小さく、一部の生徒からマスコット扱いをされている人気者。


「あの教頭ハゲおやじ気に入らないものさみんなああやってあだるくせがあんだっちゃ」

「そうなんですね。 すみません、もう1ヶ月も経っているのにまだまだ知らないことだらけで」

「いやいや、むしろ今まで来た先生の中で一番立派だっちゃ」

「あ、ありがとうございます」


そんな会話をしていると、急に松本先生の怒鳴り声が聞こえてくる。


「までやっこの!!! いいだぁ!!!」


職員室の窓から校庭を見ると、そこには全力疾走する飯田さんと、それを全力で追いかける松本先生の姿があった。

逃げるJK追いかける成人男性。

うん、間違いなく都会なら通報されているな。


「あれはだめだ。 もう手に負えん」


声の方を見ると、教頭がほっぺに紅葉をつけてたっていた。


「教頭先生……、ほっぺ……」


阿部先生が恐る恐る聞くと教頭は。


「飯田だ……。 飯田茜にやられたんだ……。 もう堪忍ならん! ええい電話だ電話!! 親御さんに電話しろ!!!」

「そ、それがですね、飯田さんのお宅、いくら電話しても一切連絡がつかないんです」

「ならば、担任であるあなたが、あの小娘、飯田茜の自宅訪問をしてきてください!!」


え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?


このお話では1話:表サブタイトル、1話:裏サブタイトルの2話分で1話になります。

先生視点の表と、飯田視点の裏ということです。

なのでお話が進むにつれて表では先生の考えが、裏では飯田の考えがわかります。

先生のほうを読んでから飯田のほうを読むと伏線になっていたお話などがわかるようになると思います!

長くなりやした!すいやせん!

読んでいただきありがとうございました!

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