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暴露

エリーはいつもになくボーっとしながら授業を全て受けきり王城にある魔術騎士第1訓練所へ着替えて行くと


「エリック!今日の訓練は課題式だってよ。その課題が終われば上がって良いらしいぜ!早く終わらせて鍛冶屋に行こうぜ」


課題式にするなんて、珍しいな。昨日の今日だから余計に勘ぐってしまいそうだよ。はぁ~こんな日に限って、グリアサの仕事が本格的に始まるしあの狸からは催促状が届くわなんの嫌がらせだよ


「そうだね。早く終わらせて案内してもらわないとね」


「おう!」


「エリック。来ていたのか」


「はっ、バタリオン団長。お伺いが遅れてしまい申し訳ございません」


「いや、それは構わない。アゼルから聞いたと思うが今日は課題式だ。課題は、各々で違う。エリックは、第一騎士団の練習メニューと魔法師団の練習メニュー全てをこなせたら今日は終了だ」


「……はっ」


「健闘を祈る」


去っていく団長の背を見ながらぽつりと呟いた


「うわ~絶対昨夜ノアに言ったことで本腰入れられてるよ」


「お前、団長を怒らせること何かしたのか?」


エリーはため息をつきながら


「いいや、団長に喧嘩を売ったことはないよ」


アゼルは考えるそぶりをしながら


「団長のみなら魔法師団の訓練は入ってこないはずそれなら閣下に喧嘩を売ったのか?」


エリー昨夜一睡もなしにストレスの山を抱えているため、何かのスイッチが入ったのか愚痴り始めた


「……僕は誰にも喧嘩売ったつもりはないよ。ただ昨夜訪ねてきた人がいてね、『その条件をのむならそっちの手のひらを見せろ』みたいな事を言ったのさ はぁ~」


「と言うことは、その人物の雇主が関係してくるのか?」


お互いに課題をこなしながら


「雇い主って言うかその親の方だね」


エリーは、50kgの重りを両手両足に取り付けランニングを始めた。アゼルも順番を変え両足に40kgを着けエリーと共に走り出した


「魔法師団や第一騎士団の団長に命令が出来る人物か……」


アゼルは、おどけるように


「まさか!宰相閣下だったりなぁ~」


父さんなら回りくどい方法よりももっと手っ取り早い方法をとるだろうね


「宰相閣下ではないよ」


「じゃぁ誰なんだ?」


エリーは、重りを全てはずしもとの場所へ戻すと裸馬で矛を抱えたまま走り出した。彼は馬上で剣に魔法を纏わせながら駆けてきた。いつも通りに山の天辺にある一本杉を回り同じ場所まで戻ってきた


「おい、エリック 一体誰なんだ?」


エリーは馬を戻すと素振り100回と腕立て・腹筋・背筋を各100回行いながら


「誰もが知っている人物だよ」


「はあ?誰もが知っているって…………まさか!?総司令官殿か」


「王弟殿下がそんな事するはずないだろう?」


「それは………そうだよな……」


エリーは次の課題に移るべくアゼルを置いて魔法師団訓練所に向かった


◆◆◆◆◆


「失礼します。バタリオン団長からこちらで、魔法師団の練習メニューを行うように言われ参りました。第一団体魔術騎士見習のエリックと申します。よろしくお願いいたします」


訓練所の扉を開けるなり挨拶をするとテノールの優しげな声が返ってきた


「あぁ~貴女が彼から言われていた見習いですね。私は、第一魔法騎士団団長を務めているリンデルと申します。メニュー表はそこにかかっているので行ってください」


「はっ」


エリーは早速書かれてある長い呪文をスラスラと読み上げ、次にその魔法を発動させた。彼女の回りには色とりどりのバラが咲き乱れ温かな風が吹いた。それは、まるで草原にいるように感じた


「「「「「…………………」」」」」


辺りがあまりにも静かすぎるので、見渡せば誰もがエリーの方を向き呆然としていた


僕何かしたかな?まさか間違えたのかな?


彼女の動揺は伝わらず


「……君、エリックとか言ってたね」


「はい」


話しかけてきたのは、リンデル魔法騎士団団長だった


「君は、初めてこの魔法を使ったんだよね?」


「はい。それまでは、短い呪文しかし唱えていませんでした」


「初めてだと言うのに一・部・空・間・移・動・を成功させたと言うのか」


「この魔法からで合っていたのですね」


「それすら分からずに成功させるなんて、君は本当に平民?いや貴・族・で・も・不・可・能・だね。では、君は一体何者なんだい?」


エリーは有無を言わさない迫力で


「た・だ・の・第一団体魔術騎士見習のエリック です」


と言いきり第一魔法騎士団団長リンデルからは、課題終了だと告げられた


魔法騎士団の訓練が早めに終わり、リンデルがバタリオンに苦情を言いに言ったことは誰も知らない


◇◇◇◇◇


エリックは予想外の早さで課題が終わりアゼルがいるであろう訓練室に戻ると、1つの大きな人混みが出来ていた


そのなかにアゼルがいることに気づき


「お~い、アゼルそっちの課題は終わったのかい?」


と声をかけると全員がこちらに振り返りまるで中央を開けるかのように端へより騎士のように膝をついた


えっ!????いったい何事なんだい?


