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黄昏ラピス  作者: 村月 亜唯
14/36

※※

優希は部屋に入ると、すぐ孝一達にLINEを送信した。

『優希:お前ら里村って言う女の人、知り合いだったり、学校が一緒だったとかする?』

便利な時代だ。今までなら1人ずつにメールをしないといけなかったのに、こうしてグループ登録さえしていれば、1つメッセージするだけで話は終わる。

にしてもだ、万が一、こいつらと知り合いだったとして、紫の知り合いなら、先にここに行けと言うはずだ。

太ももの傷口が痛痒く疼く。

紫は「知っていた」と言った。

まさか俺が来る未来を見たとでも?でも、俺の未来を知って何になる。知り合ったのは昨日だ。今まで会った事も同じ学校だった事もない。


―なんでだ…―

スマートフォンがら"LINE♩"と音が鳴る。

『司:そんな名前の子知らないな。孝一も颯太も、横で知らないって言ってるけど、その子がどうかしたのか?』

「優希:そっか。今、3人で居るの?」

『司:スノボの話をしてたんだ。もう、解散するけど、お前は用事があるって孝一が言ってたから。用事終わったのか?』

「優希:すんだよ。そっか、知らないならいいんだ」

予想はしていた。けれど、知り合いならよかったとも思った。


紫が何かを知っているなら、知りたい。

紫が接触してきたことにも、何か意味があるんだろうか。

でも、来る事を紫が知っているなんて、普通に考えたらない事だ。何より、未来はわからないと言ったのは紫だ。紫が未来に何か起きる事を知っているとして、見ず知らずの俺にそれを伝える事に意味はあるのか?

知り合いならまだしも、昨日まで知らなかった間柄だ。

―クソっ、考えたら考えるだけ頭がおかしくなる―

うずくまって頭を抱え、痛痒かった傷を思わず掻きむしる。床に放り投げたスマートフォンが"LINE♩"と音を鳴らす。

『孝一:優希、今日はどうだった?』

孝一のメッセージが動揺していた心を少し安堵させた。

心配をかけて申し訳ないが、心配をしてくれる誰かがいる。

ホッとした。自分は1人じゃないんだ。

そう、だから聞こう。悩むのはその後でいい。


※※


紫はアロマキャンドルに火を灯すと、次々にキャンドルを3つ床に置いた。

ラベンダーの香りと、小さな炎が紫を取り巻く。

左手にスマートフォンを持ち、手の隙間からスマートフォンに付けている金色の小さな鈴を垂らし、小さく鈴を揺らし鳴らす。

"チリン、チリン"鳴る鈴から目を離さず、ただ鈴を見つめた。


部屋に入ってから着替えもせず椅子に腰掛け、優希からの連絡を待つ。

―連絡はもう少ししたら来る―

それは確信だ。

時間があったら…そう思いはするが、時間はあまりない。

スノーボードに出発するまでの日数は、残り5日。

―選択―

ゆらゆら揺れるキャンドルの炎に照らされた鈴は、赤く光り輝く。音色だけが部屋に響きわたる。

手元のスマートフォン液晶が明るくライトがつくと、紫はLINEを開いた。

『優希:今着いたよ』優希からのメッセージだ。続けてメッセージが入る。

『優希:何故、ショップに来る事を知っていたのか、教えて欲しい。』


―知らない方が幸せなのかもしれない。知らなくてもいい事はある―

キャンドルの炎は、白い紫の頬をほのかに赤く染める。


「紫:明日、夜に会いましょう。そしてスノーボードに私も入れて、3人行けるようにして欲しい」

『優希:わかった。ゆかりちゃんをいれて3人一緒に行くのは友達に言っておく』

明日連絡をすると優希に送信し、優希との連絡は終えると、紫は続けて長野と奥田に連絡をした。


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