キャラメイク 外見編
一日に2話投稿…
キャラメイクと種族説明回
時間は少し遡る。私が施設に来てから数日、キャラメイクをする日である。
何で事前にキャラメイクをするのかって、キャラメイクに時間がかかり出遅れる人がでないように、事前に済ませようという訳だ。
なおゲームサービスが開始されてからも多少なら変更可能である。課金要素ではないからそこも安心。
さてさて、そんな訳で私…上月栞菜は自室となる小さな個室で説明を受けていた。
「…それでは上月さん。ここまで何が疑問に思う事や、わからなかった事はございますか?」
こう私に話すのは担当の職員である桐山さんだ。白衣と眼鏡が似合うお姉さんだよ。美人さんだ。
「んーっ特にはないです。大丈夫です。」
「そうですか…。では早速始めましょう。待ちきれないって顔してますしね。」
えぇ…私そんな顔してたんだ。楽しみなのは事実だけどまさか顔にまで出ちゃってるとは…。お恥ずかしや。
気を取り直して私はベッドに入り横になる。そしてVR機器を装着して待機、あとは桐山さんが何かの確認を終えてキャラメイク用の空間にフルダイブとなる。
「チェック完了しました。それでは上月さん、楽しんで下さい。」
桐山さんがそう言うとVRが起動し始め、私の意識はVRの世界へと移動した。
短い浮遊感を経た後、足が地面に着く感覚がした。それを合図に私は閉じていた目を開ける。
そこは目の前が鏡となっている白い部屋だった。そんなに広くない部屋だけど、私以外に人はいないので充分である。
正面の鏡に映る私の姿は現実の私そのもの、155cmくらいの身長、身長に対して平均的程度の小柄な体型。特別美人という訳でもないけど特段不細工ではないと信じてる顔。日本人らしい黒髪を肩ぐらいまでのセミロングにしている。
そんな見慣れた私の姿。これをこれから異世界感溢れるアバターへと変更するのだ。わくわくするぞ。
私が一人で意気込んでると、目の前に薄い水色をしたボードが現れる。それと同時に、
「これより【FConnect Online】内で使用するアバター作成を行います。」
というアナウンスも流れる。
「まず初めに、あなたの種族及び外見を設定します。先程ご用意致しましたボードの方をご覧下さい。」
続けてそうアナウンスされたので、私は素直にボードを見てみる。
そこには現在の私の外見プレビューを右側に、各設定項目が左側に配置してある画面があった。各項目のヘルプもちゃんとあるみたいだね。これはわかりやすい。
「必須と記載してある項目を設定した後、右下の完了ボタンをタッチして下さい。なお時間に制限はございませんので、ごゆっくりお選び下さい。」
アナウンスはそれで終わってしまった。
随分淡泊なんだなーって思いつつ、私は設定画面と向き合う。
外見の設定項目は主に、
・種族
・身長
・体型
・顔
・髪型
・髪色
となっている。
種族は人間、エルフ、ドワーフ、獣人、魔族の5種類。正にファンタジーな感じのラインナップだ。なおえふこねには課金ガチャとかの機能はないため、どう足掻いてもこの5種類の種族以外にはなれない。充分だと思うんだけどね。
さて種族の説明だ。一応私はテスト版の情報を見ているので大体の特徴は覚えた。なおテスト版の攻略情報は公式に懇切丁寧に纏められているので一読の価値あり。それに併せてテスト版からの修正要素も記載されてるからなおわかりやすい。素晴らしや…って話しがずれてしまった。
えーっと、まず『人間』だけどこれはもう平均的な能力って感じだ。強いて言えば物理系のステータスであるSTRとVITが僅かに高い。かと言ってそれ以外が低いわけでもなく、何にでもなれるステータスだ。
あとは外見や感覚的な面でも現実と相違ないので扱いやすい。正にVR初心者から上級者まで素直に扱える種族って所。
次に『エルフ』。ファンタジーの王道。弓や魔法といった技術に長けているけれど打たれ弱い。
えふこねでも例によってその通りで、STRとVIT、HPが低い代わりに魔法関係のステータスであるINTとMND、MPが高い。また最初の職選択で弓を扱うものにするとINTではなく器用さのDEXと素早さとなるSPDが伸びやすくなる変わり種もあったりする。
外見は所謂エルフ耳と美形になる。これだけで人気がありそうな種族である。なお感覚は然程変わることはないらしい。
お次は『ドワーフ』。色んなゲームで生産といったらこの種族の地位を確立してきたこの種族。勿論えふこねはご期待を裏切りません。生産特化種族となっております。
ステータスは物理系とHPに、特に高いDEXとなっている。物理系ステータスの通り、生産以外にも近接戦闘職としても優秀である。その代償としてか、全種族中最低のSPDとなり、魔法系も人間より低い。
外見は身長面で遊べるようで、ずんぐりとしたこれぞドワーフといったものから普通の人間サイズ、更には高身長にもと好き勝手やれる。その分操作感覚はだいぶ異なってしまうらしい。
