大地に立つ
第三章 大地
当初は空間上で衝突を繰り返していたストレイト族とサークル族であった。
ストレイトは直進しかできないが、サークルは円を描くため、その領域に留まり、数の上では優位であった。
衝突のたびに発生するエネルギー片が、ホールの吸引力によって引き寄せられ空間の中で塊を成していた。
ストレイトとサークルの性質も持ったその塊は球体を成し、大きな円を描いて少しずつ動いていた。
ストレイトは自身のエネルギーを衝突前に発し、サークルを砕くことを覚えた。
最初は先頭を尖らせて衝突するものであったが、やがて槍の形へと変わり、その後、弓を射るようになった。
自分のエネルギーが減ってしまうが、サークルの軌道を変えることもあり、何もせずに衝突するよりは被害を抑えることができた。
一方、サークルは、丸い盾と斧でストレイトを防ぐようになった。
盾で弓を防ぎ、衝突の時は、ストレイトの槍を斧でへし折るのであった。
衝突の繰り返しでエネルギー量の減ったものは、球体の塊に引き寄せられ飛ぶことが出来なくなった。
塊の表面は岩石であり、その内部ではエネルギー同士が反応し高熱となっていた。
この物語ではこの塊が大地である。
大地に落ちたストレイトは地面を這いずり、サークルは自身を球体にして転がっていたが、人型に変貌したあとは二本の足で歩くようになった。
どれくらいの仲間がまだ宙を飛んでいるかはわからなかった。
また同じような大地が空間上にいくつ存在するのかもわからなかった。
人型になったストレイトの武具は、弓と槍である。そして細長い盾を持っていた。
同じくサークルの武具は斧と球である。そして丸い盾をもっていた。
遠距離戦ではストレイトは弓で攻撃を行う。
エネルギー消費量が多いため、沢山の弓を発することはできなかった。
サークルは遠距離攻撃の方法をもっていない。
丸い盾で耐えるしかなかった。
近距離では、サークルも弾を投げて応戦した。
それをストレイトは細長い盾で防いだ。
白兵戦では槍と斧である。
斧をもつサークルの方が有利であった。
武具を操る両手、移動方向を変える両足、狙いを定める眼。
人型へと進化したものは大地では強かった。
大地にエネルギーが充満しているため、時間をかければ補充に困らなかった。
戦いにより、細かく砕けた場合は、大地と融合し、個として復活することはできなかった。