この時期に転校生!?
あの出来事から5日経ち日曜日になった。エリーはいつもと変わらず、早朝から魔術騎士としての訓練をし夕方になると切り上げた。1階奥に存在する個室のシャワールームで汗を流し、着替えその部屋を出ようとしたとに遠くから足音が聞こえてきた。
………はぁ。この頃は何事もなく平穏に過ごせていたのに今日で終わりそうな気がするよ。
下ろしていた髪の毛を素早くポニーテールに結び上げ、武器が隠された魔術騎士の制服を羽織った。
扉が開いたと同時に
「エリー様!?こちらに居られましたか!宰相殿と陛下が謁見室でお待ちです。」
表れた人物を見てエリーは、遠い目になった。
……あぁ~ん。ノックぐらいしてくれるかな?彼がするわけないか。平穏な時間は終了って事なんだろうね。はぁ~。
「分かったけど、用があるのは魔術騎士としての僕かな?それともエリーとしての私かしら?」
相変わらず意味が理解できなかったのか目の前の人物は惚けていた
はぁ。彼にこんな聞き方しても無駄だなのを忘れていたよ。
「宰相殿と陛下は、ドレスで来るように言ったのかな?」
「いいえ!宰相殿が、『そろそろエリーは、シャワーを浴びて帰るだろうから連れてこい』と言われたのです。」
エリーは、彼と謁見室に向い歩きながら
………やっぱり平穏な時間は続かなかったね。まぁ、兄さんが肩替りしてくれたお陰でここまで持ったのかな。
第1訓練所と謁見室がある左宮殿は、目とはなの先に有るため直ぐについた。
「ルイア。貴方は、先に帰りなさい。」
「しかしエリー様!!」
「ここから先は、僕の仕事だよ。それに宰相殿に言われたんだろう?『今日は、もう帰れ』とね。」
「………お先に失礼します。」
彼の足音が遠ざかるのを聞きながら人通りのない廊下を歩き、第5謁見室。別名影の部屋と呼ばれている所へ入っていった。
その部屋は、物が少く猫足のテーブルにロングソファ一人用の椅子3つ。奥にキッチンと棚があるだけの部屋。その部屋に真っ黒の服装をした2人。そのうち一人は後ろに立っている。陛下が座り、その後ろに宰相が立っていた。
とても珍しい光景に見えるけど、違和感しかないな。
エリーは、陛下の前に行くと
片膝と左手を下につき 右手を胸にあて頭を垂れた。
「お待たせ致しました。」
「よい。椅子に腰を下ろせ」
「はっ。失礼します。」
エリーが腰を下ろすと陛下が
「来週からテストだろう?」
「はい。」
それがこの呼び出しとどう関係するのだろうか?
「一時期息子の護衛は、別のものに任す事にした。」
「はっ?」
テストとなんの関係があると言うのか?それにテスト期間だろうと、今まで普通にこなして来たはず。
「フリーになったエリックには、この者達の護衛を頼みたい。」
陛下の視線の先には、真っ黒な フードをかぶった男性の2人がいた。
成る程ね。僕が、3人同時に護衛が出来ないからリアムの事はノアに任したと。その代わり、僕にはこの者達の護衛をしろと言うことか。それにしても何故、僕なんだ?
父さんに視線を向けると
「……この方々が、エリーを指名されたからだ。」
………僕の名前を知っていて指名したってことか。真っ黒の服装……ね。誰かに似ている気がするけど、まさか彼らじゃないよね?
陛下が
「彼らも学園に入学することになった。」
「と言うことは、留学生として同じクラスに来られると言うことですか?」
「その通りだ。後は、3人で話し合うとよい。」
陛下に続き父さんまでもが出て行くと
『久しぶりだな。ユイセント・エリー嬢』
聞き覚えのあるテノールの声がした
………嘘だよね?本当に彼らなのか!?
『お久しぶりでございます。何故、私を指名成されたのですか?』
安易に何故、エリック と言う僕の別の名前を知っていたのかと問うと
『あの頃、檻で再会したときに思ったんだよ。将来、影と似たような仕事をするってね。』
調べたってことか。
『今どき留学など珍しいと思いますが?』
『仕方ないだろ?こちらにある学園の基礎は習得済み何だから、余った時間があるなら留学した方がために成るしね。』
『そうでしたか。』
『ねぇ。僕らの事覚えているかな?』
堂々と襲撃してくれたから嫌でも覚えてるよ!
『えぇ。もちろん覚えていますわ。忘れるはずがありませんもの。|ラオール帝国 第一皇子《ラオール・アフトクラトル・ヒュイオス・タドミール》様。』
視線を彼の後ろにたっている人に向けて
『それに、近衛魔術騎士団トップでラオール様の側近でオスクロ侯爵の息子オスクロ・ヒュイオス・ルディアル殿。』
『ほう。よくそこまで調べたな。ルディの名は、平民としての登録しかされてなかっただろう?』
『そのお陰で、調べるのに手間がかかりましたわ。』
『まぁ、いいか。これからまたよろしくね。』
『はい。よろしくお願い致しますわ。』
今まで、一言も話さなかった人物が
『ユイセント嬢。我々はどう呼べばいいだろうか?』
『ドレスや学園に居るときは、エリーまたはユイセントで読んでください。この様な服装のときなどは、エリックとお呼びください。』
『上手く使い分けているのだね。』
『自分も感心致しました。』
『いいえ。ごちゃ混ぜに成ることもしばしばありますので。』
『そうだ!僕の事、また ミールと呼んでくれないか?敬語も不要だよ。ついでに彼にも敬語や敬称は不要だよ。』
『………ミール、ルディ?よろしくね』
『うん。よろしくエリック。』
『こちらこそよろしく頼む。エリック』
こうして、エリーの仕事は激増していくのであった。
チャンチャン