中央を再び見ると


「……………宰相殿??それにリアム王子とノア王子???」


エリーは無意識に呟いたが、どうにか騎士としての意識が残り失態をおかさなかった。すぐに膝をつき頭を垂れた


「コツコツ」


と近づいてくる足音に冷つきながら身動きさえも一切せず、まるで裁かれるのを待っているようだった


「面を上げよう」


「はっ」


父さんの横に並ぶリアムとノアに一瞥を送るとリアムは、ニヤリと笑いノアは話術で『ごめん』と謝った


「マグリット・アゼル 並びに ジェラニアム・ダニエル 、ブリュ―ム・マクシム、マルグリット・ベン、ユイセント・エリ―いまではエリックだったな。その者達が見習いから魔術騎士に昇格した事を知らせにきた。これからも鍛練に励むが良い。話は以上だ」


「はっ!これからも誠心誠意勤めさせてもらいます」


だからあんなに人盛りが出来ていたんだね。それにしても、これは陛下が本格的に動き出したと思っても良いようだね。あ~あ 自宅にしばらく帰らないでいようかな?帰ったら根掘り葉掘りと聞かれるのが目に見えているからね。それよりも先に彼らへの謝罪なりしなくちゃいけないだろうね ……はぁ~


「エリック!!宰相様が仰っていたことはどう言うことだ!!」


ほら、一番面倒なのが来たよ


エリーは今だ硬直している彼らを放置し一番騒がしいやつに向き直り


「やあ!マクシム、そんなに慌ててどうしたんだい?」


マクシムの背後にも同期生や先輩方が続々と集まってきてた


一体父さんは、彼らに何て言ったんだろうね?


「お前!!また嘘をついてたのか!??」


嘘?僕は初めから本名を名乗ったけど??


「どう言うことだい?僕は初めから本名を皆の前で言ったはずだよ。一体僕が何を嘘ついたと言うんだい?」


マクシムは、鬼の形相で彼女のに近づくと襟首を掴み上げ


「宰相様が、お前は学園に通い王子お2方の護衛をこなし陛下の命令で俺らの同期に入ったそうだな!?」


父さん………また要らないことを言ってはいけない人に言ったね。これが断罪される人の気持ちなんだね


「……この話は皆が揃ってからにしようか。同じ話を繰り返すつもりも、間違った噂を充満させるつもりは無いからね。もう暫くしたらバタリオン団長と副団長・ダニエルにベンも来るだろうしね」


エリーは、蔑まれる事を承知で話せるところだけ話すつもりだった。信憑性にかけると彼が喚き始めるだろうから、着替えるために背を向けると


「どこへ行くつもりだ!!」


「シャワーを浴びていつもの服装に着替えてくるだけさ。そんなに心配ならこの剣を置いていくよ。その剣は、友人から貰った大切なものだからね」


エリーは懐から短剣を取り出しマクシムに渡した。その短剣の柄には桜が浮き彫りで、掘られていた


「それはね、今・は・会・え・な・い・友・人・と別れの際に交換したものなんだよ」


「………」


静まり返る訓練所を後にしシャワーを浴び、陛下から直々に承った近衛の服装に着替え訓練所へ戻った


◆◆◆◆◆


そこには、全員揃っておりバタリオン団長も入隊以来顔も見せてないジェニファー副団長も集まっていた。彼らも近衛隊の正装をしていた


エリーは、彼らの鋭い視線や驚きなどの様々な視線を浴びながら団長・副団長の前にある段に立ち


「まずは、訳はどうであれ皆さんを結局は騙していた形になってしまい申し訳ございません。私の名は、入隊当初に申し上げた通りユイセント・エリ―と申します。

父親は、ユイセント・カール と申しご存じの方が多いと思いますが国王陛下の側近兼宰相をしております。」


「エリッ──いえ、ユイセント公爵令嬢様。何故、近衛兵に入隊されたのですか?」


ダニエルの質問に悲しく思いながら


「その話をするなら、先にお兄様のお話をしておくべきですね。兄ユイセント・ランスは、魔法騎士団総官長を勤めておりリアム王子の側近でもあります。そんな兄に憧れて近衛兵になろうと思い鍛練に励みました。私は、ある時思ったのです。魔・法・は・魔・術・に・劣・る・ところもありますが、その逆もあるのではないかと──そして、私は魔術騎士見習いに入り込めたのです。」


「エリー嬢。あなた様は、すでに本当の近衛隊に入っておられたのですね」


ベンの問に眉を下げ


「えぇ。魔法騎士団総官長の補佐官についています」


「ユイセント・エリー嬢は、本来ならこの様な真似をしなくても良い高貴族であるはずだった。しかし陛下は、エリー嬢の魔力量が歴代王位最高量を上回っていた事に気づき敵国や同盟国に渡さぬように男・装・をさせ始めたのだ」


静まり返った訓練所に話題に上がっていた人物が入ってきた


「エリー嬢、これで君も自由に………?」


「「「「「…………」」」」」


はぁ~相変わらずタイミングの悪い事だね。せっかく嘘と本当の事を上手く混ぜて、信じ混ましたと言うのにこれで台無しだよ


「………来ては、不味かったか?」


エリーはジト目で彼を見るなり皆が居ることをすっかりと忘れたように彼に詰め寄り


「はぁ~どこからどうしたら『警・戒・心・が・意・外・に・強・く・信用した者しか側におかない』なんて噂が出るのでかしら!ジェネロ陛下おじ様。お兄様やお父様の扱いが難しいからと言って私を使うのはそろそろ止めて貰えませんか!そ・れ・に!リアムとノアは、私の再従兄弟で幼なじみだからと言ってお目付け役を押し付けるのも程々にしてください!!無・駄・な・脅・し・を使うのなら最後まで通してください!」


「…………あの、エリー嬢」


「なんですか?バタリオン殿」


「ここには、皆がいるのですが………」


エリーはハッと思いだし詰め寄り過ぎて正座をしている陛下に気づき、後ろから呆然とした視線が向けられていることにいまさら気がついた


「お父様・お兄様・リアム・ノア 後はよろしくね」


エリーは素早くマクシムから短剣を取り返し影で隠れていた4人に陛下とこの場の後処理をまかせた。


更衣室で黒装束に身に纏うと夜の町に姿を消した


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