次は『獣人』。獣耳と尻尾を我が物とする中々に需要が高い種族である。何の需要かはお任せ。
ステータスは物理特化の一言。HP、STR、VIT、SPDが軒並み高水準。DEXも悪くなく近接火力からタンクまでどれでもこなすことができる。勿論そんな物理特化故に、魔法系ステータスは全種族中最低である。魔法職やるなら別の種族で作ったほうが無難と言える。
それでもケモミミシッポには勝てなかったよ…という人がそこそこ出そうなくらいには魅力的。
外見は獣耳と尻尾以外は人間と同じ感じだけど、感覚としては本来無い器官があるからかなり慣れが必要らしい。
最後に『魔族』。他ゲームだと悪い種族みたいな感じになりがちだけど、えふこねではそんなことは無かった。仲良しらしいよ。
ステータスはHP、MPに特化している珍しい構成である。人間より全体的にステータスの伸びが悪い感じ。本来HPMPは特化型にするとどちらかが犠牲になりやすいが、魔族は種族補正で補えるので近接職なのに高MPでスキル連発、魔法職なのに高HPで耐久があるといった風にできる。まあ完全特化型のエルフ獣人に比べると火力とかは少し控えめになる。安定感がある感じかな。
外見は人肌から青肌まで需要に併せてどうぞ。角もあるよ。感覚は人間と大差ないので割りと扱いやすいらしい。
種族についてはこれくらいかな。テスト版の情報だとある程度なら割り振り分のステータスや装備で補えるらしいから見た目とかで選んでもいいらしい。うむうむそういうのは好きだ。
と言う訳で私は予め方向性が決まっていたので迷う事なく『人間』を選択する。選択した瞬間プレビューが更新されたが、人間なので何も変化はない。元の私のままだ。
さてお次は身長と体型だけど…これは別段弄る必要はないかな。変に弄ると現実との感覚の違いが出ちゃうしね。ん、待てよ胸くらい少し盛ってもいいのか…?いやでもなんか負けた気に…うむむむむ。
…結局微妙にだけど盛りました。誘惑には勝てなかったよ。
んで顔かぁ…。美人さんにしたい気持ちはあるんだけど、如何せん自信がない。詳細な設定項目が多すぎて作れる気がしないんだよね。
どうせ時間はあるしとその後しばらく格闘してたんだけど、途中で訳わからなくなって断念した。ここが気になるとその部位を弄ったら今度はこっちが変になった気がすると止まらなくなっちゃった。難しすぎない?
ま、まあ別に私は元々普通な顔だと思うし?きっと大丈夫さ。おかしくない。くそう。
気を取り直しまして、最後に髪型と髪色だね。これはもう私の中では決まっているのでちゃちゃっとやってしまおう。
私がやろうとしているのはヒーラー…つまりは大抵のゲームで聖職者とか清純な感じのイメージがある。一部違う感じのもいるけど。
えーっと髪型は…元が肩くらいまでだけど少し伸ばして背中辺りまでのふんわりとしたロングに。髪色は薄めの金髪にと…。
設定するとプレビューが更新され、さっきまでとはまるで雰囲気が違う私が映った。わぁお誰これ。
うーん、でもこうなると黒目はやはり目立つなあ。定番の碧眼とかにしちゃおうかな!
一気に外見の印象が変わって少しテンションが上がった私は、顔の設定項目内にある瞳の色を変更した。
碧眼…正に王道だよね。それ故やはり合う…いいよね。もっと青いのも試してみようかな。
と、また色々と試してみたんだけど、最終的に碧眼に戻ってきた。やはり定番なものはかわいいと思うのだよ。
アバターの外見設定を終え、中々に満足した私は右下にある完了ボタンをタッチ。
[アバターの設定を完了しますか? はい いいえ]
完了しますのではいを選択。
[外見情報を反映します。しばらくお待ち下さい。]
そう表示されると、私の体が溶けるように消えた。え?いきなりこんな事されるとビビっちゃうよ。
突然の事に驚いていたら、またすぐに体が作られた。私が設定した通りに。
「うわ!凄い!ほんとに設定した通りだよ。全然違和感とかないよ。」
鏡に映っている金髪碧眼の私を見て思わず歓喜の声が出てしまった。
いやほんと凄いんだよこれ。今までのゲームだとアバター自体は確かに再現されてたけど、どうしてもゲームのアバターって感じなんだよ。動きも少し違和感があったというかね。
それが全くない。思ったとおりに体が動く。ラグを感じるとかもないし、動きに併せて髪が自然に動くのにも感動。
…おっと失礼。取り乱してしまったね。えーっと、次は何かな…と。
[アバターに問題がなければ職業、スキル選択に進みます。アバターに関しては最後にもう一度修正可能です。]
ふむ、次で最初の方向性を決めてくんだね。まあ私は既に決めてるんだけど。
それに最後のは戦闘とかの動きをしてみたら違和感あったとかいう人向けかな。こればっかりは私もあるかもしれないから助かるね。
よし、それじゃ先に進もうか。と私はボードの次へをタッチした。
書き忘れてましたけど、主人公は19歳。女子大生というなの半ニートです。
VR系ゲームにも経験はありますが、どれもエンジョイ勢でした。
次はキャラメイク(職業選択)を予定。