聖夜 番外編③ 21日
23・24日の話はまた今度にします!
21日の今日。エリーことデアはラフな姿でグリアサの2つ目の拠点地である王都支部のギルドへやって来た
誰にも知らせずにただ机に『遠出してきます』とだけ紙に書いて置いてきた。本来ならこっそりとついてくる護衛も今日だけは屋敷に置いてけぼり
さぁ~てと19日の忘年会に続き今日も忘年会………そして23日からパーティー尽くし。僕の休息は何時になるのだか
エリーがギルドの扉を開けた瞬間魔法が発動した
……幻影隔離魔法!?ってことはエリーは直ぐ様扉から距離を取り襲撃に備えた
「デアちゃ~ん遅かったね~~」
エリーは出てきた声の主にペコリと頭を下げ
「こちらも中々忙しいもので。ですが時間は十分間に合っているとも思いますが?」
「ええ!?俺の可愛いデアちゃんがハクハの様に俺に冷たくなってる!?」
ハクハことノア第2王子。僕の友達であり同級生でもあり同士でもあり、このグリアサのパートナー兼先輩でもある
だから少し似てしまうのは仕方ないことだと思う
「それよりも、早く中へ入ってこの魔法を長時間発動させると魔法に敏感な人が来てしまうかね」
エリーは『失礼します』と一言かけてからアミントことアミント・ビクター このグリアサのトップであり男遊郭と女遊郭の経営者でもある。彼について中に入るとすでに大皿に盛り付けられた料理とお酒で出来上がった人達がドンチャン騒ぎを起こしていた
「…………」
何だろう?一昨日も似たような光景を見た気がする。唯一違うのはまだまともな料理が出てるぐらいかな?
エリーは行動を止め彼らの中に入らずアミントの後ろを通り厨房へ向かった
「デアか久しぶりだな!!食べれないものとかあったか?」
厨房にはがたいのいい大柄の男性が中華鍋を振るっていた
後ろからついてきていたアミントが
『苦手なものは俺が食べてあげるから!!』
とか言ってるが完璧スルーし
「お久しぶりですガディアさん。この料理を作ってもらえますか?」
ガディアさんは、グリアサの料理を担当する人で昔は傭兵をやってたらしい。そんな彼が任務に赴くことはほぼ全くなく、基本は厨房にいる。作って欲しいレシピを渡せばなんだって作れる見かけによらず素晴らしい人だ
「これは!?巷で有名な『あんかけ』って言うやつのレシピだな!!どうやって入手してきたんだ!!あの店の料理長しか作り方が知らされてねぇんだぞ!?」
エリーは苦笑いを浮かべながら
「彼と僕はちょっとした知り合いでね、働いているところの宴会に参加するからってことでレシピを教えてもらったんだ」
と適当に嘘と本当のことを混ぜ合わせガディアの後ろの厨房台に卵・グラニュー糖・サラダ油・水・薄力粉・ベーキングパウダーを計量すると巷では高級焼き菓子と言われている物を作り始めた
ガディアはいつもの如くデアがお菓子を作り始めたのを見ながら
「今日は何を作るんだ?」
エリーはなれた手つきで、ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れすり混ぜながら
「うん?これは、───「王公貴族や大商会の裕福層しか買えない高級焼き菓子のシフォンケーキと言うものですね?」」
エリーの言葉に被せるように言った彼は、疲れきった顔をしていた
「「高級焼き菓子!?」」
驚く二人を放置し
「お疲れの様ですが何かあったんですか?」
彼は、エリーの耳元で
「ここの複合魔法が発動したお陰で少々面倒後とがあったのですよ」
「それは、ご迷惑をお掛け致しました」
と小声で謝罪しながら手元は忙しく水と油を混ぜ合わせていた
「ハクハちゃん?食べたことがあるのか」
「そうですね。貴方から振り分けられる仕事上、頂いたことがあります」
「ズル!?」
「それで!!ハクハどんな食感だった??」
「そうですね。とても柔らかくとろけるぐらいに甘い焼き菓子ですね」
うん?これって単体でそんなに甘かったっけ?蜂蜜でもつけて食べたのかな?ってことはクリームもつけないとね
メレンゲにした卵白と作った生地に合わせ凹凸になっている丸い入れ物に流し込み魔石で調節するオーブンにいれだいたい170℃ぐらいで焼いているあいだ
ハクハとガディア・アミントは何やらこそこそと話し合いを始めていたが、エリーはいつもの如く気にすることなく次の作業に入った。
生クリームに砂糖を入れ氷魔法で容器の下を冷やしながら生クリームをたてていく。クリームが泡立て器について軽く持ち上がる程度になると一度冷蔵庫に入れた。シフォンケーキが出来上がるまでエリーは転げた酒瓶を拾い集め一ヶ所に置いた。寝ている人は端によせ布団を被せてからエリーも料理を食べ始めた
うん!さすがガディアさんの料理。冷えないように保温魔法もかけてあるしとっても美味しいなぁ~
エリーはワインを取ろうとしたが思い直し厨房へ戻り未だに話し合いをしている三人を魔法で浮かし厨房から放り出す
そろそろできる頃かな
エリーはオーブンか取り出したシフォンケーキを逆さまに向けあら熱が無くなるまで冷した。今度は入れ物から取り出すと全て6等分に切り分け冷蔵庫から取り出したてなおしたクリームを適当に絞り、宴会の場所まで魔法で浮かせながら運んだ
屍状態だった人達が何故か椅子にきちんと座り待っていた
「……何かあったのですか?」
聞くが全員首を横に振るだけでなにも答えない
まぁ起きたんだしいっか。これがゴミに成らないようになったんだし
エリーは一人一皿渡していくと感極まった様に泣き出す人や一口食べて固まっている人。兄弟や家族に持って帰りたいと言って一口しか食べない人が続出した
エリーは幼い子供見るように慈愛の瞳で見ながら
「仕方ありませんね。皆さんの持ち帰りの分は別に作っておきますから、お皿の分はちゃんと食べてくださいね?あと日持ちは余りしないので2・3日中には食べてください」
静まり返る宴会場を出て厨房へ向かおうとすると後ろから歓声が沸き起こった
ふふふ。相変わらず男達は子供のように喜び叫ぶんだね
エリーは創造魔法で紙でできている同じ形の容器を60個用意すると魔法を使いながら同時進行で生地を作りメレンゲを合わせオーブンに次々に入れていく
焼き上がるまではガディアさんが作った料理を次々と堪能し、出来上がればあら熱を取り袋にいれて机に持っていった
もうすでに外は暗くなり始めていた喜び泣き叫ぶ彼らに特別に作ったジャムを一瓶ずつ持ち帰るように言って、シフォンケーキにつけて食べても美味しい事を伝えた
騒ぎ回る彼らを端にエリーはこっそり魔法で姿を消し
「お先に失礼します」
と言って夜空の星が輝く町を歩きながら家に帰って行った
もちろん家に帰ると小言を家族全員から言われる事になったのはまた別の話し
今日は、連続投稿です!!




